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【中医協薬価専門部会 12月20日 議事要旨 25年度薬価改定について(たたき台)】

公開日時 2024/12/20 14:59
中医協薬価専門部会が12月20日に開かれ、「令和7年度薬価改定について(内閣官房長官、財務大臣、厚生労働大臣合意)」をもとに議論した。本誌は、診療・支払各側委員の質疑について発言内容を議事要旨として公開する。

(事務局説明 略)

安川部会長:はい、ありがとうございました。それではただいまの説明に関しましてご意見ご質問等ございましたらよろしくお願いいたします。では長島委員お願いします。

長島委員:ありがとうございます。さて、私は12月18日に開催された薬価専門部会において中間年改定の本来の目的を改めて申し上げました。本日はこれに加えてコメントいたします。医療の現場におきましては、いまだに医薬品の安定供給上の課題が解決されず、日常診療に大きな負担となっております。過去2回の中間年の薬価改定では、改定対象が広く設定され、新薬の開発や安定供給などにも影響が生じたとされ、不採算品再算定の特例的な実施などがあったものの、医療現場に与える影響がさらに大きくなると強い懸念を伝えておりました。

今回においては、イノベーションの推進、安定供給確保という、令和6年度薬価制度改革の方向性に沿って、医薬品の役割や実態に合わせて、きめ細かく対応するという方針にしていくことは妥当と考えます。

特に過去2回、対象範囲を設定する際に用いた係数に別れを告げ、中医協においてきちんと決めていくプロセスをとったことは評価できると考えます。

逆に言えば、それだけ深刻な状況であり、従前通りでは改善できないということなのか、とも受け取れます。いずれにいたしましても、国民、患者の皆様が必要な医療をいつでも受けられるよう、関係者が鋭意努力し、有用性の高い新薬の開発と、医薬品の安定供給の早期確立を切に願うところであります。

そして、国民負担の軽減もそうでありますが、中間年改定のもう一つの目的である医療の質の向上に向けた対応が強く推進されるべきであると主張いたします。

さて、「令和7年度薬価改定の骨子(たたき台)」の各項目のうち、不採算品再算定については、現在の供給状況を踏まえれば、対象を安定供給確保が特に求められている基礎的医薬品や安定確保医薬品AおよびBに対して行われることは一定の意義があると考えます。

また、大臣から増産要請を受けた鎮咳薬や去痰薬は日常診療において、一般的に広く用いられる大変重要な医薬品であり、早期に安定供給の確保を望みます。

ただ、不採算品再算定が過去2回、特例的に大規模に行われたことを踏まえれば、今回はそこから漏れてしまったものの、やはり評価が必要といえるものにターゲットを絞るべきと考えます。具体的には、今回提案があったように、一定の品目に限定して適用することに異論はありません。

そして、過去2回の特例的な対応の結果が明確には言えなかったことを踏まえれば、企業に対し、どのような改善が行われたのか、あるいは今後行われていくのか、引き続き詳しく、その効果や取り組みについてきちんと説明が果たされるよう求めていきたいとと思います。

また次回、令和8年度の薬価改定に向けて定期的に検証していくことも必要であると考えます。私からは以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございました。続いて林委員からお手が挙がっております。林委員お願いします。

林委員:はい、ありがとうございます。これまでの議論を受けて本日示されました資料「薬―1」の「令和7年度薬価改定の骨子(たたき台)」の2ページを見ますと、①~⑤のそれぞれの品目に応じた対象範囲の設定ということで、これまでより細分化されております。

創薬イノベーションの推進や医薬品の安定供給の確保への対応を行っていくということで、より細やかな対応をご検討いただき、厚労省と関係者に感謝いたします。概ね本日示されました方向に賛同いたします。

これまでも繰り返し発言しておりますが、引き続き安定供給等への配慮をお願いしたいと思っております。なお、中間年薬価財源は国民負担の軽減を基本としつつも、他方でできるだけ安全で安心、質の高い医療提供に資するよう活用いただきたく要望いたします。高齢患者が増加し、様々なニーズが求められる中で、限られた人材で歯科医療を提供せざるを得ない多くの小規模歯科診療所にも一定程度ご配慮いただきたくよろしくお願い申し上げます。私からは以上でございます。

安川部会長:ありがとうございました。それでは続いて森委員お願いいたします。

森委員:はい、ありがとうございます。事務局におかれまして取りまとめいただきありがとうございました。本取りまとめにつきましては、おおむねこれまでの議論を踏まえたものと理解をしております。また、これまで意見させていただいた内容を取り入れていただきありがとうございました。

