勤務中のスマホによる疾患・薬剤情報の収集 若手医師ほど多く 40歳未満の38.7%「毎日」使用
公開日時 2025/04/11 04:52
医師の約7割が週に1回以上、勤務中にスマホで疾患・薬剤情報を収集している――。このような医師意識調査結果を製薬デジタルマーケティング支援会社のMCI DIGITALがまとめた。若手医師ほど勤務中のスマホによる情報収集頻度は多く、40歳未満の医師の87.3%が週1回以上使用していることもわかった。「毎日」使用は、医師全体は24.5%で、40歳未満にしぼると38.7%となった。スマホで確認している情報は上位から「薬剤基本情報の確認」、「診療ガイドラインの確認」、「薬剤副作用情報の確認」――だった。製薬企業には、スマホで情報収集しやすい画面設計やコンテンツの表示がより求められそうだ。
文末の「関連ファイル」に、年代別の勤務中のスマホによる疾患・薬剤情報の収集頻度や、スマホで確認している情報に関する資料を掲載しました(会員のみダウンロードできます。無料トライアルはこちら)。
◎スマホでの薬剤情報収集 全体では「毎日」24.5%、「週に数回」31.5%、「週に1回程度」12.7%
医師5117人に勤務中のスマホによる疾患・薬剤情報(以下、薬剤情報)の収集頻度を聞いたところ、「毎日」が24.5%、「週に数回」が31.5%、「週に1回程度」が12.7%――で、週に1回以上利用している医師は計68.8%となった。
医師の年代別に見てみると、週1回以上利用している医師の割合は、30歳代以下(40歳未満)は87.3%、40歳代は78.9%、50歳代は61.5%、60歳代は52.0%、70歳代以上は43.0%――。「毎日」利用は、30歳代以下は38.7%、40歳代は27.8%、50歳代は18.9%、60歳代は15.2%、70歳代以上は12.6%――で、若手医師ほどスマホによる薬剤情報の収集頻度が多い状況が確認できた。
◎スマホで収集する情報 医師の過半数が「薬剤基本情報の確認」
週1回以上の頻度で薬剤情報を収集している医師3518人に、どのような情報を収集しているかを聞いたところ、「薬剤基本情報の確認」が52.4%と過半数を占め、次いで「診療ガイドラインの確認」(48.7%)、「薬剤副作用情報の確認」(40.4%)、「疾患情報の確認」(39.3%)――となった。
◎オウンドサイトのスマホ閲覧 改善点に“診療GL”や“医療用計算ツール”挙がる
この医師3518人は製薬企業ウェブサイト(=オウンドサイト)を高頻度で利用していることもわかり、オウンドサイトを「毎日」閲覧している医師は32.9%、「週に数回」は37.5%にのぼった。オウンドサイトで「薬剤基本情報の確認」を行っている医師が8割近くと圧倒的に多いなか、「疾患情報の確認」、「医療用計算ツールの利用」、「患者向け資材の確認」をしている状況も確認でき、薬剤情報の収集に限らず、いろいろな情報収集をしていることがうかがえた。
スマホで週1回以上の頻度で薬剤情報を収集し、さらにオウンドサイトを現在閲覧しているとの医師2911人に、「オウンドサイトで閲覧できたり、閲覧しやすくしてほしい情報」を聞いた結果も見てみると、1位は「診療ガイドラインの確認」(42.9%)、2位は「医療用計算ツール」(35.5%)――となった。診療ガイドラインはコンテンツとしてアップしているサイトもあれば、ないサイトもあるため、情報の充実や見やすさの追求が改善点といえそうだ。医療用計算ツールは、投与量の計算などに用いるもののことで、スマホでも使いやすくしてほしいとの意見とみられる。
◎MCI DIGITAL 「スマホでどれだけ見やすく情報提供できているかは今後のポイント」
MCI DIGITALは、「スマホを用いてオウンドサイトから情報収集する医師が一定数いる。パソコン用の画面設計にとどまらず、スマホ表示の最適化が求められており、スマホでどれだけ見やすく情報提供できているかは今後のポイントになる」と分析している。
MCI DIGITALは、製薬企業サイトやその他医療関係企業サイトを閲覧している医師5117人を対象に、スマホによる薬剤情報の収集状況などを調査した。調査期間は2024年10月4日~17日で、インターネットで実施した。