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住友ファーマ 網膜色素上皮細胞の製造方法めぐる裁定請求で和解成立 ヘリオスとの臨床試験可能に

公開日時 2024/05/31 04:50
住友ファーマは5月30日、網膜色素上皮細胞の製造方法の特許の通常実施権の設定をめぐる裁定請求で和解が成立し、事案が終結したと発表した。この事案は、特許を共有する理化学研究所、大阪大学、ヘリオスに対し、請求人であるビジョンケアおよびVC Cell Therapy(VCT)社が当該特許の通常実施権をめぐり裁定を求めていたもの。今回の和解成立により請求人は裁定請求を取り下げるほか、住友ファーマはヘリオスと共同で網膜色素上皮裂孔を有する患者への他家iPS 細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞(開発コード:HLCR011)の臨床試験を進め早期実用化を目指すことができる。

今回の事案は、理化学研究所、大阪大学およびヘリオスを特許権者とする「特許第6518878 号」(発明の名称:網膜色素上皮細胞の製造方法)に関し、2021年7月13日付で、ビジョンケアおよびVCT 社が経産大臣に対し、特許法第93条第2項に基づく公共の利益のための通常実施権の設定の裁定を求めていたというもの。

住友ファーマはヘリオスと共同で、他家iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞(開発コード:HLCR011)を用いた治療法の開発を進めていたが、今回の和解により、「自由診療を対象とする自家iPS 細胞由来網膜色素上皮細胞の製造等の実施(実施症例数30 例まで)においてのみ請求人に対して被請求人が本件特許にかかる特許権を行使しない」ことが明確化された。これにより、住友ファーマとしては、ヘリオスと共同で当該特許権を使って、網膜色素上皮裂孔を有する患者に対するHLCR011の臨床試験を進めることが可能となる。

なお、住友ファーマは「両社が開発するHLCR011 の事業への影響は軽微であると判断している」とコメントしている。
 
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