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【中医協薬価専門部会 1月15日 議事要旨 令和7年度薬価改定に係る薬価算定基準の見直しについて】

公開日時 2025/01/16 04:50
中医協薬価専門部会が1月15日に開かれ、「令和7年度薬価改定に係る薬価算定基準の見直し」について議論した。本誌は、診療・支払各側委員の質疑について発言内容を議事要旨として公開する。

安川部会長:事務局より資料(令和7年度薬価改定に係る薬価算定基準の見直しについて)が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

事務局:薬剤管理官でございます。お手元の資料「薬―1」(令和7年度薬価改定に係る薬価算定基準の見直しについて・案)をご覧ください。昨年12月25日にご了解いただきました令和7年度の薬価改定の骨子に基づき、薬価算定基準の改正箇所についてお示しした資料でございます。

資料の構成ですが、点線の囲みの中が骨子の抜粋で、その後に改正後といたしまして、骨子に基づく薬価算定の基準の改正内容の案が赤字で記載しております。

まず「1.対象品目及び改定方式」につきましては、骨子の記載に基づき、次のページの「第1節 市場実勢価格加重平均値調整幅方式」として赤字・下線に薬価算定の基準に記載予定の事項が示されております。具体的には、改定の対象品目は、市場実勢価格の薬価に対する乖離率が全ての既収載品の平均乖離率に係数を乗じて得た乖離率を超える品目とされ、具体的な係数は、新薬創出等加算の対象品目は1.0、新薬であって後発品が薬価収載されておらず新薬創出等加算の対象外の品目は0.75、新薬であって後発品が薬価収載されている品目は0.5、後発品は1.0、昭和42年9月30日以前に薬事承認された品目は1.0としております。

また、この他、「第6節 後発品等の価格帯」に関しても、規定の対象範囲に影響が出ますので、同じような記載をしているところでございます。

次に「2.適用する算定ルール」でございます。今回の改定におきましては、囲みでお示ししました骨子では、基礎的医薬品、最低薬価、次のページで、不採算品再算定、新薬創出適応外薬解消等促進加算(加算および累積額控除)、それから後発品等の価格帯、既収載品の外国平均価格調整、既収載品の薬価改定時の加算、これらのルールを適用とすることとしております。

それに基づきまして、資料「薬―1」4ページ、「改正後」と書いているところでございますが、まず第3章の「但し書き」で、先ほどのルールを適用する旨を規定しております。

その下の第1節および第6節の資料「薬―1」5ページの上段までの赤字は、対象品目のところでご説明したものの再掲となっております。

資料「薬―1」の5ページの真ん中の上方は、「3 組成、剤形区分及び規格が同一である既収載品群の価格帯の特例」についてでございます。両括弧1の対象企業は、「別表12」に基づきA区分と分類された企業とされております。今回「別表12」について新たに評価方法等が追記され、資料「薬―1」5ページから8ページに示しております。

また資料「薬―1」の5ページの「(3)適用条件」については、最も高い価格帯の対象には改定の対象外の品目の薬価も含める旨を明記しております。

資料「薬―1」8ページからは、「第7節 低薬価品の特例」についてです。基礎的医薬品では、令和6年度に基礎的医薬品に該当した品目を原則とするものの、今年度適用する際には、乖離率を超えるものは対象とならないことを明記しております。

次の資料「薬―1」の9ページの「3 最低薬価」でございます。中ほどの「また」以下は今回最低薬価の引き上げを予定しておりますので、先ほどの基礎的医薬品が引き上げられた最低薬価を下回る価格の場合は最低薬価まで引き上げる旨の記載でございます。

具体的な最低薬価の引き上げですが、資料「薬―1」の9ページから10ページにかけてお示ししている最低薬価に改定をいたします。「参考」といたしましたのは、資料「薬―1-参考」の26ページをご覧ください。26ページ賃上げの動向でございますが、過去5年の賃上げ率の平均と、下の方に「※」印でお示ししております。消費者物価指数の昨年平均等を総合的に勘案して、およそ3%の引き上げとしております。

