MSD B肝ワクチン・ヘプタバックスの製造中止 厚科審・生産流通部会で報告
公開日時 2019/04/09 03:50
MSDは4月8日、定期接種に用いられるB型肝炎ワクチン・ヘプタバックスの水性懸濁性シリンジについて、製造を中止していることを明らかにした。同日、厚生労働省で開催された、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会で報告された。同社は、「原液の製造過程で、所定の規格を満たせない事象が断続的に発生した」と説明し、詳細は明らかにしていない。今後の供給については、医療機関の在庫に加え、KMバイオロジクス社からの供給もあるため、「喫緊で安定供給に影響するものではない」としている。
MSDによると、同剤は米・メルクが生産しており、現在日本以外の国でも供給できない状況となっている。製造を再開し、国内供給を再開できる時期は早くても2020年半ば以降で、現在の出荷量のままだと、0.25mLは2020年1月以降、0.5mLは2019年10月以降に卸に対して供給できなくなる見通しという。
B型肝炎ワクチンは、同社のほか、KMバイオロジクス社も供給を担っている。厚労省では、「KMバイオロジクス社が可能な限り増産すれば、安定供給に対する将来的な懸念は大幅に軽減される」とし、今後同社に対し、増産を求める考えだ。このため、「喫緊で安定供給に影響するものではない」と強調した。
B型肝炎は、16年10月に定期接種の対象疾病に位置付けられ、1歳までの間に3回の接種が行われている。定期接種のほか、母子感染予防や医療従事者などに対するニーズもあり、定期接種とあわせた国内のニーズは、年間650~750万回と考えられている。
◎第一三共 DPT-IPVワクチンの生産一時停止
同日の部会ではこのほか、第一三共が製造販売している沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワクチン(DPT―IPV)「スクエアキッズ皮下注シリンジ」の生産が、2019年度以降、一時停止されていることも報告された。
理由について同社は、沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DPT)の原液を製造していた施設を老朽化のために建て替えたことが影響していると説明。「百日せき(P)の原液製造の試験製造で規格に入らなかった事項があり、製造プロセスが確立していないことが判明したため」としているが、詳しい理由については開示していない。
同剤は主に、小児への定期接種として用いられている。ただ、同社のほか、阪大微生物病研究会とKMバイオロジクスもワクチンを供給しており、代替は可能としている。厚労省は、医療機関での在庫のほか、2社からの供給により、2020年度以降も安定供給できる見込みとしている。