今回お示しいただいた「令和7年度薬価改定の骨子(たたき台)」については、3大臣合意に基づいて、創薬イノベーションの推進や、医薬品の安定供給の確保の要請に適切に対応できるものと考えます。厚生労働省におかれては、薬価改定を実施する以上は、令和7年度の薬価改定が効果的なものとなるように取り組んでいただければと思います。

例えば安定供給確保が特に求められるものを見極めた上で、乖離率を勘案して、不採算品再算定を適用していただくことが必要です。ただし、安定供給確保が特に求められるもののうち、大臣要請に伴う増産品目については、急な増産に対応し、供給を優先していることから配慮が必要で、一律に乖離率を勘案することは適切ではないと認識しているので、厚生労働省におかれてはこの辺りの事情に配慮していただくようお願いします。

今後は、令和7年度薬価改定による薬局、医療機関、製薬企業、医薬品卸への影響やドラッグ・ラク/ロス、安定供給、医薬品提供体制などをしっかりとフォローし、今後の対応を検討していく必要があります。厚生労働省におかれましては関係者と連携して引き続き把握に努めていただければと思います。私からは以上です。

安川部会長:ありがとうございます。他にご意見ありますでしょうか? では松本委員お願いします。

松本委員:はい、ありがとうございます。これまで中医協で議論してきました内容を踏まえて、政府として医療保険制度の持続可能性の確保に向けて薬価改定を実施するというご判断いただきまして感謝を申し上げたいというふうに思います。

資料「薬―1」(令和7年度薬価改定の骨子・たたき台)1ページに示されておりますが、改定の対象品目につきましては国民負担軽減の観点はもとより、創薬イノベーションの推進や医薬品の安定供給の確保の要請にきめ細かく対応するということで国民負担軽減を大前提としてメリハリをつける考え方が示されたものと受け止めております。

その上で薬価改定の骨子・たたき台に向けて何点かコメント差し上げたいと思います。まずカテゴリー別に対象範囲を設定することは、先ほど申し上げました通り、政府のご判断ですので異論はございません。

長期収載品の対象範囲を平均乖離率の0.5倍超まで拡大することは、新薬メーカーが長期収載品に依存せず、特許が切れたら速やかに後発品に市場を譲るという考え方に合致するものと評価しております。

また、新薬創出等加算については、過去の薬価引き下げの猶予分を早期に返還するという観点から、ルール4に示されております累積額の控除は極めて妥当な判断だというふうに評価しております。

一方で、令和6年度薬価制度改革で、改定前の薬価を維持する仕組みにしたにもかかわらず、新薬創出等加算品目の実勢価改定の範囲を平均乖離率の1.0倍とすることには将来の医療保険制度の持続可能性に影響するものと考えております。

さらに新薬創出等加算品以外の新薬の対象範囲を平均乖離率の0.75倍とすることは、画期性や有用性が乏しいにもかかわらず、これまでの0.625倍から範囲を狭くすることについては、イノベーション推進にどのような影響があるのか、今後検証する必要があると指摘させていただきます。

これまでも実勢価改定の対象範囲を狭くすれば、不採算品再算定や最低薬価の維持に充当する財源が限定的になると申し上げてまいりました。今回メリハリをつけつつも、全体として実勢価改定の範囲は狭くなるというふうに考えております。

続きまして、ルール3の不採算品再算定については、前回も指摘しました通り、そもそも特例的な薬価の引き上げを繰り返すべきではないことや、安定供給に関する効果が乏しいことを踏まえれば、臨時的に実施するのであれば、本当に必要なものに対象品目を絞るべきであり、最低薬価の引き上げを行うことも踏まえますと、不採算品再算定の対象基準はむしろ厳格化すべきと考えております。

先ほど説明がありました安定確保医薬品の中でも、参考資料の15ページ、18ページ、19ページで今回お示しがありましたけども、優先度が低い「カテゴリーC」を対象から除外することや、不採算品であったとしても平均乖離率を超える値引きを行っているものは対象とすべきでないということを改めてコメントさせていただきます。私から以上でございます。

安川部会長:はい、ありがとうございました。鳥潟委員お願いします。

鳥潟委員:はい、ありがとうございます。まず骨子の内容につきましては、骨太方針に基づき、政府で議論された結果だと受け止めております。大臣合意で現役世代の保険料負担の上昇について言及されておりますが、この点は非常に重要な視点、観点だと考えております。

なお、今回の改定で適用する算定ルールにつきましては、その詳細は引き続きの検討だと思いますが、前回、不採算品再算定に対する考えを述べさせていただきました。期待していた結果が出ているのか、その効果を勘案しつつ、国民負担軽減の観点を踏まえ、ご提案いただいた内容のようにメリハリのある対応をお願いしたいというふうに考えております。以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございます。他にご意見はありますでしょうか? よろしいでしょうか? 今回、安定供給ということとイノベーションということも意識をされたた乖離率の倍率等もご提示いただきましたけれども、このあたりも含めて、もし専門委員の方からご意見、ご発言等ございましたらお願いいたします。では、石牟禮専門委員お願いします。

