ファイザー HER2チロシンキナーゼ阻害薬・ツカチニブを承認申請 HER2陽性乳がんを対象疾患に
公開日時 2025/03/18 04:48
ファイザーは3月13日、HER2チロシンキナーゼ阻害薬・ツカチニブ エタノール付加物錠について、化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がんを対象疾患に日本で承認申請したと発表した。ツカチニブは、HER2(ヒト上皮増殖因子受容体-2)に対する強力かつ選択性の高い低分子チロシンキナーゼ阻害薬で、他のタンパクを阻害することによる毒性を軽減できる可能性がある。
今回の申請は、トラスツズマブ、ペルツズマブ及びトラスツズマブエムタンシンの治療歴のあるHER2陽性の切除不能な局所進行又は転移・再発乳がん患者を対象とした海外第2相試験と、日本を中心としたアジア第2相試験の結果に基づく。海外第2相試験では、ツカチニブ又はプラセボをトラスツズマブ及びカペシタビンと併用したところ、ツカチニブ群における無増悪生存期間がプラセボ群に比べて統計学的に有意に延長し、安全性プロファイルも良好だった。アジア第2相試験では海外第2相試験と類似した結果が得られたという。
日本において乳がんは、女性で最も高頻度に発生するがんで、2020年には約9.2万人が新たに診断されている。HER2陽性乳がんは全乳がんの15%から20%を占め、診断時に疾患のステージが進行している場合が多く、HER2陰性乳がんと比較して若年者が多く、進行が早く、転移や再発のリスクが高い傾向がある。
ファイザーは、「近年、新たな抗HER2療法の開発が進み、HER2陽性乳がんの予後の改善が認められているが、大部分の患者さんでは抗HER2療法後に疾患が進行し、その後の標準治療は確立されていない」と指摘している。