日本リリー・持田製薬 IBDの疾患啓発を推進 便意切迫感周知でサポート広げる
公開日時 2025/04/16 04:49

日本イーライリリーと持田製薬は4月10日、炎症性腸疾患(IBD)への理解を広めるため、啓発プロジェクトを展開すると発表した。特設サイトでIBDの症状「便意切迫感」などについて発信し、症状に悩む患者へのサポートの輪を広げていく狙いがある。日本イーライリリー広報部は「若い人にも分かりやすいコンテンツを増やし、社会の理解が深まるような一助になれればと思う」とその意義を説明した。
両社が展開するのは、「炎症性腸疾患との暮らしを、話せる社会へ。」と掲げたプロジェクト。これまでIBDのうちの一つ潰瘍性大腸炎について展開してきたサイトに、同日からクローン病を追加した。疾患の症状や困りごとなどに加え、突然かつ緊急に感じる排便の必要性を指す便意切迫感について詳しく解説。患者の生活を歌とアニメーションで表現したムービーも公開し、疾患への理解を促している。
日本イーライリリーは「患者さん本人には疾患について話しづらさがあるので周囲の人にも見ていただき、理解を深めていただくことで患者さんをサポートしたい」とコメント。便意切迫感をはじめとした症状を周囲に伝えやすい社会の実現を目指すとしている。
◎便意切迫感で仕事や結婚を諦めた人も
持田製薬ではクローン病における便意切迫感の影響と実態を明らかにするため、2025年1月から2月にかけて、便意切迫感があるクローン病患者100人を対象にアンケート調査を実施した。その結果、回答者のうち24%が便意切迫感のために仕事や学校を辞め、12%が結婚を諦めた・考えられなくなったと答えたという。さらに、出産を諦めた患者も5%に上った。

セミナーに登壇した日比紀文・慶應義塾大学医学部名誉教授は、比較的若く発症する疾患の特徴に触れ、「特に若い人は恥じらいが強い。授業中や仕事で、自分の病気や症状について言いたい人は誰もいない」と指摘。「患者さんが言えないというところを、何とかしてあげないといけない」と、社会的に理解が進むことの必要性を訴えた。
なお、日本イーライリリーが製品供給し、持田製薬が流通・販売および情報提供活動を行うオンボー(一般名:ミリキズマブ)は、25年3月に「中等症から重症の活動期クローン病の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)」の適応を追加した。