薬食審・第一部会 指定難病MELAS治療薬など2製品を審議、承認了承
公開日時 2019/02/01 03:51
厚生労働省の薬食審・医薬品第一部会は1月31日、新薬として2製品の承認の可否を審議し、いずれも承認することを了承した。このなかには、ミトコンドリア病の一種で指定難病MELASの治療薬として大正製薬が承認申請したタウリン散98 %「大正」がある。MELASは脳卒中のような発作を繰り返す慢性の疾患。承認されればこの疾患の初めて治療薬となる。前回の部会で継続審議となった塩野義製薬のAD/HD治療薬ビバンセカプセル(リスデキサンフェタミンメシル酸塩)については、まだ審議の準備ができていないとして、議題に上げず、次回以降の審議とした。
【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽タウリン散98 %「大正」(タウリン、大正製薬):「ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群」を効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。
MELASは、ミトコンドリア病で最も頻度が高い病型で、患者数300人程度と推定される。ミトコンドリアタンパクの合成の障害により起こるものと考えられている。タウリンは同タンパクの合成に必要であり、同剤を投与することで、症状を改善すると期待されている。同剤は、タウリンとして1日3回食後に、体重別に定められた用量を経口投与する。
厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の検討結果をふまえ、開発要請を受けていた。海外承認なし。
▽フェインジェクト静注500mg(カルボキシマルトース第二鉄、ゼリア新薬工業):「鉄乏性貧血」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。
類薬にはフェジン静注がある。それに対しフェインジェクトは1回あたりの投与鉄量は500mgと、必要な鉄量を比較的少ない投与回数で投与できるのが特徴。同剤は、経口鉄剤が服用できない場合や、多量の出血などで鉄の損失が多く、経口剤では補充が不足する場合などに用いるという位置づけ。海外では2018年8月時点で欧米で70か国以上で承認済。
【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽ゴナールエフ皮下注用75、同150、同ペン300、同ペン450、同ペン900(ホリトロピン アルファ(遺伝子組換え)、メルセローノ):「生殖補助医療における調節卵巣刺激」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。
遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン製剤で、体外受精で必要な卵子を得るのに用いる。追加する適応は、欧米での承認状況や海外臨床試験、国内外のガイドラインなどから、医学薬学上公知と判断し、臨床試験を行うことなく、メーカーが公知申請したもの。海外では2018年11月現在、121の国・地域で承認済。
▽イムラン錠50mg(アザチオプリン、アスペンジャパン)
▽アザニン錠50mg(同、田辺三菱製薬)
:「自己免疫性肝炎」を効能・効果に追加する新効能医薬品。再審査期間なし。
追加する適応症については厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で公知申請が妥当と判断され、18年7月の薬食審・医薬品第一部会で公知申請が了承されていた。