協和キリン・宮本社長 合理化や筋肉質な取り組みを「継続」 日本事業も「シフトは必要」
公開日時 2025/02/10 04:50
協和キリンの宮本昌志代表取締役社長CEOは2月7日の2024年12月期決算説明会で、2030年に向けたビジョンの実現やその先の成長に向けて、「合理化や筋肉質にする取り組みは終わっていない。まだかなり継続していく」と強調した。その上で、日本事業にも触れ、「(24年実績での)日本の売上高は3割ぐらい。日本事業をどうしていくかというのは、これからのパイプラインを見た上でも、シフトは必要だろうと考えている」との認識を示した。
同社では、30年に向けたビジョンの実現を掲げ、構造改革を積極的に進めている。24年もアジア・パシフィック地域の事業再編や、低分子創薬研究の縮小などを実施。低分子創薬縮小に伴う研究本部などを対象とした24年の早期希望退職者募集には121人が応じたという。
こうした状況の中、24年12月期決算業績における売上高は好調な海外売上が牽引し、前年比12.1%増の4956億円となった。一方で、日本市場は前年比8.4%減の1347億円で、売上高全体の27%だった。宮本社長は日本事業のあり方を問われ、「何も具体的に決まっているものはない」と前置きした上で「今まで通りにはできないというのは当然考えている」と述べた。
◎研究開発費は2年連続1000億円超 パイプライン「2、3年前とは状況違う」
構造改革の一方で、研究開発には大規模投資が続く。24年に前年比44%増の1035億円を投じ、25年も1070億円となる計画を示している。開発パイプラインには、アトピー性皮膚炎を対象疾患として25~26年の承認申請を目指す抗OX40抗体・KHK4083(一般名:rocatinlimab)など後期段階に入っているものもあり、宮本社長は「かなり充実してきている。2、3年前とはだいぶ状況が違う」と主張。その上で「これからはパイプラインを精査して、我々の成長に資するものには積極的に投資し、そうでないものは峻別をしていくフレーズになっていく」との考えを示した。
◎新体制移行へ 新社長COOのマリック氏 「使命は30年ビジョン・戦略の実行」
また、25年には新体制への移行も控えている。3月の株主総会を経て新たに代表取締役社長COOに就任予定のアブドゥル・マリック常務執行役員CIBO(Chief International Business Officer)は「私の使命は2030年に向けたビジョン、戦略を実行していくことだ」と現行体制の路線継続を強調。注力する点として、市場へのさらなる製品浸透や研究開発への投資、人材・組織力の強化を挙げ「生活を一変させる薬をお届けし、より多くの患者さんが笑顔になっていただくために確実に実行していかなければいけない」と抱負を述べた。代表取締役会長CEOに就く宮本社長は「戦略をより加速化していく上で、CEO、COOの役割分担をして取り組んでいきたい」と意気込んだ。