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J-TECとVCCT 網膜変性疾患に対するiPS細胞用いた再生医療製品「MastCT-03」の実用化で資本業務提携

公開日時 2025/01/15 04:50
ジャパン・ティッシュエンジニアリング(J-TEC)とVC Cell Therapy(VCCT)は1月14日、東京都内で記者会見を開き、網膜変性疾患に対するiPS細胞を用いた再生医療製品「MastCT-03」の実用化に向けて資本業務提携を締結したと発表した。J-TECがVCCTに出資し、「MastCT-03」の事業化と国内での製造販売承認取得を支援する。J-TECの畠賢一郎社長は、「我々が保有する再生医療の開発経験、提供経験を活用いただくことが重要だ。この製品を通じて患者への貢献と、iPS細胞治療の普及に貢献したい」と強調した。一方、VCCTの高橋政代社長は、「いよいよ(iPS細胞を使った網膜変性疾患の)治療も完成の域に入ってくる。今回の提携で、また一つステージが上がるものと考えている」と強い期待感を表明した。

今回の資本業務提携の対象となる再生医療製品「MastCT-03」は、網膜変性疾患をターゲットとしたゲノム編集iPS細胞由来RPE細胞と呼ばれるもの。VCCTは、同製品に先んじて網膜色素上皮変性を伴う様々な網膜変性疾患をターゲットとした同種iPS細胞由来のRPE細胞「MastCT-01」を開発しているが、今回の「MastCT-03」は免疫拒絶反応の原因となるHLA分子が欠損するようゲノム編集したことで、移植後の免疫拒絶反応が起こりにくい特徴を持っている。

対象患者は日本で失明原因の第4位にある加齢黄斑変性で、日本での推計患者数は70万人。特に高齢者で増加傾向にあり、また治療に際しては、全身的免疫抑制剤の副作用(眼球炎、肺炎など)が問題となることから、ゲノム編集により拒絶反応を抑えることを確認した「MastCT-03」が、高齢者を含めた網膜変性疾患への標準治療になると期待されている。

◎J-TECには原料細胞のセルバンク作製や治験製品の品質を保持する容器開発など製剤化を委託

両社は、2009年からiPS細胞由来網膜細胞の開発に関する共同開発に着手した。共同開発を通じ、理化学研究所網膜再生医療研究開発プロジェクト(髙橋ラボ)が主導する世界初の加齢黄斑変性患者へのiPS細胞由来RPE細胞シート移植を2014年に実現した。今回の提携は、同製品の事業化を更に進めることを目的としたもので、J-TECは「MastCT-03」の原料細胞となるセルバンクの作製や、治験製品の品質を保持する容器開発などの製剤化と、規制当局対応のサポートを行う。

◎上市時に国内における「MastCT-03」の製造販売を外部委託する場合、優先交渉権をJ-TECに付与

また、「MastCT-03」の上市時に、国内における「MastCT-03」の製造販売を外部委託する場合については、一定期間の優先交渉権をJ-TECに付与することについても合意した。

◎VCCT・高橋社長「5年以内には患者さんに製品が届くよう進めていきたい」

会見でVCCTの高橋社長は、今後の事業化の進め方について、「初めての治験を手探りでやるよりは、道を知っているJ-TECに先導して頂くことに安心感がある」と強調。今後のスケジュールについては、「我々は最短で行きたい。5年以内にはやりたい」と述べながらも、「どういう要件を(規制当局から)言われるか分からない。読めない一本道を読めないまま進むのはリスクが大きい。あらゆる方法で5年以内には患者さんに製品が届くよう進めていきたい」と意欲を示した。
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