サワイGHD ソーシャルボンド発行条件決定 発行額100億円 第二九州工場の新固形剤棟建設費に充当
公開日時 2024/06/04 04:49
サワイグループホールディングス(GHD)は5月31日、国内公募形式のソーシャルボンド(社債)の発行条件が決定したと発表した。発行額(調達資金)は100億円。払込期日は6月6日、償還期日は5年後の2029年6月6日、利率は1.132%となった。調達資金は福岡県飯塚市の沢井製薬第二九州工場で計画中の新固形剤棟建設に係る投資に充当する予定。同工場の生産能力は現在、年間26億錠だが、新固形剤棟の建設によりステップ1として24年10~12月の初出荷を目標に20億錠の生産能力の追加を計画している。ステップ2として10億錠の追加を予定しているが、この時期は未定。
◎国内サワイグループの医薬品生産能力は185億錠 国内ジェネリック全体の16%に相当
サワイGHDは、今回のソーシャルボンドのフレームワークの詳細資料などの中で、サワイグループの医薬品生産能力や今後の計画、市場の課題に触れている。
国内サワイグループの医薬品生産能力は、沢井製薬の鹿島・関東・三田・三田西・九州・第二九州の6工場の155億錠に、トラストファーマテックの矢地・清間工場の30億錠を加えて、計185億錠の規模にある。この規模は国内のジェネリック全体の16%、医療用医薬品全体の8.2%の供給に相当する「国内で最大規模の供給を担っている」としている。
◎供給不足という社会課題解決に向け「生産能力を高めるための更なる設備投資が必要な状況」
一方で、「沢井製薬を含むジェネリック医薬品メーカーの不祥事に関連して、ジェネリック医薬品の供給不足という社会課題を解決するためには、生産能力を高めるための更なる設備投資が必要な状況にある」とも指摘している。
◎新固形剤棟建設でジェネリック増産、雇用も創出へ
沢井製薬の第二九州工場で計画中の新固形剤棟の建設は、22年9月より建設に着手済み。投資予定額は約405億円(ステップ1が約350億円、ステップ2が55億円)。
今回の計画では、ジェネリックの安定供給に向けて、30億錠生産が可能なスペースをあらかじめ確保し、生産設備を段階的に拡充する。新固形剤棟の建設により、ステップ1として24年10月~12月の初出荷を目標に20億錠の生産能力の追加を計画。ステップ2として追加予定の10億錠は、その時期は未定だが、「他社を含む市場の動向や当社の新製品開発状況等を勘案しながら遅滞なく実施していく」としている。
また、新固形剤棟の稼働に伴い、ステップ1において330人、ステップ2においてさらに160人の就業を計画している。福岡県飯塚市を中心とした筑豊地域の雇用を通じ、地方経済への貢献が見込まれるほか、新棟稼働後には、社会教育の一環として地元を中心とした学生や自治体を対象とした工場見学を実施し、地域貢献にも取り組む予定だとしている。