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EGFR陽性NSCLC1次治療に対するライブリバントとラズクルーズ併用療法承認へ 薬事審第二部会が了承

公開日時 2025/02/28 04:50
厚生労働省の薬事審議会・医薬品第二部会は2月27日、EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療におけるヤンセンファーマの二重特異性抗体・ライブリバント点滴静注と新規の経口EGFR阻害剤・ラズクルーズ錠(一般名:ラゼルチニブ)の併用療法の承認を了承した。

◎審議品目10製品、報告品目3製品が部会通過 デュピクセントにCOPDの効能が追加へ

この日、審議品目10製品、報告品目3製品の全てが第二部会を通過した。審議品目の中には、BeiGene Japanの食道がんに対する抗PD-1抗体・テビムブラ点滴静注(チスレリズマブ)や、ジェンマブの子宮頸がんに対するADC・テブダック点滴静注用(チソツマブベドチン)、サノフィのデュピクセント皮下注の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の効能追加などが含まれる。

部会を通過した全製品が3月中の承認、新有効成分含有医薬品については5月の薬価収載が見込まれる。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
テビムブラ点滴静注100mg(チスレリズマブ(遺伝子組換え)、BeiGene Japan):「根治切除不能な進行・再発の食道がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

抗PD-1抗体。承認申請は、1次治療(化学療法併用)と2次治療(単剤療法)の試験成績に基づいて行われた。用法・用量は「フルオロウラシル及びシスプラチンとの併用において、通常、成人には、1回200mgを3週間間隔で60分かけて点滴静注する。がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道がんに対しては、本剤を単独投与することもできる。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分まで短縮できる」となった。

海外では、24年11月時点において、化学療法歴のある切除不能な進行・再発の食道扁平上皮がんに係る効能・効果で7つの国又は地域で、化学療法歴のない切除不能な進行・再発の食道扁平上皮がんに係る効能・効果にて3つの国又は地域で承認されている。

具体的には、米国では24年3月に2次治療単剤療法が、欧州では23年9月に2次治療単剤療法、24年11月に化学療法との併用での1次治療が承認されている。

ラズクルーズ錠80mg、同錠240mg(ラゼルチニブメシル酸塩水和物、ヤンセンファーマ):「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

第3世代の経口EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)。承認申請は、EGFR変異陽性NSCLCに対する1次治療において、ヤンセンの既承認のEGFRおよびMETを標的とする二重特異性抗体・ライブリバントとラズクルーズの併用療法と、経口第3世代EGFR-TKIであるタグリッソ単剤療法を比較評価した第3相MARIPOSA試験の結果に基づく。同試験の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)で有意差を示した。

なお、ヤンセンは25年1月に、第3相MARIPOSA試験の副次評価項目である全生存期間(OS)においても、タグリッソと比較して有意差を示したことを発表している。

海外では、24年8月に米国で、同年12月に欧州でEGFR変異陽性NSCLCの1次治療におけるライブリバントとラズクルーズの併用療法が承認されている。

テブダック点滴静注用40mg(チソツマブベドチン(遺伝子組換え)、ジェンマブ):「がん化学療法後に増悪した進行又は再発の子宮頸がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

ジェンマブの組織因子(TF)を標的とするヒトモノクローナル抗体に、プロテアーゼ切断可能なリンカーを用いて微小管阻害薬・モノメチルアウリスタチンE(MMAE)を共有結合させるというシージェン社(現ファイザー)の技術を応用して開発された抗体薬物複合体(ADC)。

承認申請は、2次又は3次治療の再発又は転移性子宮頸がん患者を対象とした国際共同第3相innovaTV301試験などの成績に基づいて行われ、2次治療以降での使用が想定されている。

海外では、24年11月時点において、化学療法歴のある進行・再発の子宮頸がんに係る効能・効果で、米国のみで承認されている。

ティブソボ錠250mg(イボシデニブ、日本セルヴィエ):「IDH1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

