アデランス iPS細胞活用した育毛研究の米ステムソンとライセンス契約 毛髪再生治療薬を開発・商業化へ
公開日時 2024/03/12 04:50
毛髪関連事業などを展開するアデランスは3月11日、iPS細胞の再生力を活用した毛髪再生研究を行う米ステムソン・セラピューティクス社(本社:米国カリフォルニア州サンディエゴ)と、毛髪再生に係る知的財産権の独占的ライセンス契約を締結したと発表した。両社の協業により、脱毛患者や毛髪再生を望む人に対する毛髪再生治療薬などの開発・商業化の実現を目指す。
アデランスが毛髪再生に係る知的財産権のライセンス契約を結ぶのは今回が初めて。
両社の調べでは、新しい毛包を成長させることができる脱毛治療法はない。多くの企業が毛髪再生研究を進めているなか、アデランスのグループ会社のアデランス・リサーチ・インスティテュート(本社:米国ジョージア州アトランタ、以下ARI)は、2002年の設立後、細胞培養による毛髪再生の研究を進め、08年から米国で第2相臨床試験(P2)に取り組んでいた。一方、ステムソンは18年からiPS細胞の再生力を活用した独自の毛髪再生の研究を行っている。
そこでアデランスは、ARIが持つ独自の細胞培養による毛髪再生研究を、ステムソンの毛髪再生治療薬などの開発・商品化に活かすべくライセンス契約を締結した。本契約により、ステムソンはARIによるP2段階の「細胞治療毛髪再生プログラム」の実施を再開し、既存の脱毛細胞治療開発パイプラインに統合することが可能になる。
◎ステムソンのハミルトンCEO 「脱毛患者のための真の画期的な製品を創り出したい」
ステムソンのジェフ・ハミルトンCEOは、「ARIの技術・ノウハウとフェーズ2の臨床ステージ開発プログラムがステムソンのポートフォリオに加わることで、今後当社は、幅広い脱毛症に対応する複数の細胞治療製品コンセプトの追究を拡大することができる」とコメント。ARIによる研究結果と、ステムソンが持つ毛髪再生分野における毛包細胞及び組織工学の能力を組み合わせて、「脱毛患者のための真の画期的な製品を創り出したい」と意欲を示した。
アデランスの津村佳宏代表取締役グループCEOは、世界中の人に先進的なソリューションを提供できるようステムソンと提携するとした上で、「ステムソン社のチームと協力することで、同社による開発の取り組みをさらに推進し、ボズレークリニックの世界的ネットワークを通じて商業化を支援することを楽しみにしている」とコメントした。ボズレー社は北米市場でトップシェアを有する、毛髪移植における世界的な第一人者。23年5月末時点で25のクリニックと50の相談室を展開している。ボズレーはARIの研究にも携わり、今後もステムソンの研究に協力していく。
ARIによる米国P2は、男性の早期アンドロゲン性脱毛症を治療するために、ヒト患者約450例を対象にしたもの。初期の臨床データでは、機能する毛包細胞を対象の頭皮領域へ1回投与することで、「副作用がなく安全に発毛し、長期にわたって効果を持続できることが示唆された」としている。