協和キリン 新社長COOにアブドゥル・マリック常務CIBO就任へ グローバル化へのさらなる強化目指す
公開日時 2024/11/01 04:52
協和キリンは10月31日、新たな代表取締役社長COOにアブドゥル・マリック常務執行役員CIBO(Chief International Business Officer)を充てるトップ人事を発表した。次期社長COOに指名されたマリック氏はこの日、東京都内で記者会見に臨み、「我々の基盤は先駆的なサイエンスにある。先進的な抗体医薬や細胞遺伝子治療を含めて次世代の治療薬や治療法を展開するためにイノベーションの追及はこれからも継続しなければならない」と一声を発した。宮本昌志社長は代表取締役CEOとなる。いずれも2025年3月の定時株主総会と取締役会で正式決定する。
◎宮本社長は会長CEOに 2人体制で「プレゼンスを出すフェーズ」
新体制では、マリック氏が社長COOとしてグローバルレベルでの業務全体の遂行を統括する。各リージョンやファンクション間の連携をこれまで以上に強固にしながら経営戦略の舵をとる。一方で、宮本社長は会長CEOとして、協和キリンの方向性や全体戦略の議論を主導する立場になる。加えて、ステークホルダーとの関係構築・維持といった新たな業務を担う。
同社はこれまで「日本発のグローバル・スペシャリティファーマ」を戦略の旗印に掲げてきた。今年2月にはこれを実現するための「Story for Vision 2030」を打ち出したところ。記者会見で宮本社長は、社長交代のタイミングに言及し、「協和キリン全体の動きが強化、加速されつつある今、グループをグローバルレベルでさらに強くしなやかなチームとするために経営体制を一部変更することとした」と説明した。さらに「18年の社長就任後、グローバル化をかなり進めてきた」と振り返りながら、「一定の進捗はあるが、さらにプレゼンスを出すフェーズにおいて体制を変え、より強く進めていきたい」と新体制への期待感を込めた
◎マリック氏 患者とつながり「仕事の価値を認識することが重要」
次期社長COOとなるマリック氏は今後の経営課題について、「施策の優先順位付け」と「部門横断的な取り組み」の2点に取り組む姿勢を表明した。特にグローバル化をさらに推し進める上で、「患者さんにより近いところで、部門横断的な協業が必要」と強調。患者とのつながりを得ることで、「我々の持つ医薬品の価値を認識できる」と述べ、「我々のビジネス自体が多くの課題に満ちている。その障壁を超えるには、従業員一人ひとりが仕事の価値を認識することが重要だ」と社長就任への意気込みを語った。
◎英国出身の57歳 サノフィやノバルティス ファーマなどでキャリア
マリック氏は英国出身の57歳。サノフィやノバルティス ファーマなどでキャリアを重ね,
18年に協和キリンへ入社。英国グループ会社の代表や、本社の常務執行役員海外事業統括などを務め、24年4月から現職に就いている。宮本社長はマリック氏について「グローバル品の成長を牽引するだけでなく、欧州やアジア・パシフィック地域の変革を主導する局面では、組織をあるべき姿に変えるだけでなく、従業員との対話も非常に密に、積極的に行い、高いマネジメント力を発揮した」と評価する。これに対しマリック氏は、「製薬業界で25年間経験を積んできた。様々な国のヘルスケアシステムの下で、いろいろな事業に携わってきた。この学びを新たな役割でも生かしていきたい」と抱負を述べた。