沢井製薬 独自の製剤評価技術で製剤の食感や味を見える化 野沢製剤研究部長「飲みやすい薬届ける」
公開日時 2025/03/17 04:50

沢井製薬は3月14日、メディア向けの研究開発本部技術説明会で、製剤の食感や味を見える化する製剤評価技術を公表した。紹介したのは、錠剤の食感や口当たりを客観的に評価する「ODITEX(オディテクス)」と、人間の味覚を学習したAIで薬の味を数値化する「TASTEYE(テイストアイ)」の2つの独自技術で、一部製品にすでに活用している。研究開発本部の野沢健児製剤研究部長は「触感や味などを定量的に可視化して、製剤設計にフィードバックできる仕組みをつくることで、より患者さんが飲みやすいと感じていただけるジェネリック医薬品を世の中に届けられるようになる」と強調した。
沢井製薬では、薬の飲みやすさや扱いやすさ、製剤過程での効率化など薬に付加価値を与える独自技術を開発して特許を取得し、「SAWAI HARMOTECH(サワイハーモテック)」と名付けて概要を公開している。これまで核粒子やOD錠の製造やフィルムコーティングなどの6つの技術を紹介していたが、新たに製造評価と印字で3つの技術を加えた。
◎崩れやすさやなめらかさを客観的・再現性高く評価 感覚的な味の数値化も
ODITEXは、口の中で感じる錠剤の硬さやざらつきを客観的に評価できる技術。プラセボ錠を使ったモニター調査を基に飲みやすさとの相関が高い「崩れやすさ」や「なめらかさ」を評価対象として位置付け、客観的かつ再現性高く評価できる機器分析法を確立した。製剤研究部製剤Ⅰグループの夏目文音氏は「官能試験をすることなく、有効成分を含んだ開発製剤の飲みやすさを考慮した製剤設計が可能になる」と強調した。
TASTEYEは、AIを使って製剤の味と香りを評価する技術。もともと食品分析に用いられる味覚センサーに、沢井製薬独自で薬に用いられる甘味剤や香料を機械学習させた。ニューラルネットワークをブラッシュアップしたことで、原薬ごとの味の違いを認識し、より人間の感覚に近い結果が得られ、感覚的な味の数値化につながったという。製剤研究部製剤Ⅳグループの中道克樹氏は「開発段階から使用することで、香料のスクリーニングもできる。原薬の特徴によってどの香料が最適なのか、定量的に示すことができ、官能試験を減らすことにもつながる」と述べた。
野沢部長は「飲みやすい薬を市場に届けている自負や自信はあるが、ODITEXとTASTEYEによって数値化をすることで、さらに信頼度を高めて、世の中への普及につなげていきたい」と述べた。