サノフィが10月に早期退職者を約110人募集することがわかった。募集の内訳は、糖尿病など慢性疾患領域の医薬品を扱うジェネラルメディスン部門で約60人、免疫領域やがん領域などの医薬品を扱うスペシャルティケア部門で約40人、ワクチン部門で約10人――となる。営業部門を中心した募集とみられるが、同社広報部は本誌取材に、「全社的に実施する。すべてが営業部門ではない」と答えた。同社は１月に早期退職者募集を行っており、今回は今年２回目の募集となる。

◎募集期間は10月７日から１週間程度

今回の早期退職者の募集は10月７日から１週間程度かけて行う。退職日は12月末日とみられる。募集対象年齢は50～60歳との情報もあるなか、同社広報部は、「50歳以上に限ったものではない。諸条件を設定している」とのみ答えた。

１月に「Plan2024 拡大早期退職優遇制度」と呼称する早期退職者募集を行った。今年２回募集することになった背景や理由については、「業界の動向、社内のビジネス状況を鑑みて、当社の成長戦略に沿って組織改編を行う。結果的に２回になった」と説明した。また、「売上悪化によるダウンサイジングといったものではない」とも強調した。

今年だけで１月に50人程度募集、10月は約110人募集予定の中で、医薬品の安全性情報や適正使用情報の収集・提供をどのように行っていくのかも気にところ。この点に関しては、「顧客に適正に医薬品情報や安全性情報を今までと変わらず届けられる体制にする」とし、「ビジネス上のニーズを聞きながら組織改編の中で対応していく。デジタルも一つのソリューションだが、デジタルで全て人に置き換わるものではない。各部署のプロセスのシンプル化・効率化など様々な取り組みを通じて対応していく」と述べた。

サノフィの現在の最主力品はアトピー性皮膚炎などに対する抗体製剤・デュピクセント皮下注となる。IQVIAの公表資料によると、デュピクセントの2023年度（23年４月～24年３月）の国内売上は薬価ベースで前年同比38.9％増の866億円だった。デュピクセントの製造販売元はサノフィで、創製元のリジェネロンの日本法人とコ・プロモーションしているが、リジェネロンはデュピクセントの価値最大化に向け国内ＭＲを拡充し続けている。今回のサノフィの早期退職者募集が、デュピクセントの将来の権利返還にあるのではないかとみる向きもあるが、サノフィ広報部は「そこは特にない。関係ない」と話した。