サンバイオ株主総会 森社長「上半期中のアクーゴ出荷解除に意欲」 米国事業や資金調達で株主から意見
公開日時 2025/04/24 04:50

サンバイオの森敬太代表取締役社長は4月23日、東京都内開催した第12回定時株主総会で、再生細胞薬「アクーゴ脳内移植用注」(バンデフィテムセル、SB623)について、今期上半期中に出荷解除の一部変更承認を取得し、薬価収載を経て国内での販売開始に意欲を示した。また脳梗塞の適応追加についてPMDAとの協議開始を計画していると明かした。株主総会の質疑では株主からアクーゴ上市への期待感と同時に、中期的な事業見通しや資金調達などで経営陣への質問が相次いだ。
森社長はアクーゴの米国事業について、「外傷性脳損傷は米国では500万人以上の患者さんがいる。脳梗塞も600万人以上、脳出血も100万人以上の患者さんがいる。よって当社グループは、日本でのアクーゴの実績をもとに、米国においても、外傷性脳損傷や脳梗塞の臨床試験を実施して承認をとり上市することを考えている」と株主に説明した。これに対し株主からは、海外投資家へのアプローチを求める意見があがった。角谷芳広執行役員管理本部長は、「海外投資家も日本でのアクーゴのアップサイドの動向を注目するだろう」と見通し、「そういう投資家の目線を意識して、原点回帰でグローバル展開するという目線合わせをしながら海外投資家からの資金調達も考えていかなければならない」との認識を表明した。
資金調達について角谷芳広執行役員管理本部長は、「直近のエクイティファイナンスで40億円を確保した。まずは2026年までの資金は確保できた」と説明。一方でアクーゴの出荷解除や薬価収載を経て発売となると、「今度は在庫や営業の資金が必要になってくる。エクイティファイナンスよりも銀行の借入が必要になるということで、りそな銀行から10億円のコミットメントラインの契約を3月31日付で締結した」との経緯を説明した。また、「各銀行とも話し合いを行っている」とも述べ、「これが最後ではない」とも付け加えた。
一方で株主からは事業提携やM&Aに関する質問もあった。束原直樹常務執行役員は、「我々としてはアクーゴの製品価値を最大化すべく、あらゆる面から検討を行っている」と述べるにとどめた。
◎川西徹代表取締役会長「10年前から世界の再生医療のグローバルリーダーという目標を掲げてきた」

同社の川西徹代表取締役会長も発言を求められ、「元々10年前から世界の再生医療のグローバルリーダーになるという目標を掲げてきた」と述べ、2024年7月31日にアクーゴの製造販売承認を取得し、今回の一変申請を経て出荷できる見通しとなることで、「そこの道筋に、その時点で戻れたのかなというふうに思っている」と強調した。また、米国市場に再チャレンジすることに触れ、「1年後、3年後、そして5年後にはしっかりと皆さまが再生医療のグローバルリーダーだと確信できる、そんな姿をお見せできるよう頑張ります」と述べた。