協和キリン 高崎工場にバイオ医薬品原薬製造棟を竣工 開発の初期プロセスから治験開始をスピードアップ
公開日時 2025/03/03 04:48

協和キリンは2月26日、高崎工場の敷地内で、バイオ医薬品原薬製造棟「HB7棟」の竣工式を行った。HB7棟は、独自の抗体技術やタンパク工学を活用してバイオ医薬品の原薬を製造する施設。治験薬製造のパイロット設備、GMPに準拠した製造設備を併設し、同じシングルユースの製造設備を導入したのが特徴。これにより、バイオ医薬品原薬について初期の開発プロセスから開発、治験薬の原薬製造まで同じ設備で行うことを可能にした。宮本昌志代表取締役社長CEOは竣工式で記者団に対し、「開発の初期のプロセスから治験への開始、治験の進行を非常にスピーディーに行うことを計画している」と強調した。
高崎工場はバイオ医薬品の開発および上市品の製造を担う拠点。HB7棟のパイロット設備では、連続生産の検証を行うなど、設備の活用で将来のバイオ医薬品の安定供給に向けた技術革新も目指す。
◎製造・品質管理作業のトレーニング施設も 「日本のバイオ製造能力アップに貢献したい」

バイオ医薬品生産の経験がある技術者が少ないことが課題として指摘される中で、製造や品質管理作業のトレーニング施設も立ち上げた。主要な製造プロセスについて自社の製造現場と同じ操作やシミュレーション作業ができる設備を導入し、トレーニングを強化する。高崎工場ではバイオ医薬品技術者を育成するための専門組織を設置するなど取組みを進めているが、今後はHB7 棟を活用し、実技と座学を組み合わせた育成プログラムを充実させる考え。宮本社長は、「工場のスタッフやオペレーターに対し、実際の機器を使ったレベル別の訓練を行い、優秀な人材を継続的に育成することで、協和キリンのバイオ医薬品の製造能力のみならず、日本のバイオ医薬品製造能力のアップに貢献していきたい」と意欲をみせた。
また、建設を進める米国ノースカロライナ州に新バイオ医薬品工場との連携を強化する考えも示した。人材交流に加え、技術やノウハウなども交流を深め、開発から上市までの技術移管を容易にし、医薬品の開発をさらに加速させたい考え。宮本社長は連携強化により、「協和キリンのバイオ医薬品の製造能力を飛躍的に高めていく、競争力を持った形でグローバルに製造を続けていくという体制を作ろうと目指す」と語った。