IDH1阻害薬。IDH1遺伝子変異陽性AMLの患者数は約1045人と推定されている。強力な化学療法の適応とならない未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者に対しては、IDH1遺伝子変異の有無にかかわらず、ベネクレクスタとアザシチジン又は低用量シタラビンとの併用投与が推奨されているが、長期生存率は低く、依然として予後は不良であること等から、新たな治療薬の開発が望まれている。

ティブソボとアザシチジンとの併用投与の有効性及び安全性をプラセボとアザシチヂンとの併用投与と比較した国際共同第3相試験では、主要評価項目の治験責任医師判定による無イベント生存期間(EFS)について統計学的に有意な延長が認められた。

用法・用量は「アザシチジンとの併用において、通常、成人には1日1回500mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」となった。

海外では、24年11月時点において、IDH1遺伝子変異陽性のAMLに係る効能・効果で、41の国又は地域で承認されている。

ベネクレクスタ錠10mg、同錠50mg、同錠100mg(ベネトクラクス、アッヴィ):「再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

経口BCL-2阻害薬。マントル細胞リンパ腫(MCL)の総患者数は約2000人と報告されており、再発・難治性の患者数はさらに限定される。MCL患者の多くが初回治療後、高齢者で2~3年、若年者で約5年で再発又は再燃すると報告されている。

再発・難治性MCLの治療については、イムブルビカや、ベンダムスチンとリツキシマブとの併用療法(BR療法)などが推奨されている。今回、ベネクレクスタとイムブルビカの併用療法の承認が了承された。

海外では、24年11月時点において、再発・難治性MCLに係る効能・効果で承認されている国又は地域はない。

イミフィンジ点滴静注120mg、同点滴静注500mg(デュルバルマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ):「限局型小細胞肺がんにおける根治的化学放射線療法後の維持療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

抗PD-L1抗体。外科治療が適応とならない限局型小細胞肺がん(LD-SCLC)に対する初回治療は、白金系抗悪性腫瘍剤及びエトポシドを用いた同時化学放射線療法が推奨されている。また、同時化学放射線療法後の維持療法として使用可能な薬剤はなく、経過観察が行われているが、同時化学放射線療法を受けたLD-SCLC患者の75~80%に再発が認められ、予後不良とされており、新たな治療選択肢が望まれている。

海外では、24年12月時点において、根治的化学放射線療法後に疾患進行が認められない限局型小細胞肺がんに係る効能・効果で、3つの国又は地域で承認されている。

デュピクセント皮下注300mgシリンジ、同皮下注300mgペン(デュピルマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「慢性閉塞性肺疾患(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。

抗IL-4/13受容体抗体であり、2型炎症において中心的な役割を果たすタンパク質であるIL-4およびIL-13の作用を阻害する。2型炎症は、COPDにも関与していることが明らかになっているという。

承認申請は、2型炎症を伴う中等症から重症のCOPDを対象とした国際共同第3相BOREAS試験の成績に基づく。COPDの用法・用量は「通常、成人には1回300mgを2週間隔で皮下投与する」となった。

COPDの薬物療法はクラスとして直近約10年間、大きな変化がなかった。デュピクセントが承認されれば、COPDに対する初の抗体製剤かつIL-4とIL-13のシグナル伝達を阻害するという新たなアプローチを提供することになる。

海外では、24年11月現在、COPDに係る効能・効果で米国及び欧州を含む11の国又は地域で承認されている。

オテズラ錠10mg、同錠20mg、同錠30mg(アプレミラスト、アムジェン):「局所療法で効果不十分な掌蹠膿疱症」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は4年。

