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住友化学・住友ファーマ 再生・細胞医薬で合弁会社「RACTHERA」設立 30年代後半の売上3500億円

公開日時 2024/12/18 04:52
住友化学と住友ファーマは12月17日のオンライン共同会見で、再生・細胞医薬事業の研究開発等を担う合弁会社「RACTHERA(ラクセラ)」を設立すると発表した。営業開始は2025年2月1日で、出資比率は住友化学66.6%、住友ファーマ 33.4%となる。会見に臨んだ住友化学の岩田圭⼀代表取締役社長は、「パーキンソン病を対象としたiPS細胞由来製品を世界で初めて開発するなど、住友ファーマは長年の蓄積した技術と知見がある」と強調。成功確率調整前と断りながらも、「2030年代後半に事業規模3500億円を目指す」と強調した。一方、住友ファーマの⽊村徹代表取締役社長は、「再生・細胞医薬事業の成功には住友ファーマの主体的な取り組みの継続が必要だ」と述べ、グループ内シナジーの発揮で事業成功に導く考えを表明した。

◎「グループを挙げて、この事業の展開を加速させる」 住友化学・岩田社長

「再生・細胞医薬事業は成長部門の中核になるもの。細胞治療の世界市場は2022年度で約20億ドルと言われており、今後も年率10〜15%の伸びが⾒込まれる有望分野だ」-、住友化学の岩田社長はこう強調した。続けて、「住友ファーマは長年の取り組みで蓄積した世界の先頭を走る技術と知見がある。それに住友化学の工業化技術や分析、品質管理に関するノウハウ、そしてバイオ関連の知見を掛け合わせ、グループを挙げて、この事業の展開を加速させる」と意気込んだ。

住友化学は24年4月30日の経営戦略説明会で、ヘルスケア領域(アドバンストメディカルソリューション)を“成長の第3の柱”として育成する方針を掲げたところ。特に、再生・細胞医薬品とCDMO(再生・細胞)事業をあわせた事業規模は2035年で3000億円(売上)と期待値を込め、同時に、24年度中を目途に共同出資による新会社設立などグループ内再編も打ち出していた。

RACTHERA、S-RACMOと住友ファーマがつながって研究開発 グループ全体の力を結集

今回は、合弁会社「RACTHERA(ラクセラ)」の設立と同時に、住友ファーマの生産機能を住友化学との合弁会社「S-RACMO(エスラクモ)」に移すことも発表した。住友ファーマの木村社長は、「RACTHERA、S-RACMOと住友ファーマがつながって研究開発をする。住友化学グループ全体の力を結集してラクセラの再生・細胞医薬事業の成功を目指したい」と強調した。

◎株式保有率に応じた投資負担で「研究開発・設備投資が軽減」

木村社長はまた、再生・細胞医薬事業の推進体制として、住友ファーマ内に「開発推進のハブとしてRACTHERA兼務者主体の再⽣医療推進室を設置する」と明かした。また住友ファーマにとっての意義に触れ「株式保有率に応じた投資負担により 研究開発・設備投資の負担軽減や株式保有率に応じた投資負担により、研究開発・設備投資の負担軽減が図られる」と述べたほか、「RACTHERAの事業収益に加え、譲渡対価収益、開発マイルストン(最⼤約40億円)および販売マイルストン(最⼤約1500億円)収⼊が期待されると強調。「再生・細胞医薬事業の負担を軽くすることで、住友ファーマの得意とするがん領域や精神神経領域の研究開発に柔軟性を持たせることが可能になる」とのメリットについても言及した。

◎27年度売上収益・最大100億円、30年代半ば・最大1000億円、30年代後半・最大3500億円

事業見通しについて木村社長は、27年度の売上収益で最大100億円、30年代半ばで最大1000億円(成功確率調整前)、30年代後半で最大3500億円(同)の売上収益拡大を目指す方針を示した。なお、開発パイプラインの他家iPS細胞由来(パーキンソン病、網膜⾊素上⽪裂孔、網膜⾊素変性、脊髄損傷、腎不全)5製品については、すべてRACTHERAに移管される。


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