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【中医協薬価専門部会 7月17日 議事要旨 令和7年度薬価改定 令和6年度医薬品価格調査・薬価調査】

公開日時 2024/07/18 04:51
中医協薬価専門部会が7月17日開かれ、令和7年度薬価改定、令和6年度医薬品価格調査(薬価調査)について議論した。薬価調査の実施については薬価専門部会として了承した。次回は業界団体から意見陳述を行う。本誌は、薬価専門部会における発言を議事要旨として公開する。



(令和7年度薬価改定について事務局説明 略)

安川部会長:ありがとうございました。それでは今の事務局の説明に関しまして、ご質問等ございましたらお願いいたします。では長島委員お願いいたします。

長島委員:ありがとうございます。資料「薬-1」25ページの令和7年度薬価改定に係る論点等に沿ってコメントを申し上げます。まず一つ目の令和7年度薬価改定についてどう考えるかです。

診療報酬改定のない年の薬価改定となる中間年改定は、2年に1回の通常改定とは異なる位置付けであり、薬価改定を行うとしても、平成28年の4大臣合意に基づき、価格乖離の大きな品目について価格調整するということが基本的な役割であるはずです。

この価格の範囲については、様々な意見があるものの、あらかじめ基準を決めるというよりも、その時々の経済状況や財政状況、関係する医療機関、薬局の経営状況を勘案しながら、注意深く対応していくことを基本とすべきであります。

また、医療現場では日々効率化に取り組んでおりますが、それが医療の質を落とす結果になっては、国民、患者の皆様の不利益となってしまいます。4大臣合意では、国民負担軽減の観点が前面に押し出されてはいますが、同時に医療の質向上も勘案しつつ、薬価制度抜本改革を行うという趣旨が示されております。

医療の質向上には効率化も必要ですが、財源もまた必要であります。抜本的な薬価制度改革を実施していきながら、適正な価格に引き下げることで生じた差額を全て国民に還元するという趣旨の中には、医療の質の向上という形での還元という意味も含まれていると認識しております。

医療の質向上の観点で見ますと、薬価改定で得られた財源の一部を診療報酬との密接な関係の中で捉えることが重要であり、これをもって質向上に繋げていくということを前提とした議論を積み重ねていく必要があると考えます。

さて、現状、医薬品の安定供給は改善されているでしょうか? 品目によっては、未だに医療現場で薬が納入されていない状況があるとの声が届いております。その原因は、厚生労働省の他の部局で検討されていると思いますので、引き続き改善に取り組んでいただきたいと思いますが、現実問題として、すぐに解決できない品目がある一方で、増産、安定供給に対応している品目もあります。

薬価改定が行われることで対応してきている品目が再び安定供給が悪化するようでは意味がありません。薬価改定の対象品目は、先ほど述べました医療機関、薬局の状況に加え、具体的な供給状況を勘案するべきかどうか検討が必要であると考えます。

また、二つ目の論点にある通り、関係業界等からの意見聴取も行いつつ、議論を深めることに異論はありませんが、ヒアリングでは、業界としての具体的、建設的な主張をしっかりお聞かせいただいて、有意義なものになるようにすることを強く要請したいと思います。私からは以上です。

安川部会長:ありがとうございました。他にご意見等では、林委員お願いいたします。

林委員:はい、ありがとうございます。令和7年度の薬価改定について歯科の立場からコメントさせていただきます。中間年における薬価改定の議論のキックオフということで事務局から示されました資料や薬価調査の方向性につきましては、おおむね賛同いたします。また意見も先ほど長島委員が申しました通りでございます。

その上で歯科は医科に加えて薬を多く使うということはございませんが、最近はこれまで処方していた薬剤、特に歯科にとって汎用性の高い抗生物質等が品薄状態で、手に入らず大変困っているということを聞いております。これは歯科に限らず、医科でも小児の抗生物質が供給不足になっているということと同様の事態が生じているものと理解しております。

患者さんの年齢や状態に即して必要な投薬を行うということを第1に考えれば、いつも投薬している薬が無いとなると、安心、安全な歯科医療の提供に過大な影響を及ぼします。この安定供給の問題につきましては実態把握や幅広い視点での問題解決が喫緊の課題であり、検討会等で議論され報告はいただいておりますが、解決はしておりません。

