ノボ・マイルヴァン社長 肥満症治療薬・ウゴービの適正使用に「強い自信」 国内売上高は1345億円
公開日時 2025/04/28 04:50

ノボ ノルディスク ファーマのキャスパー ブッカ マイルヴァン代表取締役社長は、4月25日の年次記者会見に臨み、2024年2月に発売した肥満症治療薬・ウゴービ(一般名・セマグルチド)について「適切かつ安全に使用されるよう力を入れており、その実現に強い自信を持っている」と述べた。同社の24年の国内売上高は前年比3.6%増の1345億円。特に最もフォーカスする糖尿病市場ではSGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬が牽引し、対前年比で6.3%成長したと発表した。
マイルヴァン社長は、会見でウゴービの最適使用推進ガイドラインに基づく適応患者が国内で約600万人に上ると説明。その上で肥満や過体重による日本の財政負担は約2兆円に及び、1%減らすごとに896億円の財政削減につながると訴えた。また、肥満症は認知度が低く、偏見も根強く残る現状に触れ、「医学会では多くのエビデンスが示され、生物学的、遺伝的、社会経済的な要因も指摘されている。こうした点がもっと広く知られるべきだ」と主張した。
同社では、ウゴービと同じセマグルチドで、2型糖尿病を効能・効果とする経口薬・リベルサスと注射剤・オゼンピックも販売している。マイルヴァン社長はセマグルチドを用いた心血管アウトカム試験の結果にも触れ、「体重減少や血糖値を下げるだけでなく、肝臓や腎臓、心臓を守るという観点も重要だ。これらにより人々の健康寿命を延ばすことで価値を示していきたい」と強調した。
また、会見に先立って発表した郡山工場(福島県)への40億円の追加投資の意義も強調。GLP-1受容体作動薬の生産拠点で、22年以降の3年間にすでに20億円を投じており、マイルヴァン社長は「グローバル戦略の一環であり、肥満症に対する需要が高まる中で製造能力を強化することで、アンメットメディカルニーズや市場に応えていきたい」と述べた。
開発中のパイプラインは、糖尿病11試験▽肥満症7試験▽心血管疾患及び新疾患領域9試験▽希少疾患7試験―で臨床試験が進行中と紹介。このうち第3相試験は計22試験に及ぶ。開発本部のマルチン ジヒマ本部長は「全ての領域で試験が進められている。段階や対象疾患も様々であり、将来にわたって健康への貢献につながる」と自信を見せた。
サステナビリティへの取り組みも紹介され、肥満や肥満症を取り巻く健康課題の解決に取り組む千葉市と千葉大学との連携協定を紹介。医療政策・渉外本部の濱田いずみ本部長は「肥満や肥満症対策のモデル都市として、取り組みの好事例を国内のみならず世界に発信したい」と述べた。また、使用済み医療機器を回収するプロジェクト「ReMed」では試験運用地域の薬局で約9200本の使用済みペン型注入器を回収。24年12月からリサイクル工程試験が始まったことを報告した。