資料「薬―1」にお戻りいただきまして、10ページをご覧ください。下に記載しております「第9節 既収載品の薬価改定時の加算」について、今回適用する加算要件に該当する期間を記載しております。

資料「薬―1」の11ページ「第4章 実施時期等」の経過措置の「(2)」として、先ほどの最低薬価に関するものですが、みなし最低薬価品目についても、今回の最低薬価の引き上げと同様に引き上げるものとするものです。そのうち、みなし最低薬価の同じ組成及び剤形区分の品目全体の平均乖離率が全体の平均乖離率以内の場合は、先ほどの最低薬価まで引き上げる。ただし、薬価の急激な引き上げの影響を緩和するために、その上限は2倍としております。

その下、「(4)」の記載につきましては、これは不採算品再算定の運用面について記載したものでございます。

「①」は対象範囲の記載で、基礎的医薬品、安定確保医薬品のカテゴリAおよびB、大臣の安定供給要請品目等としており、基礎的医薬品および安定確保医薬品については、組成及び剤形区分および規格が同一の医薬品の全てが不採算となっていることの要件と乖離率要件をつけております。この対象範囲について追加説明がございます。

資料「薬―1-参考」の23ページをご覧ください。感染症の流行状況の直近のデータでございます。左下にあるように、インフルエンザの流行が過去に例がないほどに前倒しで急激に伸びております。

次のページをご覧ください。下の表は感染症法に基づく報告徴収を行っている感染症対症療法薬です。骨子においては、先ほどご説明いたしました三つの対象を基本として、不採算品再算定を行うとしているところでございますが、赤囲みしております「解熱鎮痛薬」および「止血剤」につきましては対象外となっておりますが、不採算品として引き上げの要望が出ていること、インフルエンザの急激な拡大等を踏まえると、それ以外の感染症対症療法薬と同様に、不採算の状況を改善するための下支えが必要であり、今回の不採算品の対象と考えております。適用範囲は、基礎的医薬品および安定確保医薬品と同様の運用を考えております。

資料「薬―1」11ページを御覧ください。下の方にあります、「②」は薬価の改定方式の説明で、下の「イ」が基礎的医薬品および安定確保医薬品に関する算定方法で、こちらは全ての会社が不採算品という要件があり、「イ」で長期収載品の場合、次の資料「薬―1」12ページの「ロ」は長期収載品含めない場合の記載でございます。

資料「薬―1」の12ページの括弧なし「ロ」は、こちらにつきましては大臣の安定供給要請品目に関する記載でございます。

その下、「3.その他」の取り扱いについては、資料「薬-1」の13ページの上は再掲、「(3)」の薬価改定を区切りとして品目を選定する規定の取り扱いにつきましては、資料「薬―1」14ページにかけて、令和7年度改定で適用しないものに関する手当となっております。

資料「薬―1」15ページの中段の赤字も再掲でございます。15ページの中ほど以降は令和6年度の算定基準で追記等となった箇所の記載整備等になっております。説明は以上でございます。

安川部会長:はい、ありがとうございました。それではただいまの御説明につきまして、ご質問等ございましたらお願いいたします。長島委員お願いいたします。

長島委員:ありがとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。さて、12月25日に了解された骨子を具体的に肉付けしたものであり、異論ありません。私からは以上です。

安川部会長:ありがとうございました。他にご質問ご意見等ございますか。森委員お願いいたします。

森委員:はい、ありがとうございます。見直し案については異論がありません。その上で今後の課題として一点コメントさせていただきたいと思います。資料「薬-1」の6ページ目をご覧いただければと思います。6ページの「3.製造販売する後発品の供給実績」の「② 製造販売する安定確保医薬品の品目数」についてコメントさせていただきたいというふうに思います。