石牟禮専門委員:専門委員の石牟禮でございます。ありがとうございます。本日の大臣合意の内容等を踏まえましてコメントさせていただきたいと存じます。

今委員のご指摘にもございましたように、これまで業界としては、令和6年度の制度改革の効果あるいは行動変容についてこの場でも何度かご説明をさせていただきました。説明が不十分というご指摘もありますが、引き続き我々としてはその取り組みについて、この場でご紹介、ご説明を続けてまいりたいというふうに考えております。

そういった活動も含め、製薬業界としては一貫して令和7年度の中間年改定については実施すべき状況にないというふうに申し上げてまいりました。

その上で、大臣合意の内容につきましては、骨太方針に沿ってイノベーションの推進、あるいは安定供給確保の観点に加えて、物価高騰の影響等にも配慮されたものというふうに理解をしております。

しかしながら、そもそも薬価差があるから毎年改定すべきという考え方そのものに関しては、薬価差がこれまで関係の皆様方のご努力とご理解によって縮小をしてきたということも踏まえますと、このままで良いのか。薬価改定方式のあり方について本質的な議論が必要と考えます。

加重平均乖離率をベースに改定するということは、乖離率の小さな医療機関、薬局から薬価差を剥がす一方で、乖離率の大きな医療機関、薬局の薬価差は一定程度温存されるという形になります。

過去数回の平均乖離率の推移を見ましても、多くの医療機関、薬局において薬価差はかつて問題とされた差益というものよりも、経営上必要な費用に支弁されているのが実態ではないでしょうか?だからこそ、薬価差の位置づけについては、今一度、あるいは偏在についても今一度関係者間での共通理解が必要と考えております。

今回の大臣合意の内容について2点コメントさせていただきたいと存じます。カテゴリーごとに対象範囲の基準を設けることによって、平成28年のいわゆる4大臣合意で中間年改定の対象を価格乖離の大きな品目とした考え方が変わったとも見い出せますので、この合意内容に則って改定を実施される場合に、中間年改定の位置づけや目的を含め、今後の影響について見定めていく必要があるというふうに考えております。

また2つ目ですが、今回新たに新薬創出等加算の累積額控除を行う旨が記載されてございます。これを1年前倒しするという形になることにつきましては、該当品を有する企業の来年度の経営に大きな影響を与えるものであるということについて申し上げたいと存じます。

これについて、前回の意見陳述で業界代表から、革新的新薬の価値が、新規収載時に適切に薬価に反映される仕組みを含めたパッケージで議論されるべきということを主張させていただきました。次期薬価制度改革の実現に向けて、新薬の価値評価に関する議論を引き続き進めるべきと考えております。以上でございます。ありがとうございました。

安川部会長:はい、ありがとうございました。事務局から何か補足で発言ありますでしょうか?

事務局:薬剤管理官でございます。いろいろご意見いただきまして、ありがとうございます。今後作業を進めてまいりたいと思います。あと一点、今回医薬品のカテゴリーごとに分けたところでございまして、松本委員から新薬創出等加算については平均乖離率1.0倍とすることは将来の医療保険制度の持続可能性に影響するものというようなご指摘がございました。おっしゃりたいことは、今年度いわゆる加算額で戻った額というものが将来控除される額に含まれないというようなことになりますが、今回これまで中医協の議論の中でイノベーションの評価というところがございましたので、特に新薬創出等加算につきましては、今回1.0倍とすることによって、将来、薬価の後発品が出てきた後に控除されるところについても少し免除ができるということも一つのイノベーションに向けての新薬メーカーに開発していただきたいというメッセージかと思っております。

それから2つ目の新薬創出等加算品以外の新薬、こちらについては0.75倍ということで従前よりも緩いんじゃないかというお話でございますが、乖離率の実態から言いますと、前回だと平均乖離率4.735%よりも大きいものが対象になっておりましたが、今回は元々が平均乖離率5.2%でございましたので、0.75掛けて3.9%以上の乖離率ということで、乖離率自体としては前回よりも0.75を乗じておりますが、厳しい範囲となっている。乖離率の範囲は小さくなっていて、対象は大きくなっているというふうに考えています。以上でございます。

安川部会長:他にご意見ご質問等ありますでしょうか? ご意見ご質問などで出尽くしたかと存じますので本議題はここまでとさせていただきます。今後も事務局において本日いろいろいただきましたご意見等を踏まえ適宜ご対応をよろしくお願いいたします。

本日の議題は以上です。次回の日程につきましては追って事務局よりご連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。本日はどうもありがとうございました。
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