中医協総会 25年度薬価改定・骨子案を了承 カテゴリー別は「実勢価改定を検討する上で重要な論点」
公開日時 2024/12/26 04:51
中医協は12月25日の総会で、「2025年度薬価改定の骨子案」を了承した。改定の基本的考え方は、先週20日の3大臣合意と、25日午前の厚労・財務大臣折衝で合意された内容を踏まえたもの。今回初めてカテゴリー別の対象範囲が導入され、平均乖離率5.2%を基準に、新薬創出等加算品目は1.0倍、新創品以外の新薬は0.75倍、長期収載品は0.5倍、後発品とその他医薬品は1.0倍を超える医薬品を改定対象とした。総会に先立って開催した薬価専門部会で支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「カテゴリー別にメリハリをつける考え方は、診療報酬改定のある年の薬価改定も含めて、今後の実勢価改定を検討する上で重要な論点」と述べ、早くも次期薬価制度改革に向けて照準を充てた。
◎診療側・森委員「コストを下げて医療の質の向上を実現することは非常に難しい」
2025年度薬価改定の骨子案は、この日の薬価専門部会で診療・支払各側が了承し、その後開催した総会で最終合意した。薬価専門部会での議論では、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)が、「未だ満たされていないニーズのある疾患の治療に資する新薬が開発されることを願うとともに、薬価改定実施による今後の供給面への影響を注意深く見守る必要がある」と強調した。また、森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「コストを下げて医療の質の向上を実現することは非常に難しい。中間年改定が医療の質向上となるのか、どうすれば質向上となるのか、引き続き大きな課題だと考えている」との見解を示した。さらに、「25年度薬価改定が、薬局、医療機関、製薬企業、医薬品卸など関係者の経営実態、ドラッグ・ラク/ロス、安定供給問題、地域の医薬品提供体制にどのような影響を与えたのか。しっかりフォローすべき」とも指摘した。
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支払側・松本委員 カテゴリー別にメリハリ「次期改定に向けて議論深める」
一方で、支払側の松本委員は、今回導入したカテゴリー別にメリハリをつける考え方について、「今後の実勢価改定を検討する上で非常に重要な論点になる」と述べ、次期改定に向けた議論の中でさらに深める必要性を強調した。また、安定供給の確保について、「依然として後発品を初めとする医薬品の供給不足が続いている。不採算品再算定だけでなく、薬価上の措置そのものがすぐに効果が出るものではないというふうに感じている」と述べ、「限られた医薬品をどのように使うのか。全体を最適化する取り組みも並行して進めていただきたい」と要請した。
◎最低薬価の引き上げ「現行の物価情勢等を勘案し、引き上げ幅など検討」 林医療課長
中医協総会における骨子案をめぐる議論では、公益側の飯塚敏晃委員(東京大学大学院経済学研究科教授)が、今改定で薬価を引き上げる「最低薬価」について政府側の見解を質した。保険局医療課の林修一郎課長は、「現行の物価の情勢等を勘案しつつ、引き上げ幅等については今後検討していきたいと」と応えるにとどめ、制度の細部について言及を避けた。