まず、品目数での評価を否定するわけではありませんけども、企業規模による影響が一つは大きいこと、また今後は、例えばバイオシミラーの生産に特化した企業や注射薬、またデバイスが必要な外用薬などの生産を得意とした企業が出てくることも予想をされます。そうした企業が不利にならないような品目数での評価については配慮が必要というふうに考えます。事務局におかれましては今後の課題として受け止めていただければと思います。

また、現在、安定確保医薬品のカテゴリA、B相当の医薬品については生産の促進やその他安定的な供給確保のために必要な措置の要請を法律上位置づける方向となっています。安定確保医薬品のカテゴリAは基礎的医薬品として薬価上評価していると承知していますが、今後、改正の状況を踏まえて供給実績の重みづけに関して、カテゴリBについても配慮を検討する必要があるというふうに考えます。

また抗インフルエンザウイルス薬の一つであるオセルタミビルリン酸塩製剤についてコメントいたします。タミフルの後発品は2社から発売されていますが12月中旬以降のインフルエンザの急激な流行拡大による需要増大の影響を受けて1社は出荷停止、もう1社は限定出荷となっており、先発医薬品も現在限定出荷となっています。

薬局現場のオセルタミビルリン酸塩製剤の納品状況について確認しましたが、入手困難で大変困っていて、入手のめども立っていませんでした。感染症の流行については予想することは難しく、生産計画を立てる難しさも理解していますが、特に治療上必要な感染症治療薬については、安定確保医薬品のカテゴリA、Bに位置づけても良いのではないかというふうに考えます。事務局におかれては関係部局と連携して検討していただくようお願いいたします。

最後にこれは中医協マターでないかもしれませんが、抗インフルエンザ薬に関連してもう一点申し上げます。国備蓄の抗インフルエンザ薬については、新型インフルエンザの流行に備えて備蓄となっていますが、今回のケースのように、季節性のインフルエンザの急激な感染拡大により、安定供給に大きな支障をきたしたときには、国備蓄品の開放を検討すべきと考えます。

医療現場はもちろん国民が困っていますので、厚生労働省全体として関係部署や関係者との連携を図り、必要な対応を講じていただくようお願いいたします。私からは以上です。

安川部会長:ありがとうございました。森委員から3点ほどコメントございましたが、事務局から何かございますか?

事務局:医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。ご指摘どうもありがとうございます。後発医薬品企業の評価指標についてのご指摘は検討課題として受けとめさせていただきます。

抗インフルエンザウイルス薬について様々なご指摘を頂戴いたしました。感染が急激に拡大しているということでございまして、抗インフルエンザウイルス薬の供給計画上はインフルエンザの流行が拡大した昨年度の供給実績量約1400万人程度ですが、それを上回る量の供給具体的には2400万人強のですね、供給が計画をされております。

また現時点においても、メーカー卸の在庫は1000万人分を超える在庫が確保されているということでございまして、ただ、1社で出荷停止があったことによって、なかなか注文が殺到した場合に在庫の偏在等をきたしてはならないということで、限定出荷をかけているところが今出てきているという状況でございます。

医療現場には大変なご迷惑をおかけしておりますが、私どもとして医療機関、薬局から過剰な発注をぜひ抑制していただくことで、うまく全体を回していきたいということで、ご協力のお願いをさせていただいているところでございます。

こうした取り組みの中で、代替薬の使用も含めて検討いただくことで対応できるのではないかと思っておりますので、引き続きご協力をいただければというふうに思ってございます。以上です。

安川部会長:はいありがとうございます。森委員よろしいでしょうか?