早期の解決策を第1に取り組んでいただきますようお願いしたいと考えております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。

安川部会長:はい、ありがとうございます。森委員お願いいたします。

森委員:はい、ありがとうございます。資料「薬―1」25ページ目に示されている論点に沿ってコメントいたします。論点1つ目の令和7年度薬価改定のあり方についてですが、骨太の方針では、取り巻く環境の変化も踏まえて検討していくことが示されており、4大臣が合意された8年前と比べ、医療を取り巻く環境は大きく変化していることを踏まえて、実施の可否を含めて検討すべきと考えます。

医薬品の供給問題、物価高騰、賃上げ対応、円安の進行などによる影響が、サプライチェーン全体に深刻なダメージを与えており、特に中小の薬局では、経営的な限界を迎えています。また、平均乖離率も平成29年度9.1%だったものが、令和5年度には6%にまで圧縮しています。

薬局でも持続的な物価上昇や賃上げに対応しなければなりませんが、公定価格で運営される保険調剤においては、通常の販売業と異なり、仕入れに要する経費上昇を販売価格に反映できません。市場実勢価格を適切に薬価に反映するという趣旨は理解いたしますが、薬局において、薬剤費は保険収入の約75%を占めており、消費税改定も含めて7年連続の薬価改定によって、薬局などの資産価値は目減りしております。

また、毎年の薬価改定の実施は、我が国の医薬品製造、流通にとって運営上負担の限界を超えるものとなっており、これ以上の過度な負荷は、生産体制の確保や人材不足に拍車をかける結果となる恐れがあります。

頻回の薬価改定を廃止することが望ましいですが、令和7年度薬価改定については、少なくとも、現下の状況を踏まえて、その実施を延期するなど、実施の可否を含めた慎重な検討が必要です。

次に論点2つ目の、関係業界からヒアリングを行い、議論を深めていくことについて異論はありません。令和6年度の薬価制度改革が行われたばかりですので、まずはドラッグ・ラグ/ロスの解消を見据えた新薬開発、安定供給に与える影響について、業界からドラッグ・ラグ/ロス等への決意を伺うとともに、中間年改定が医薬品流通などの観点からどのような影響を及ぼしているのか、具体的に示していただけることを期待いたします。私からは以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございました。他にご意見はありますでしょうか?先にお手が挙がりましたので鳥潟委員お願いいたします。

鳥潟委員:はい、ありがとうございます。令和7年度薬価改定につきましては医薬品業界の構造的課題等の根本的課題について丁寧な議論を積み重ねていく必要があると認識しております。特に医薬品の安定供給問題は、医薬品業界の構造的な課題に端を発するものであり、診療報酬上の評価による対応では問題の根本的な解決には繋がらないと考えております。

今後、関係業界等からの意見聴取等も踏まえ、実態をしっかりと把握しながら議論を積み重ねていきたいと思っております。本質的な課題、そのドラッグ・ラグ/ロスに対する本質的な課題が一体どこにあるのかというところがまだ見えてない実情もあると思いますので、ぜひ今回はそのあたりを細かく見ていきたいというふうに思っております。ありがとうございます。

安川部会長:ありがとうございます。それでは続いて松本委員お願いいたします。

松本委員:はい、ありがとうございます。今回はキックオフということもありますのでいささか長くなりますがご容赦いただきたいと思います。

それでは資料「薬―1」の25ページの論点に沿ってコメントいたします。まず令和7年度薬価改定のあり方につきましては、診療報酬改定がない年ということで、薬価制度そのものについて大きな改革は行われないという認識を持っております。ただし、診療報酬改定のある年、ない年に関わらず、市場実勢価格に連動するものだけでなく、政策的なルールを含め、現行の制度に則って、毎年粛々と薬価改定を実施するというのが私どもの基本的なスタンスでございます。

