【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

元・タケダMRが語る 2月末退社の吉田氏「MR活動の精度向上こそ医療データの精度アップに」 Active-T

公開日時 2025/04/14 04:51
武田薬品OBが立ち上げた会員制ビジネスコミュニティ「Active-T」は4月12日、第8回定期総会を名古屋市で開催し、同社を退職したMR経験者がそれぞれの想いや退職後の新たなビジネスについて語った。元・神経精神疾患事業部 戦略推進部ケイパビリティ・ビルディングヘッドを務め、2月末に退社した吉田順氏は、「アンメッドメディカルの製品を普及させるために実践してきたこと」をテーマに自身の経験を振り返った。吉田氏は、「MR活動の精度を上げることが医療データの精度を更に向上させる」と強調。「製品の本当の価値は、患者さんが言わない症状の改善を医師や医療スタッフが把握すること。それにより初めてデータとそて活かすことができる」と述べ、「その可能性を満たすMRをしっかり教育し、活動していくことがいま求められている」とメッセージを発した。

1994年に武田薬品に入社した吉田氏は、主に福島エリアでMRを経験した。2014年から東京支店リージョナルプロダクトリーダー(循環器・糖尿病)、16年に東京本社医薬営業本部営業戦略部フィールドマネジメントグループリーダー、18年には同営業本部長直下ニューロサイエンスエリアマネジメントヘッド、23年から同神経精神疾患事業部 戦略推進部ケイパビリティ・ビルディングヘッドを歴任。今年2月末に同社を退社した。

◎タケダ時代にやってきたこと「ヒトに感動を与え、心を動かすこと」

「私は営業出身の教育者なんです。(タケダ時代に)私がやったことはヒトに感動を与え、心を動かすっていうこと。そしてモノを動かして、つながって、それで薬が使われて、初めて患者さんが変わっていく。私の直近2年間は、それを教育としてやってきた」-。吉田氏はタケダ時代の経験を熱く語ってくれた。その上でコロナ禍以降のMRを取り巻く環境変化やMR活動をめぐる課題感に触れ、「データが沢山でてきても本物のインサイトが取れていないことが多々ある」と指摘。「もっとMRが医療現場で活動して、医師を変えて、その先にある患者さんも変わっていくという活動をやっていくべきだ」との持論を披露した。

また、データを活用したマーケティングが主流となるなかで、「(医師が)カルテに症状とか困り事を書くのであっても、それを引き出せなかったら、そのデータは本物じゃない」と見通し、「本当の製品価値は、患者さんが言わない症状の改善というところにアンメッドがある。家族が改善していることもある。それを医師や医療スタッフが把握し、データに反映して初めてデータが活きるようになる」と述べ、「まだまだMRがやるべきことは沢山ある。この可能性を我々がMRにしっかり伝えて、変えていかなければならない」と熱く語った。

◎「やはりパートナーとして信頼関係を作ると(製品は)市場に浸透していく」

吉田氏はまた、「人間関係で売る時代が終わると言われたが、そうではない」と否定し、「やはりパートナーとして信頼関係を作ると(製品は)市場に浸透していく。MRの数は減ってきたが、アンメッドメディカルニーズに精通するMRなら、医師側も、“だったらこのMRに話を聞こうかな”ということになる」と述べ、医療現場の課題に精通したMRの存在価値と存在意義に言及した。

◎“会ってみたいMR” “話してみたいMR”

その上で顧客視点にフォーカスしたMR活動に言及。「情報活動の中身はコンプライアンスの観点で変えられないが、医師との面談時のオープニングの話題などは何も規制されるものではないと思う。要はそこを工夫してみてはどうかということ」と指摘。「例えば医師とMR自身の共通点を探してみることが、“会ってみたいMR”、“話してみたいMR”につながり、最終的に患者さんにつながっていく」と自身の経験を交えて説明した。また、医師と面談する際のMR側の制約条件に触れ、「(医師に会いにくい、会ってもらえないなど)コラボレーションしないことが営業力を高められない一つの要因になっている」と指摘。「医師側の事前ニーズの把握など、MR側の心理的制約を意識してマネジメントして欲しいということをエリアマネージャーにお願いしてきた」と振り返り、改めてMRと医師との人間関係の重要性を訴えた。

◎「なんか普通の米屋さんじゃないね」-。タケダ営業所長から米穀事業に転身した宗雅文氏

武田薬品のMR経験者2人目は宗雅文氏。「会う人、会う人から、なんか普通の米屋さんじゃないね、と言われる」-そう語る宗氏は、タケダ時代は北関東甲信越支店新潟営業所、長岡営業所、甲府営業所第 1 チームリーダーを経て松本第二営業所所長を務め、2019年に同社退社後は、名古屋食糧の米穀事業部営業本部、人事部、経営戦略室を歴任。2022年からはRCF(名古屋食糧グループ・九州拠点)を設立し、名古屋食糧およびRCFにて、米穀事業を中心に仕入、営業戦略・経営企画・組織運営に従事している。現在は名古屋食糧執行役員兼RCF取締役を務める。

この日のプレゼンで宗氏は、自身の転職に触れ、「(営業所長だった)40歳を超えたころ、自分の今後の人生を考えたときに、このまま突き進むべきか、違う道にチャレンジすべきか悩んだ」と明かす。元々実家が会社を営んでいたこともあり、「どこかで商売人になりたいという想いもあり、経営を目指したいと考えたこともある」と語ってくれた。その一歩を決断したきっかけは、「いまの所属会社(名古屋食糧)の社長から、1からスタートアップで企業するのはリスクが高い、うちに来てやってみてはどうか」と背中を押しれたことが転機になったと宗氏は明かしてくれた。

◎「いろいろな出会いから刺激を受け活動できている。MRの経験はまさに生かされている」

その上で、新しい米穀事業の転機も語ってくれた。それはSENTAN Pharmaとの出会いだったと振り返る宗氏。九州大学発の創薬ベンチャーで国産玄米胚芽エキスのナノサプリ「玄米フーディクル」を開発していた。もともと製薬会社に勤めていただけに、さっそく同社の門をたたき、業務提携まで取り付けることに成功したという。さらに、こうした事業を通じて福岡県糸島市の畜産農家と組んで産官学で地域課題にも取り組んでいると説明。「私は元々MRをしていたが、いまも様々なヒトと関わりを持って仕事ができている、本当に出会いが多い。もう6年目に入ったが、特にこの2年間は出会いが多く、いろいろな方に出会いながら刺激を受け、活動できている。MRの経験はまさに生かされていると思う」と自分自身を振り返った。

◎夏目製作所でセカンドキャリアをスタートさせた斎藤秀夫氏 Active-Tがつないだ「ご縁」

このほか、この2月末に武田薬品を退職して夏目製作所でセカンドキャリアをスタートさせた斎藤秀夫氏も参加した。この日のActive-Tには夏目製作所の夏目知佳子代表取締役が登壇し、動物実験関連機器の製造・販売メーカーの老舗として約80年の実績があることなどを説明した。また、斎藤氏の採用についてもActive-Tの新野氏を通じて実現したと紹介した。

齋藤氏は本誌取材に対し、今回の転職の動機について、「自分を成長させてくれる会社だと期待して飛び込んだ」と語り、タケダ時代のMR経験を活かし、新たなチャレンジに挑みたいと意気込んだ。斎藤氏は夏目製作所においてプランニングチーム チーフコーディネーターに就任している。
プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(56)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー