ヒルドイド 10月の後発品シェア80%、9月比18pt上昇 選定療養の影響大きく モーラスは10pt上昇
公開日時 2024/11/20 04:52
血行促進・皮膚保湿剤・ヒルドイドの後発品シェアが10月に80%となり、9月から18ポイント(pt)アップしたことがわかった。ヒルドイドの後発品シェアは近年60%前後で推移していたことから、10月に急上昇したことになる。経皮鎮痛消炎剤・モーラスの後発品比率も10月に66%となり、9月から10ptアップした。両剤とも10月に施行された長期収載品の選定療養の影響が大きく表れたとみられる。
塗り薬や貼付剤といった外用剤は、その使用感から患者が後発品を選択することをためらうケースが少なくない。このような市場環境に対し、長期収載品の選定療養化により外用剤の後発品の使用がどのように伸びるか注目されていた。選定療養の対象となった長期収載品については10月から、長期収載品の薬価と後発品の最高価格帯との価格差の4分の1に相当する額を患者が追加負担することになった。
両剤の後発品シェアは医療情報分析サービスを手掛けるインテージリアルワールドが独自に運用する統合医療データベース「Cross Fact」のデータを基に分析したもの。対象品の処方数量から後発品シェアを算出した。
◎10月の調剤金額 ヒルドイドは9月比44%減 モーラスは21%減
同社は、選定療養対象薬剤の調剤金額上位製品の10月の伸び率も算出・分析した。院外調剤市場における選定療養対象薬剤について、9月の調剤金額1位はヒルドイド(推計約23億円)だったが、同剤の10月の調剤金額は9月比で44%減少した。調剤金額2位のモーラスは10月に21%減、同3位のプログラフは39%減となった。調剤金額上位10製品のうち6製品(ヒルドイド、プログラフ、グリベック、シムビコート、ネキシウム、アジルバ)で、10月に調剤金額が3割以上減少したことも確認された。
◎降圧剤の切替患者55%増、推計100万人 アジルバ後発品参入の翌月の切替規模に匹敵
また、患者数の多い降圧剤市場で、降圧剤の“切替患者数”の動きも見てみたところ、10月の切替患者数は推計100万人となり、前年同月比で55%増加した。同社によると、降圧剤市場では毎月60万人前後の患者が薬剤を切り替えているという。24年10月の切替患者は明らかに多く、これも選定療養の影響と考えられそうだ。
なお、降圧剤でひと月に100万人の切替患者が発生したのは23年7月の110万人というのがあるが、これはアジルバに後発品が参入した翌月のことだった。同社は、「24年10月の降圧剤の切り替えは、大型後発品の発売に匹敵する規模で進んだ」とコメントしている。