一方で骨太方針2024では、イノベーションの推進、安定供給確保の必要性、物価上昇など取り巻く環境の変化を踏まえ、国民皆保険制度の持続可能性を考慮しながら、そのあり方を検討するとされております。この政府方針を踏まえ、直近の状況を見ながら、令和7年度薬価改定をどのような形で行うかということについて丁寧に議論することも重要だというふうに考えております。

そうした観点から令和6年度の薬価制度改革を振り返りますと、新薬についてはイノベーションの評価がかなり充実したという認識を持っております。また安定供給を確保するために、不採算品再算定の特例を実施し、後発医薬品につきましては、企業指標を試行的に導入いたしました。

開発品目の増加や供給不安の解消といった目に見える形で効果が現れるまで時間がかかることは当然ですけども、少なくとも企業マインドにどのような影響が出ているかは検証が可能だと思います。論点の2つ目とも関連いたしますが、こうしたことは業界ヒアリングの中でぜひ具体的にお示しいただければというふうに考えております。

具体的な課題としては、資料「薬―1」の5ページにございます平成28年の4大臣合意で国民負担の軽減等とあるように、物価高騰や安定供給問題があるとしても、値引販売が行われている品目についてはその薬価差を確実に国民に還元することが必要です。

また新薬創出加算の累積額控除を令和7年度に適用することも強く求めます。以前に業界団体からは、加算の控除時期はイノベーションの評価とセットで検討すべきというご趣旨の発言がございました。令和6年度改革において加算の要件を緩和したことを踏まえれば、特許が切れたら速やかに累積額を控除するということは当然だと考えております。

これまでも主張してきた通り、仮に診療報酬改定がない年は実勢価改定と連動するものを原則とする場合でも、新薬創出等加算は、そもそも実勢価改定を猶予する仕組みですので、累積額控除も実勢価改定と関連するものとして適用すべきです。

次に物価高騰や安定供給問題への対応につきましては、不採算品再算定の特例を2年連続で実施し、かなり多くの品目について薬価を引き上げました。こうした品目については値引販売が実施されることは、さすがにないと思いますけども、意図した効果が出ているのかしっかり検証し、特例措置の繰り返しとならないようにお願いいたします。

また後発品の企業指標については、令和6年度改定では評価が可能な指標から適用することになりましたが、その後、情報開示等が進んでいるものもあると思いますので、最新の状況を反映した評価にバージョンアップすべきだと考えます。

最後に薬事制度や安定供給などに関係する他の会議体との関係について要望です。資料「薬―1」の13ページ以降に紹介されておりますけども、中医協以外での議論を参考にすることはやぶさかではございませんが、動向は注視しつつも、最終的には中医協で議論して判断することは前提として強く主張させていただきます。

論点の2つ目でございます。長島委員、森委員等から発言されましたけども、業界の方から建設的なご意見が出ることを期待しております。私は以上でございます。

安川部会長:はいありがとうございました。では佐保委員、お待たせしました。お願いいたします。

佐保委員:ありがとうございます。この後どうしても外せない業務があり、途中退席いたしますことをご容赦いただければというふうに思っております。

私からも資料「薬―1」の25ページの論点に沿ってお話をさせていただきます。まず一つ目の論点でございますが、患者、被保険者の立場からも、医薬品の安定供給、薬の安全性が重要ですので、そうした観点からの生産現場だけでなく、流通を含めたサプライチェーン全体の状況を踏まえた丁寧な議論をお願いしたいというふうに思っております。

論点の2つ目については異論ございません。他の委員からもご意見ございましたように、今後の議論が深まるよう、医薬品供給の実態や原材料の状況等、より詳細な資料をご提示いただき、具体的なご説明を求めたいというふうに考えております。私からは以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございます。では奥田委員お願いいたします。

奥田委員:ありがとうございます。本日は初回の議論でもありますので、少し大きな視点で意見を述べておきたいと思います。本件につきましては平成28年の4大臣合意を踏まえ、令和7年度の薬価改定に向けては、皆さんからの意見でご指摘ありましたけれども、骨太方針2024の記載にある通り、引き続き国民負担とイノベーションの推進という、この双方をいかに両立していくかが非常に重要であるというふうに考えております。改めて認識をしておきたいと思います。

なお、直近の令和6年度薬価改定でイノベーションの適切な評価に配慮した改定が行われているわけですけれども、令和6年度改定を踏まえた製薬業界の対応状況について、今後のヒアリングを通じて具体的な状況を説明いただければと思っております。どうぞよろしくお願いをいたします。私からは以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございます。他に委員の方からご意見ありますでしょうか? 2号側(診療側)、1号側(支払側)各委員よりいろいろとご意見あり、若干の懸念であったり提案のようなものも出されていたかと思います。事務局からお願いします。

事務局:薬剤管理官でございます。幅広いご意見をいただきましてありがとうございます。これらご意見をしっかり踏まえて、次からの議論を深めていきたいと思います。

松本委員から、ご意見ご懸念というふうに言われました。他の会議体で進められていることですが、ここで中医協でしっかりやったところについては決めるということについて当然でございます。

ですから今後、他の会議体で中間報告あるいは報告がまとまり、薬価に関するものがございましたらこちらの方にご提示して検討いただきますが、あくまでも薬価に関するものはこちらでご検討いただくものとなっておりますので、そこはご安心いただければと思います。

以上でございます。あと業界ヒアリングに対して、令和6年度改定でイノベーションの評価、あるいは不採算品の対応など幅広くしていただいたということもあり、それに対する業界側の考え、あるいは今の状況等について“しっかり”、“具体的に”というお話がありましたので、そちらの方も対応していきたいと思っております。以上でございます。

安川部会長:はい、ありがとうございます。安定供給とか企業マインドの影響といったお話も出ましたので、その辺りも踏まえて、もし専門委員の方からご意見ございましたらお願いいたします。がいかがでしょうか?ではお願いいたします。

石牟禮専門委員:専門委員の石牟禮でございます。ただいま委員の皆様方より特に陳述に向けてご要望もいただいたというふうに認識をしております。なるべくご要望にお応えできるよう、また今後の議論に資するような形での陳述となりますよう、業界として準備を進めたいというふうに考えております。

私も専門委員として、皆さまのご要望について業界に伝え、準備ができるように進めたいと考えております。以上でございます。

安川部会長:はい、ありがとうございます。他にご意見ご質問等ありますでしょうか? 他にご意見ご質問等ないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりといたします。次回の薬価専門部会において、関係業界からのヒアリングを行うとともに、事務局におかれまして本日頂戴いたしましたいろいろなご意見等を踏まえて対応いただきますようお願い申し上げます。

続きまして令和6年度医薬品価格調査、薬価調査を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますのでご説明をお願いいたします。

(事務局説明 略)

安川部会長:ありがとうございました。それではただいまの説明に関してご質問等ございましたらお願いいたします。森委員お願いいたします。

森委員:はい、ありがとうございます。令和6年度の薬価調査で1点事務局に確認させていただきたいと思います。あくまでも令和7年度薬価実施の可否については今後の検討として、薬価改定を実施する前提ではないという理解でよろしいでしょうか?

安川部会長:事務局いかがでしょうか?

事務局:医薬産業振興医療情報企画課長でございます。先ほど私からもご説明申し上げた通り、骨太方針を踏まえた改定の具体的なあり方については、これは今後中医協でご議論を行っていただくものと考えてございます。

そのような意味において、現時点でどのようなあり方に落ち着くかということは当然未定でございますが、仮に市場実勢価格を用いた改定を行うこととなった場合の改定作業に支障を来すことのないよう、各品目の市場実勢価格を把握しておく必要があるため、まずは本日薬価調査の実施について中医協の委員の皆様のご意見を伺うこととしているというものでございます。以上です。

安川部会長:森委員よろしいでしょうか? 他にご意見ご質問ありますでしょうか?他にご質問等ないようでしたら、本件につきましては薬価専門部会として承認するということでよろしいでしょうか?

(各側 承認)

安川部会長:ありがとうございます。それでは、本件につきましては薬価専門部会として承認されたものとし私から総会に報告することとしたいと思います。本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局よりご連絡いたします。それでは本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。皆様どうもありがとうございました。

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