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久光製薬・南氏 24年度のモーラステープに「選定療養の影響あった」 25年度も影響継続と予想

公開日時 2025/04/11 04:51
久光製薬の南秀尚・執行役員渉外担当は4月10日の2024年度(24年3月~25年2月)決算説明会で、最主力品のモーラステープ群の24年度国内売上が前年度比45億円の減収(18.6%減)となったことについて、「選定療養の影響があったと受け止めている。45億円のマイナスは決して小さい数字ではない」と述べた。25年度(25年3月~26年2月)予想でも、モーラステープ群は前年度比31億円減(16.0%減)と見込んだ。南氏は、「後発品との競争は、選定療養の導入もあって厳しいものになっており、このような予想数字をおいた」と説明した。

南氏は、24年10月の長期収載品の選定療養化がスタートしてまもなくとなる10月10日の24年度第2四半期決算説明会で、「当初警戒していたほどの影響はない」との見方を示していた。それから6カ月間で選定療養による後発品への置換えがじわりと進んだようだ。ただ、選定療養による減収影響は「想定の範囲内だった」とも強調した。選定療養の対象となった長期収載品では、長期収載品の薬価と後発品の最高価格帯との価格差の4分の1に相当する額を患者が追加負担する。

◎モーラステープAGの取扱い 製販元の祐徳薬品と協議へ

モーラステープを共同販売している祐徳薬品が今年2月にモーラステープのオーソライズド・ジェネリック(AG)の承認を取得し、祐徳薬品は薬価追補収載後、先発品とともにAGを市場投入する方針を示している。このAGは、いわゆる後追いAGとなる。

久光製薬もモーラステープAGを手掛けるのかについて同社の磯部雄一・執行役員経営企画本部長は、「後発品の状況を勘案し、祐徳薬品とも協議して、私どもとして何かできることを今後、提案・企画していくが、現時点で決定していることはない」と述べた。提案・企画のひとつに「AGの販売に対する協力」を挙げたが、「当社としては引き続き先発品を医療機関にお使いいただくことがメインの活動になる」と強調した。

◎国内製造・米国輸出のサロンパス、トランプ関税の影響受ける可能性 「戦略的な投資含め検討」

久光製薬は、OTC医薬品のサロンパスのグローバル展開を推進中で、市場の大きい米国を中心に更なる拡販に取り組み、生産能力の向上も図っている。一方で、米国向け製品は日本で製造して米国に輸出しており、トランプ米大統領が相次ぎ打ち出す高関税政策の影響を受ける可能性がある。

”トランプ関税”への対応について磯部氏は、「(サロンパスは)関税の動向を見ながら、戦略的な投資を含めて対応を検討していくことになる」とし、「プランはいくつかあるが、米国に現在ある(医療用医薬品向けの)工場を増強するのがメインのプランになる」と明らかにした。なお、米国内で販売している医療用医薬品は米国内の工場で製造しており、トランプ関税の影響は受けない。

◎24年度連結業績も増収増益、4期連続 国内医療用薬事業は3.8%減と厳しく

久光製薬の24年度連結業績は、サロンパスを中心に海外売上が増加するなどして、売上高は前年度比10.1%増の1560億円、営業利益は43.5%増の189億円、親会社帰属当期利益は55.8%増の218億円――となり、4期連続の増収増益となった。海外収益には円安効果もあった。

一方、国内医療用医薬品事業は3.8%減の524億円だった。モーラステープ群の売上は18.6%減の197億5100万円で、24年4月の薬価改定や選定療養の影響が大きかった。次期主力品の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)含有全身性経皮吸収型製剤・ジクトルテープは63.0%増の88億7000万円と伸長したが、モーラステープ群の減収分をカバーするまでには至らなかった。

久光製薬は、ジクトルテープを基幹製品とするため経営資源を集中しており、医師向け講演会を精力的に開催。ジクトルテープが“全身性経皮吸収型製剤”であるとの認知向上や、経皮吸収型ということで消化管障害の低減が期待できるという製品特性を医師に広く知ってもらう活動を進めている。

◎26年度予想 連結業績は5期連続増収増益へ 国内事業は3.4%減収見込み

26年度の連結業績予想は、サロンパスや女性ホルモン製剤を中心に海外売上の増加を見込み、5期連続の増収増益の計画を立てた。

国内の医療用医薬品事業は依然として厳しく、売上は3.4%減の506億円と見込んだ。25年4月の薬価改定による影響は「2%台半ば」。選定療養の影響を引き続き受けるモーラステープ群は16.0%減の179億円と予想した。ジクトルテープは26.3%増の112億円と予想し、26年度に100億円の大台を超えるとしている。

【24年度連結業績(前年同期比)、25年度予想】
売上高1560億600万円(10.1%増) 1650億円(5.8%増)
営業利益188億9500万円(43.5%増) 200億円(5.8%増)
親会社株主帰属純利益217億5800万円(55.8%増) 220億円(1.1%増)

【24年度の国内医療用主要製品売上(前年同期実績) 25年度予想、億円】
モーラステープ群 197.51(242.73) 166
ジクトルテープ 88.70(54.43) 112
ハルロピテープ 40.10(34.87) 38
モーラスパップ群 30.46(35.82) 26
フェントステープ 32.69(34.67) 29
アポハイドローション 13.93(9.84) 18
エストラーナテープ 19.60(20.10) 19
その他 89.49(91.61) 87
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