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伊藤忠商事 健診データ活用した製薬向けマーケティング支援開始 第1弾はCKD 「肥満症」が次の対象に

公開日時 2025/02/13 04:52
伊藤忠商事は、国内の健診関連事業を展開するウェルネス・コミュニケーションズ社と、健診データを活用した製薬企業向けマーケティング支援事業を開始した。企業従業員の健康診断やストレスチェックの結果を一元管理しているウェルネス・コミュニケーションズ社を通じ、第1弾として慢性腎臓病(CKD)の可能性のある被保険者を絞り込み、その後の再検査や受診動向などの統計情報をデータとして製薬企業にフィードバックする。製薬企業がアプローチしたい潜在患者に対し、疾患啓発から医療機関の受診まで促すマーケティングモデルを提供するものだ。CKDに続き、「肥満症」をターゲットに製薬向け支援事業を拡大する考えだ。

ウェルネス・コミュニケーションズ社は、約1700社の企業や健康保険組合と契約があり、健康診断の予約代行サービスや企業従業員に対する健康管理システムの運営などを行っている。具体的には、企業の従業員の健康診断やストレスチェックの結果を一元管理し、健診データ等の可視化・分析集計・利活用が可能なクラウド型健康管理システム「Growbase」を通じ、従業員の健康管理をサポートするというもの。今回の製薬企業向けマーケティング支援事業では、「Growbase」を利用する企業や健康保険組合の同意のもと、同システムに蓄積されている健診データを用いて製薬企業がアプローチしたい潜在患者に対して、疾患啓発から医療機関の受診までを促す「企業従業員向け健康増進プログラム」をサービス提供している。

◎第1弾として着手した「CKD」 eGFRの値と尿蛋白の値で絞り込み

第1弾として着手したのが「CKD」だ。伊藤忠商事 情報・金融カンパニー 情報・通信部門フロンティアビジネス部 フロンティアビジネス第二課の玉城諭氏(写真右)は本誌取材に応じ、「今回の仕組みは、(製薬企業が)疾患啓発したい層に健保組合の単位で絞込みを行い、その後、被験者にアナウンスして、再検査を受けたか、医療機関を受診したか、結果はどうだったかといった一連のスキームをデータで提供するもの」と説明。CKDの場合、eGFRの値と尿蛋白の値で絞り込みを行い、その該当者に関する基本的な統計情報を製薬企業に提出する。提出情報は個人情報が含まれず、健保組合における当該絞込み者の構成人数や男女比率などが基本になるという。さらに、レセプト情報について玉城氏は、「基本的にその中で何人が再検査して、何人に診断がついて、何人に投薬が始まったかという情報を製薬企業に戻している」と明かしてくれた。

フロンティアビジネス第二課の白石純一朗氏(写真左)は、「(製薬企業側は)どちらかというと自分たちが販売している製品を処方されたかどうかより、まずCKDの患者がしっかりと分母として増えたのかどうかをKPIとして置いている」と指摘。一方で健保組合側からは、「製薬企業の薬剤がどう処方されたかまで出しても良いと回答する健保もある」とも話してくれた。

その上で白石氏は、「自分たちの薬剤が処方されたかどうか知りたい製薬企業もあると思う。このスキームでは、新しい患者がどのくらいなのかROIまで見られる。ここが今までの施策とは大きく違うところではないか」と述べた。

◎「肥満症」にフォーカス 本当に受診して欲しいセグメントに情報を届ける

次なる疾患啓発の対象として「肥満症」にフォーカスしている。すでに製薬企業との意見交換も始まっているという。白石氏は、「健保組合の立場でみると、いわゆる40歳以上の特定健診で数値が悪い人たちに受診勧奨したり、特定保健指導したり、様々な施策はやっているが反応はめちゃくちゃ悪い」と強調。「健保として何とかしたい」というのがホンネだと指摘する。

一方で、肥満症の場合、対象者の絞込みは必須だ。やせ薬やダイエット薬といった治療薬に対する誤った社会概念の払拭と不適切使用の是正が製薬企業側に求められている。この点で白石氏は、「治療対象は40歳以上が殆ど。20~30歳は含まれない。治療が必要な方々に自費処方は製薬企業として絶対に推奨できないので、いわゆる疾患啓発を案内し、対象を絞ってダイレクトにメッセージを送りたい。本当に受診して欲しいセグメントに情報を届かせたい製薬企業をこのスキームで支援することができる」との見解を示した。続けて、「製薬企業はご存知の通りDTC広告が打てないので本当の意味での疾患啓発がなかなかできない。そういったところで我々に期待してもらっているのかなと思う」とも語ってくれた。同社によると、BMI 27以上、30以上で基礎疾患があって生活習慣の改善に取り組んでいる対象者は、健保組合の中で「約3%程度」という。行動変容を促さないといけないターゲットの絞込みは極めて重要な課題と言える。同社も、このスキームの中で、伊藤忠グループのアセットを活用して一般向けの情報資材の制作や提供なども検討する必要性に言及した。
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