アステラス SGLT2阻害薬イプラグリフロジン MSDとコ・プロ契約締結
公開日時 2013/09/03 03:52
アステラス製薬とMSDは9月2日、アステラスが承認申請中の新規経口血糖降下薬であるSGLT2阻害薬イプラグリフロジンについて、日本でコ・プロモーションする契約を締結したと発表した。糖尿病治療では併用療法が多いなか、アステラスは経口血糖降下薬の中で最も使われているDPP-4阻害薬のうち、金額・数量ともにトップシェアのジャヌビアを販売するMSDとコ・プロすることで、イプラグリフロジンの競争力強化につながると判断した。MSDは新規の経口血糖降下薬をプロモーションする機会を得ることで、医療機関や患者により一層貢献できると判断した。アステラスとMSDがコ・プロするのは今回が初めて。
アステラスはMR2400人体制を敷き、循環器・内分泌製品を中心に担当する「レッドスター」と泌尿器・感染症・消化器製品を中心に担当する「ホワイトスター」に大きく分けている。イプラグリフロジンは2400人全員で情報活動する方針で、発売当初からMR全員を投入するのは今回が初めてとなる。MSDはMR2400人体制だが、ジャヌビアを手掛けているMR数は開示していない。
イプラグリフロジンはアステラスと寿製薬が共同研究・共同開発したもの。承認取得後は、製造販売をアステラスが行い、寿製薬とMSDはアステラスと共同してプロモーションする。インスリンや既存の全ての経口血糖降下薬と併用できる「2型糖尿病」の適応症での承認取得を目指している。
SGLT2は腎臓近位尿細管でのブドウ糖再取り込みで重要な役割を担っており、イプラグリフロジンはブドウ糖の再取り込みを抑制して、尿中に糖を排泄する。糖尿病治療薬の多くがインスリンにフォーカスした薬剤なのに対して、SGLT2阻害薬は新しい切り口の治療薬となる。SGLT2阻害薬では血糖降下作用に加えて体重減少作用も見られ、低血糖リスクは少ないとされる。一方で、尿路感染症などが指摘される。
日本でも開発競争が激しく、開発後期もしくは申請中のSGLT2阻害薬は6成分ある。発表ベースでは、このうち4成分が承認申請している。イプラグリフロジンは競合他社に先駆けて3月に申請した。他の申請されている成分は、ルセオグリフロジン(共同販売=大正富山医薬品、ノバルティス、4月申請)、トホグリフロジン(共同販売=興和、サノフィ、4月申請)、カナグリフロジン(共同販売=田辺三菱製薬、第一三共、5月申請)――となる。