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日医工・岩本社長 コア営業利益65億円達成「視野に」 生産体制・品質保証体制の強化が全社員に浸透

公開日時 2025/01/29 04:52
日医工の岩本紳吾代表取締役社長は1月28日、富山市内の本社で本誌インタビューに応じ、25年3月期業績の通期目標に掲げたコア営業利益65億円達成が視野に入ったと明らかにした。23年3月の社長就任以降、集中的に取り組んだ生産体制と品質保証体制の強化が社員・社内に浸透。全866製品の94%が通常出荷に、さらに過去2年間で70%以上が出荷量を増加、他社からの代替要請を受け、昨年は123製品、今年は100製品の代替生産を実現するなど、「一定の成果を出せた」。岩本社長は、経営再建から2年を経て「金融機関、投資家の方々と約束させていただいた目標を達成できる見込みになった」と胸を張った。また、JWP傘下の共和薬品との協業について、25年中に重複する84品種181品目の集約・統合と、物流・倉庫の効率化について明確化する考えを示した。

「(経営再建を任された最初の決算)24年3月期は黒字転換(コア営業利益12億円)で終わることができたが、金融機関や投資家の期待に届くにはちょっといま一つだった」-。岩本社長は振り返る。一方で全社員の意識改革が浸透し、着実に息吹き始めていることに手応えを感じていたという。その筆頭格に位置づける「生産体制の強化」は、全製品の94%が通常出荷となり、この2年間で70%が出荷量の増加を経験した。さらに、他社での出荷が厳しいということで代替要請を受けて代替生産した製品も24年12月末時点で100品目に及ぶ。岩本社長は、「新たな品質方針を作って、それを全社員に徹底させた。これは生産部門とか品質保証本部だけでなく、営業やバックオフィスも含めた全社員に意識していただけた。社員にその意識が定着してきたのだと思う」と強調。「社員の意識改革が今までの成果として出てきた」と述べ、「結果として今期業績は、利益ベースでほぼ計画通り(コア営業利益計画65億円)達成できる見込みになった」と強調した。

◎共和薬品との協業 重複製品の集約・統合で「最後のステップ」 物流や倉庫の効率化も

一方、岩本社長はJWP(ジェイ・ウィル・パートナーズ)傘下の共和薬品との協業について、「重複している製品を効率よく生産するにはどうしたらいいかについて、品目ごとに具体的な話を進めている。着々と準備を進めており、最後のステップに入ってきたと考えている」と明かしてくれた。共和薬品の2工場と日医工の6工場を使って、両社の重複製品84品種181品目の集約・統合を検討しているもの。加えて物流や倉庫の効率化についても25年中に方向性を固める考えを示した。

また、両社のパートナーシップのイメージについては、「共和薬品は向精神薬、日医工は注射薬に強みを持っている。今のところはそこのメリットを活かした体制といった考え方だと思っている」と述べ、一足飛びの統合には慎重姿勢を示した。ただ、両社の人材交流については、「まだ具体的なものはない」と断りながらも、「工場など生産部門においては可能性が高く、大きくあると思う」との認識を表明した。このほか、全株式売却でJWPの傘下に入る武田テバについては、「今のところ何も具体的なことは聞かされていない。今後の検討ということになると思う」と述べるにとどめ、「何かはっきりしたらお知らせしたい」とした。

◎企業指標の導入 「生産・品質の信頼を勝ち取ることろに集中したい」

25年4月実施の薬価中間年改定を踏まえたジェネリック産業の課題についての見解も聞いた。岩本社長は今回の中間年改定について、「安定供給を前提で考えて頂けたものと評価している」と強調した。また、「企業指標」の導入については、「投資家から“良い区分を取って欲しい”という話も聞いているが、やはり生産体制と品質保証体制で信頼を得ることが求められるのではないか。この信頼を勝ち取っていくというところに(日医工は)集中していきたいと思う」と強調した。

業界再編について岩本社長は、「やはり製造をどう効率よく安定供給が確保できる製造体制にするかを皆で考えなければいけない。全部が一緒になって全部一緒に作ろうっていうのは無理だ。いろんな会社と相談して、安定供給するにはどういう方法をとったらいいのかを相談させていただいて、その上で製造のところをしっかり構築していくということを他社さんを交えてやっていきたい」と話してくれた。続けて、「もう話が来ている。実際に検討も始めている」とも明かし、行政など関係機関とも相談しながら進めていきたいと語った。

◎日医工のMR 「注射剤メーカーとして勤務医・病院薬剤師にサイエンティフィックな情報を提供」

日医工のMRについて岩本社長は、「これからはサイエンティフィックな情報提供をしっかりとできる営業組織にしていきたい」と強調した。日医工はGE業界トップクラスの生産量の注射剤を製造している。岩本社長は、「注射剤を生産しているメーカーとして、病院の医師や薬剤師に対し、製品情報に加えて、科学的な疾患ベースの情報提供を行っていくことがMRに求められる」と述べ、疾患の周辺領域を含む科学的な情報提供のできる組織体制を構築したいと意欲を示した。

◎生産ギャップ解消「一刻も早く作りたい」 生産部門・QC部門の人材確保で課題も

日医工の中期的なビジョンにも触れた。岩本社長は、自社工場で錠剤は約76億錠、注射剤は約1.4億本の生産能力を持ちながらも、実際に錠剤は約60億錠、注射剤は約9000万本と、生産ギャップを生じていると指摘。「一刻も早く作りたい」と岩本社長は力を込めるが、その一方で、「生産部門やQC部門の人材採用が課題になっている」と明かし、新卒者を含めた採用面での工夫や改善などに問題意識を表明した。
 
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