森委員:はい、ありがとうございます。タミフル製剤が出荷停止、限定出荷となった影響で他の製剤も実は限定出荷になっていて、現場は非常に今困っている。今後の状況を見ながら判断をいただきたいというふうに思っております。以上です。

安川部会長:ご質問ご意見等ございますか?では、松本委員からお願いいたします。

松本委員:はい、ありがとうございます。本年もよろしくお願いいたします。今回の資料「薬―1」につきましては昨年末に取りまとめられました骨子の内容を反映したものであり、特段の異論はございません。その上で2点コメントしたいと思います。

1点目は資料「薬―1」の8ページから記載にあります最低薬価についてでございます。今回、消費税改定以外では初めての本格見直しということで、改定後の薬価を見ますと3%程度の底上げとなっておりますが、今後インフレが続いた場合に同様の見直しが自動的に行えるものではないということ、また原則この仕組みが薬価の下限値ということで薬価差益の調整弁にならないよう、くれぐれもお願いをしたいということでございます。

2点目は資料「薬―1」11ページ以降にあります不採算品再算定についてでございます。資料「薬―1-参考」の23ページにありますような、足元でのインフルエンザの大流行を踏まえまして、24ページにございます対症療法薬のうち、一定の要件を満たすものを対象品目に位置付けるということで、これまでの議論を振り返りますと、基礎的医薬品のカテゴリA、Bと大臣要請品目のみが対象になるものと考えておりましたけども、今回こうした形で追加になることはいささか唐突感は感じますが、インフルエンザの過去に例を見ないほど大幅に流行する中で、必要な医薬品を製造するほどメーカーの赤字が膨らむ状態にあり、下支えが必要だということで理解はいたします。

ただ、今後告示前の期間に事務局のご判断で更なる追加がないようにご留意いただきたいということでございます。私からは以上でございます。

安川部会長:はい、ありがとうございます。続いて鳥潟委員お願いいたします。

はい、ありがとうございます。まず資料「薬―1」につきましては、骨子を踏まえてまとめていただいたものと認識しております。整理ありがとうございました。今後の論点といたしまして5ページ目以降の企業指標につきまして個別企業の評価結果の公表についても安定供給が確保できる企業を可視化し、そうした企業の品目を医療現場で選定しやすくするという目的に立ち返り、引き続き議論していくべきと考えております。

また最低薬価の引き上げについても異論はございませんが、今般の引き上げが価格に適切に反映されているかについては今後確認していくべきと考えております。以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございます。松本委員、鳥潟委員からコメントございましたが、もし事務局から等々ございましたら、特によろしいでしょうか?事務局お願いいたします。

事務局:薬剤管理官でございます。ご指摘ありがとうございます。まず一点目の最低薬価の方でございますが、これは自動的にどういうふうに考えておりませんでして、その都度、必要があればこの場でご議論していただければと考えております。特に薬価差益の調整弁、あるいは実勢価格が今後どうなるのか注視したいというご意見もございましたので、それについては注視し、またその結果については、この場でご報告をさせていただければと考えております。

それから松本委員の2点目の意見でございます。こちらの方、大変ちょっと対象範囲が少し広がることになりましたが、現時点での判断ということになっておりますのでご理解いただきありがとうございます。今後の追加については基本的にはないことを考えておりますので、ご安心いただければと思っています。以上でございます。

安川部会長:ありがとうございます。松本委員、鳥潟委員よろしいでしょうか? はい、ありがとうございます他にご質問、ご意見等ございますでしょうか? 他によろしいですか。専門委員の方からもし何かございましたら.では石牟禮専門委員お願いいたします。

石牟禮専門委員:専門委員の石牟禮です。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。ただいま安定化供給確保の観点でのご意見も多数ございました。その中で今回の見直し案の中で特にみなし最低薬価に対する措置ですとか、不採算品再算定の対象についてご検討いただきましたこと、これは不採算でも、通常流通も継続している品目や増産に努めている低薬価品の供給の下支えとなるものと認識しております。

引き続き業界といたしましては、医薬品の供給不安の解消に向けて努めてまいりたいと存じます。以上でございます。ありがとうございます。

安川部会長:はい。ありがとうございました。他にご質問等ございますか? 他にご質問ご意見等ないようでしたら本案を総会に報告したいと思いますが、よろしいでしょうか?

(各側了承)

安川部会長:ありがとうございます。それではそのようにいたしたいと思います。本日の議題は以上です。次回の日程等につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。それでは本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。どうぞ、どうもありがとうございました。

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