GSKの多発性骨髄腫に対する初のADC・ブーレンレップなど2製品を審議へ 4月21日の第二部会で
公開日時 2025/04/14 04:48
厚生労働省は4月21日に薬事審議会・医薬品第二部会を開き、グラクソ・スミスクライン(GSK)の再発・難治性多発性骨髄腫(MM)に対する国内初の抗体薬物複合体(ADC)・ブーレンレップ点滴静注用(一般名:ベランタマブ マホドチン)など新薬2製品の承認の可否を審議する。この中には、モデルナ・ジャパンのRSVワクチン・エムレスビア筋注が含まれる。エムレスビアが承認されると、新型コロナ以外の疾患に対する国内初のmRNAワクチンとなる。
◎報告予定品目は5製品 セムブリックスのCML1次治療の追加など
報告予定品目は、ノバルティス ファーマのセムブリックス錠の慢性骨髄性白血病(CML)1次治療の追加など5製品。審議、報告予定品目ともに第二部会を通過した場合、5月中の正式承認が見込まれる。新有効成分であるブーレンレップの薬価収載は7月になる見通し。エムレスビアは、既存のRSVワクチンと同様に保険給付の対象とはならない見通し。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽エムレスビア筋注シリンジ(RSウイルスRNAワクチン、モデルナ・ジャパン):「RSウイルスによる感染症の予防」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
mRNAワクチン。承認されると、新型コロナ以外の疾患に対する国内初のmRNAワクチンとなる。モデルナにとっては、新型コロナに対するmRNAワクチン・スパイクバックスに続く2つ目の承認取得製品となる。
海外でエムレスビアは、60歳以上の成人を対象に24年5月に米国で、同年8月に欧州で承認されている。
なお、国内では、RSVワクチンとして、GSKのアレックスビー、ファイザーのアブリスボが承認されている。アレックスビーは▽60歳以上の成人、▽50~59歳のハイリスク者――を、アブリスボは▽妊婦への能動免疫による新生児及び乳児、▽60歳以上の成人――をそれぞれ対象としている。
▽ブーレンレップ点滴静注用100mg(ベランタマブマホドチン(遺伝子組換え)、グラクソ・スミスクライン):「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
抗体薬物複合体(ADC)。非切断型のリンカーを介して、抗BCMA抗体に細胞傷害性薬剤であるアウリスタチンFが結合している。承認されると、再発・難治性MMに対する国内初のADCとなる。
承認申請は、1ライン以上の治療歴を持つ患者を対象とした国際共同第3相DREAMM-7試験(ボルテゾミブ、デキサメタゾン併用)およびDREAMM-8試験(ポマリドミド、デキサメタゾン併用)の結果に基づく。
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽タグリッソ錠40mg、同錠80mg(オシメルチニブメシル酸塩、アストラゼネカ):「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な局所進行の非小細胞肺がんにおける根治的化学放射線療法後の維持療法」を対象疾患とする新効能医薬品。
第3世代EGFR阻害剤。承認申請は、国際共同第3相LAURA試験の結果に基づく。同試験では、白金製剤ベースの根治的化学放射線療法後に病勢が進行しなかった、切除不能なステージ3のEGFR変異陽性患者を対象とした。
▽スパイクバックス筋注(コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン、モデルナ・ジャパン):「SARS-CoV-2による感染症の予防(小児用量の追加)」を対象疾患とする新用量医薬品。
mRNAワクチン。5歳未満の追加免疫に関する用量を追加するもの。
▽キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」を対象疾患とする新効能医薬品。
抗PD-1抗体。承認申請は、海外第2/3相KEYNOTE-483試験および国内第1b相KEYNOTE-A17試験の結果に基づく。
悪性中皮腫は胸部、腹部、心臓、精巣など体の特定の部位を覆う膜に発生するがん。肺あるいは胸腔を覆う膜に発生する悪性胸膜中皮腫は、悪性中皮腫の中で最も多く、80~90%弱を占める。悪性中皮腫発生の主な原因としてはアスベスト(石綿)の曝露が知られている。
同じ抗PD-1抗体のオプジーボは、「切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」および「悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫を除く)」の適応を持っている。
▽セムブリックス錠20mg、同錠40mg(アシミニブ塩酸塩、ノバルティスファーマ):「慢性骨髄性白血病」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
ABLミリストイルポケット結合型阻害剤。現在の効能・効果は「前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病(CML)」で、それに関連する注意で「2以上のチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容で、慢性期のCMLに使用すること」となっているが、今回、1次治療から使用できるようにするもの。
▽ライブリバント点滴静注350mg(アミバンタマブ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ):「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺がん」を対象疾患とする新用量医薬品。
EGFR及びMETを標的とする二重特異性抗体。承認申請は第3相MARIPOSA-2試験の結果に基づく。同試験では、オシメルチニブによる治療中又は治療後に病勢進行した局所進行性又は転移性のEGFR変異陽性患者を対象に、化学療法(カルボプラチン、ペメトレキセド)と併用した。
承認されると、ライブリバントにとって、「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(化学療法と併用での1次治療)」、「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(ラゼルチニブと併用での1次治療)」に続く3つ目の適応となる。