自民党の議員連盟「ジェネリック医薬品の将来を考える会」（上川陽子会長）は２月27日、ジェネリック産業の再編に向けた取組みについて、厚労省と日本ジェネリック製薬協会からヒアリングを行った。ジェネリック医薬品の安定供給に向けて、企業間の連携・協力・再編の必要性が指摘される中で、厚労省も後発医薬品製造基盤整備基金を創設に向けた検討を進めるなど、環境整備が進められている。この日の議連では、GE薬協としての取組みが報告されたが、上川会長は取りまとめで、「スピード感」を持った対応の必要性を指摘。「むしろ制度が後からついてきて押していくくらいの覚悟で進めていただく」必要性があるとして、ジェネリック業界の主体的な行動の必要性を強調した。議連としても、こうしたジェネリック業界、企業の取組みを支援する姿勢を示した。

◎上川会長「何としても安定的に供給できる体制をいち早く構築することが重要」

会議冒頭で、上川会長は、「2020年以降、ジェネリック医薬品を中心に医療用の医薬品の入手が困難な状況が続いているということを大変憂慮している。何としても安定的に供給できる体制をいち早く作っていくということが重要だ」と強調。「議連としては、今後とも政府としっかり連携しながら、ジェネリック医薬品の供給不足問題を一日も早く解消し、持続可能な産業として大きな役割を果たしていただくための業界及び企業の活動を引き続き支援をしてまいりたい」と述べた。

「後発医薬品業界の将来像やあるべき姿について、長期を見据えながらも、現実的な一歩をしっかりと刻み、目標に向かって皆の力を結集して前進できる方向に向かって、議連としても共に汗をかき、実現を果たしてまいりたい」とも述べた。

◎後発医薬品製造基盤整備基金　生産性向上のための設備整備や企業間調整の経費を補助

再編に向けた環境整備も進んでいる。厚労省は2024年度補正予算で、少量多品目など後発医薬品産業の構造問題を解消するための支援事業として70億円を確保。今通常国会に提出した薬機法等改正法案では企業間の連携・協力・再編を後押しする後発医薬品製造基盤整備基金を創設するなど環境整備を進めており、この日の議連でもこうした取組みを報告した。

なお、後発医薬品製造基盤整備基金では、厚労省が品目統合・事業再編などの計画を認定し、生産性向上のための設備整備の経費や品目統合や事業再編に向けた企業間での調整にかかる経費を補助する。

◎安定供給責任者会議　２回の準備会合経て初会合へ

産業構造改革が求められる中で、日本ジェネリック製薬協会の川俣知己会長（⽇新製薬代表取締役社⻑）は、安定供給、製造管理・品質管理体制、産業構造の問題に対応する形で新たに検討を進めている現状を報告した。

会員企業の安定供給責任者を常時把握し、後発医薬品の供給不安に対して代替品の確保など業界で連携して対応していくための会議体として、「安定供給責任者会議」を設置。２回の準備会合を経て、３月５日に初会合を開く。また、クオリティーカルチャー醸成に向けた人材育成などの取組みを共有する目的で品質委員会に教育研修部会を立ち上げた。各社の教育研修部会への参加登録が完了しており、３月４日に第１回の教育研修を実施する予定という。

産業構造をめぐっては、あるべき姿について調査・研究を行う産業構造あり方研究会を立ち上げ、２月21日に会合を開いた。報告書のとりまとめに向けて議論を継続する方針。

◎基金の実効性問う声あがる　「業界として正念場」との指摘も

出席議員からは、後発医薬品製造基盤整備基金をめぐる意見が複数出た。「メーカーの人達の答えが、厚生労働省が今思い描いているような形での業界の再編が本当に行われるのかということは正念場だ」、「果たして本当に実効性があるのか」などの声が出た。ＧＥ薬協の川俣会長は、工場の建設に時間がかかることを説明したうえで、「これから工場を建てる場合だけでなく、これまで我々が増設をしてきた設備に対する支援というものをいただければ、この基金の効果が十分に発揮できる」などと応じたという。

ＧＥ薬協の組織率向上を求める声も出席議員からはあがった。これに対し、ＧＥ薬協の川俣会長は、170超のジェネリックメーカーがあるなかで、加盟社が30社であるものの、生産量からのカバー率は高いことなどを報告したという。

取りまとめ発言で、上川会長は「これまでになかった連携を行うということをスピード感を持ってやっていただき、むしろ制度が後からついてくるくらいの覚悟で進めていただくと、課題克服という意味での議連も含めた応援の施策も厚みを増してくる」と表明。「ＧＥ薬協の組織がようやく立ち上がったということで、ぜひ動かしていただき、業界として、大きな前進を図ってほしい。私どもも全力で応援していく」と述べた。