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Heartseedが東証グロース市場に上場 他家iPS細胞由来心筋球用いたLAPiS試験に期待 福田社長が会見

公開日時 2024/07/31 04:50
心筋再生医療の早期事業化を目指す慶應義塾大医学部発ベンチャー・Heartseedが7月30日、東京証券取引所グロース市場に上場した。東京都内で記者会見に臨んだ福田恵一代表取締役社長(慶大名誉教授)は、他家iPS細胞由来心筋球(開発コード:HS-001)の重症心不全を対象とした第1/2相臨床試験(LAPiS試験)において、心筋細胞数1億5千万個の高用量群の投与を開始したことを報告。「この会社をより成長させ、投資家を安心させ、患者さんに希望の光を与えていきたい」と強調した。

Heartseedは心筋再生医療の実用化を目指して2015年に設立されたバイオベンチャー。iPS細胞から高純度の心室型心筋細胞を作製する技術や投与技術など、心筋再生医療の普及に必要な独自技術を有する。デンマークのノボ ノルディスク本社との間でHS-001の開発・製造・販売に関するライセンス契約を締結している。

リードパイプラインであるHS-001は、他家iPS細胞から心臓のポンプ機能に重要な心室筋を高純度で作製し、生着率を高めるために心筋球と呼ぶ微小組織にしたもの。同社によると、単一細胞と比較して、心筋球にすることで細胞の生着率や生存率が向上することが非臨床試験で確認されているという。

◎前半5例に5000万個(低用量群)を投与 24年5月に完了

現在進めているLAPiS試験は、虚血性心疾患に伴う重症心不全患者を対象とした第1/2相多施設共同、非盲検、用量漸増試験。冠動脈バイパス手術と合わせて、開胸下で専用の投与デバイスを用いてHS-001を心臓の心筋組織内に投与する。予定症例数は10例で、前半5例には5000万個(低用量群)を投与し、24年5月に完了した。用量を規定する毒性や治験の継続に影響を与える安全性上の懸念は見られていないという。これを受け、後半5例には1億5千万個(高用量群)の心筋細胞を投与する。主要評価項目は投与後26週目の安全性で、副次的有効性評価項目として、左室駆出率および心筋壁運動評価などを段階的に評価する。

◎福田社長 HS-001の実用化へ「今年度中に患者さんをリクルートしたい」

福田社長はHS-001の実用化に向けて、「願わくは今年度中にも患者さんをリクルートしたい」とし、その後の観察期間や評価期間などを踏まえ「最低でも2年半ぐらいはかかるだろう」との見通しを示した。

また、低侵襲なカテーテルでの投与を行うHS-005についても、福田社長は「遠からず治験を開始する方向で準備を進めている」と説明。さらにHS-001、HS-005の先も見据えた中長期のロードマップを示し、「自家iPS細胞を用いたテーラーメイド・メディシンの展開や、我々のプラットフォームを利用したほかの領域の再生医療への進出も図っていきたい」と強調した。

再生医療等製品を巡っては、アンジェスのHGF遺伝子治療用製品・コラテジェンや、テルモのハートシートがいずれも本承認に至らず、苦境が続いている。福田社長は、「他社の製品に関するコメントは差し控える」とした上で、「作用機序や効果が明確なものは非常に早く承認されているものもあり、ケースバイケースで考えていく必要がある。我々の製品も機序や効果は明白だと考えているので評価いただけるとありがたい」と自信をのぞかせた。
 
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