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エーザイ・内藤景介COO 「ビジネスが次のフェーズに入ってきた」 27年度に営業利益率10%以上目指す

公開日時 2025/03/26 04:53
エーザイの内藤景介代表執行役専務COO兼チーフグロースオフィサーは3月25日の記者懇談会で、「グローバルでのビジネスが次のフェーズに入ってきていると捉え、オペレーション最適化を図る」と強調した。その上で、「一時金収入に依存しない形で2027年度に営業利益率10%以上を目指すことで、全社の収益構造を進化させる」と宣言。単なる費用削減ではなく、組織・プロセスを抜本から見直すと指摘した。一方、内藤晴夫代表執行役CEOは早期アルツハイマー病治療薬・レケンビ(レカネマブ)について、PET・CSFなど“重装備”の医療技術に依存していたADの診断・治療パスウェイを、血液バイオマーカー(BBM)や、在宅・在所投与可能な皮下注オートインジェクター(SC-AI)の承認で「軽量化・一般化」できると見通し、パスウェイ全体の改良に伴う“次なる”市場アクセスの拡大に強い期待感を表明した。

◎「27年度を大きなマイルストンと捉え、今後3年間でローリング方式で見直しを行う」

「我々は24年3月に2032年度の売上収益をアスピレーションとして掲げた。その実現に向け、2027年度を大きなマイルストンと捉え、リスク要因を含んだ中期シミュレーションをレンジで示し、今後3年間でローリング方式による見直しを行っていく」-。内藤景介COOはプレゼンの第一声で、こう表明した。特に、2025年からの直近3年間は、「自社のR&D投資に加えてパートナーシップ投資など、パイプラインの開発効率と成功確度をさらに高める成長投資と、株主還元の両立を図るキャピタル・アロケーションを実施していく」と強調する。

◎27年度 レケンビはグローバル売上2500億円~2800億円、レンビマは2500億円見込む

同社主力のレケンビについては27年度のビジネスマイルストンとしてグローバルで2500億円~2800億円の売上を見込む。米国市場の立ち上がりの遅れや競合薬の状況、海外の医療政策などを踏まえ、「この(売上)レンジがいまのところ妥当ではないかと考えている」と述べた。また、レンビマについては、米国のIRA(インフレ抑制法)などグローバル各国の医療政策の影響を考慮しても2500億円のレベルを維持するとの姿勢を表明した。

内藤COOは、「レケンビの立ち上がりと、レンビマなど既存製品の安定を加えて、2027年度の売上を一定の水準で維持しながら、そこから2032年にむけたベストシナリオを目指していくというのが我々のコンセプトになる」と強調した。

◎内藤COO「このタイミングでオペレーション最適化にむけた構造改革に着手する」

一方で内藤COOは、レケンビの成長を見据えて「グローバルでのビジネスが次のフェーズに入ってきた」と述べ、「このタイミングでグローバルのオペレーション最適化にむけた構造改革に着手する」と強調した。最適なリソースの投下を実現するため、「ガバナンス・組織体制」の最適化に取り組む決意を示した。具体的には、戦略・計画・財務・IRを統括し、グローバルの全コマーシャルリージョンのレポートを受けるChief Business Officer(CBO)を設置したとし、「CBOの機能を中心に米国、欧州、日本のリソースの最適化を図り、中央では最適なリソース管理を行っていく」と述べた。また、「システム・プロセスの標準化を通じた効率的なオペレーションに取り組む」と話し、各地域のオペレーションの高速化に注力すると強調。こうした取り組みを通じて「販管費を中心とした構造改革を実行する」とも述べ、構造改革を推進する姿勢を鮮明にした。費用削減は年間300億円程度を見込む。内藤COOは、「2027年度には一時金による収入を含まない形での営業利益率10%以上(現状比+3ポイント以上)を達成する。一時金に依存しない利益体質への転換を果たす」と意気込んだ。

◎内藤CEO パスウェイの“軽量化” BBMとSC-AIが不可欠「2026年に実装される」と期待

内藤晴夫CEOは、レケンビの診断・治療パスウェイについて、「SC-AIによる全治療期間投与が可能になり、患者の通院の手間が大幅に縮減する。Aβの確定診断が血液バイオマーカー(BBM)によって可能になる。BBMの活用で、かかりつけ医と専門医の医療連携体制も推進する」と語り、これまでPET・CSFなど“重装備”だったADの診断・治療パスウェイが“軽量化”され、「パスウェイ全体の改良によりデマンドが拡大される」と強調した。

また内藤CEOは、「最大のデマンドの拡大は専門医とかかりつけ医のネットワークを拡充すること。それには血液バイオマーカー(BBM)による確認検査とSC-AI(皮下注オートインジェクター)が不可欠だ。我々はそれが2026年度に実装されると考えている」と期待感を込めた。
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