経口PDE4阻害薬。掌蹠膿疱症(PPP)は、手掌及び足底に紅斑、小水疱、膿疱、鱗屑及び痂皮が混在する慢性炎症性皮膚疾患。PPPの治療においては、禁煙等の生活指導や感染病巣の除去を行った上で、対症療法として第一に副腎皮質ステロイド剤やビタミンD3誘導体製剤の外用療法が行われ、効果不十分の場合には光線療法やエトレチナート等の内服療法が行われる。また、既存治療で効果不十分な場合には、生物製剤(トレムフィア、スキリージ)による治療も考慮される。

今回、経口薬のオテズラについて、局所療法で効果不十分なPPPの効能追加が了承された。海外でオテズラは、24年3月現在、欧米を含む50以上の国又は地域で承認されているが、PPPに係る効能・効果で承認されている国又は地域はない。

イラリス皮下注射液(カナキヌマブ(遺伝子組換え)、ノバルティスファーマ):「既存治療で効果不十分な成人発症スチル病」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

抗IL-1β抗体。成人スチル病は国の指定難病。副腎皮質ステロイドを用いた炎症の抑制が標準治療となっているが、ステロイド抵抗性やステロイド減量中に再燃することも少なくない。ステロイドで効果不十分な場合には、治療選択肢がアクテムラのみと限られていることから、新たな治療選択肢が必要とされている。

海外では、24年11月現在、成人発症スチル病に係る効能・効果で欧米を含む5つ以上の国又は地域で承認されている。

▽①プレバイミス錠240mg、②同点滴静注240mg、③同顆粒分包20mg、④同顆粒分包120mg(レテルモビル、MSD):「同種造血幹細胞移植におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制及び臓器移植におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制」を効能・効果とし、小児用量を追加する、①②は新用量医薬品、③④は新用量・剤形追加に係る医薬品。同種造血幹細胞移植におけるサイトメガロウイルス(CMV)感染症の発症抑制(小児用量)は希少疾病用医薬品に指定されており、再審査期間は6年1日。臓器移植の方の再審査期間は残余(令和14年3月16日まで)。

CMVターミナーゼ阻害薬。小児用量の追加に合わせて今回、顆粒剤の承認が了承された。

海外では、24年11月現在、小児に対する適応として、米国において、生後6カ月以上かつ体重6kg以上の小児同種造血幹細胞移植及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児腎移植におけるCMV感染症の発症抑制の承認を得ている。

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

ダイチロナ筋注(コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン、第一三共):「SARS-CoV-2による感染症の予防」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は残余(令和13年8月1日まで)。

新型コロナウイルス感染症に対する国産mRNAワクチン。現在、12歳以上に対して「1回0.6mLを筋肉内に接種する」との用法・用量が設定されている。今回、5~11歳に対して「1回0.2mLを筋肉内に接種する」を追加する。

ウステキヌマブBS皮下注45mgシリンジ「CT」(ウステキヌマブ(遺伝子組換え)[ウステキヌマブ後続3]、セルトリオン・ヘルスケア・ジャパン):「既存治療で効果不十分な下記疾患:尋常性乾癬、乾癬性関節炎」を効能・効果とするバイオ後続品。

ステラーラ皮下注のバイオシミラー(BS)。富士製薬、陽進堂に続く3剤目となる。先発品のステラーラ皮下注の効能・効果は、▽尋常性乾癬・乾癬性関節炎、▽クローン病、▽潰瘍性大腸炎―となっているが、BSは「尋常性乾癬・乾癬性関節炎」のみ。

ライブリバント点滴静注350mg(アミバンタマブ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ):「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(令和14年9月23日まで)。

EGFRおよびMETを標的とする完全ヒト型二重特異性抗体。審議品目である経口第3世代EGFR-TKI・ラズクルーズと併用して、EGFR陽性NSCLCの1次治療に使えるようにするための効能及び用量の追加となる。

ライブリバントは24年9月にEGFR 遺伝子エクソン20 挿入変異陽性NSCLCを効能・効果として承認されたが、限られた患者が対象となっている。今回、患者数が圧倒的に多いEGFR変異陽性患者に対する治療選択肢となる。
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