住友ファーマ・山崎営業本部長 早期退職募集後の営業体制 DTLインパクト上げるなど「強いMR作る」
公開日時 2024/08/09 04:52
住友ファーマの山崎浩二・営業本部長は8月8日に東京本社で開いた会見で、早期退職700人募集後のMR活動や営業体制について、「できる限り行動量を上げて、1回のディテール(DTL)インパクトを上げてというMR教育をしっかり行い、『強いMR』を作っていくことが大方針になる」と述べた。木村徹社長はこれまでに、今回の早期退職者募集によって、自社MRで全国を万遍なくカバーすることは困難になるとの見通しを話している。山崎氏もこの日、「MR数によってカバー率は変わる。どのような規模の体制になるかで戦略、戦術は変わる」と指摘し、行動量とDTLインパクトを上げるというMR活動の基本を徹底することで影響を最小化する構えをみせた。
住友ファーマは、必達目標の2024年度のコア営業利益の黒字化や、日本セグメントとして黒字を継続できるようにするための事業構造改革の一環として、日本で早期退職者を9月17日から募集する。募集人数は約700人だが、営業など部門ごとの募集人数は設定しない。このため現在の950人の国内MR数(マネジャーを除くと860人)が何人体制になるかは現時点ではわからない。山崎氏は8月1日から個別面談を始めたことを明かしたが、「(営業部門は)現状、どのような結果で終わるか見えていない」と述べた。
木村社長はこの日の会見で、早期退職者募集による国内営業への影響について、「社員の4分の1が営業部門なので、相当の応募者を考えないといけない」と改めて所見を述べた。そして営業活動への影響を最小化するため、「営業の仕方の工夫、新しい形の営業体制の構築を考えていかないといけない」との認識を示した。
住友ファーマでは、社名変更前の大日本住友製薬時代から、営業本部長には「代表取締役」や「取締役」、「常務執行役員」、「執行役員」といった役職も付いていた。ただ、4月1日付で着任した山崎営業本部長にはこれらの役職は付いておらず、大日本住友製薬時代からみて初の事例とみられる。日本の営業本部の位置づけが落ちたとの指摘も聞かれる。
この点について木村社長は、「(山崎氏の)役員としての経験年数その他」によるものだとし、「山崎は非常に優秀な人材で信頼しているが、もう少し経験を積んで欲しいということ」だと説明した。そして、早期退職者募集への対応や新たな営業体制の構築、国内売上への影響最少化という「非常に能力が必要」な難題に対し、山崎氏の営業経験や人事部長の経験が生かせると判断した人事だと言い、「(山崎氏を)決して低く見ているわけではない」と強調した。