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塩野義製薬・手代木社長 23年度上期「創業以来の過去最高を更新」 ゾコーバ浸透で

公開日時 2023/11/01 04:50
塩野義製薬の手代木功代表取締役会長兼社長CEOは10月31日、2023年度第2四半期決算会見で、「上期全体として創業以来の過去最高を更新した。非常に強い上半期だった」と振り返った。新型コロナ治療薬ゾコーバが牽引し、売上高が52.9%増の2305億円、営業利益が247.6%増の981億円となった。23年度通期予想は据え置いたが、ゾコーバの予想を上回る市場浸透と、継続的な流行に伴うゾフルーザなどインフルエンザファミリーの販売拡大を踏まえて、両治療薬の合計売上予想を313億円増額し、886億円に上方修正したことも明らかにした。

◎ゾコーバ+インフルエンザで売上444億円 自己負担導入機にゾコーバ処方率減少も

ゾコーバについては、22年11月に緊急承認され、政府が200万人分を購入。23年3月末から一般流通が開始された。同社の上期決算によると、ゾコーバとインフルエンザファミリーの合計売上は、期初予想の358億円を大幅に上回る444億円で着地した。下期についても、期初予想の215億円を今回442億円に大幅に引き上げた。手代木社長は「期初には10月からの薬剤公費負担がどうなるかが読みにくく、ゾコーバは厳しいかもしれず、弱含みの数字にしていたが、今回10月の動きを見て数字を出した」と説明。

10月から新型コロナ治療薬の薬剤費は、それまでの全額公費負担から一部自己負担に変更されたが、「3つの経口剤(ゾコーバ、ラゲブリオ、パキロビッド)の処方率は9月に20%超まで上がったと思うが、10月末の段階では12~13%ぐらいになっていると思う。現時点では、パーセンテージとして6掛けぐらいになったとみているが、流行が収まったことが原因なのか、自己負担が入ったことが原因なのか、分析はまだ完了していない」と述べた。

ゾコーバの開発面では、米NIHによる資金援助を受けてグローバルで実施中の第3相SCORPIO-HR試験(目標登録症例数:2000例)について、年内に症例登録が完了する見込みとした。同試験は、重症化リスク因子を持つ患者を含む外来患者における臨床症状改善効果の検証を目的としているが、この日の決算会見で上原健城執行役員医薬開発本部長は「この試験の中でロングコビッド(新型コロナ後遺症)への効果を検証するということで、米FDAとキー・セカンダリー・エンドポイント(主要副次評価項目)への組み込みを最終協議している状況だ」と述べた。

◎継続審議の新型コロナワクチン 変異株対応ワクチン開発着手で24年秋・冬に本格供給へ

開発中の新型コロナワクチンについては、23年7月の薬食審・医薬品第二部会において起源株対応ワクチンが継続審議となったが、今冬には変異株対応ワクチンの開発に着手し、24年度秋・冬シーズンの本格供給を目指す考えを示した。上原本部長は、「ベトナムでの第3相試験が完了し、その成績に基づき、改めて審査が行われわれることになっており、最終の申請手続きをしている」と説明。さらに、「パラレルにXBBに関するワクチンもこの冬、臨床試験を実施し、そのデータに基づき、次の秋接種のシーズンに間に合うように製造していきたい」と語った。

◎23年度上半期 営業利益247.6%増の981億円 通期の国内医薬品売上予想を上方修正

同社の上期業績は、売上高が52.9%増の2305億円、営業利益が247.6%増の981億円の好決算だった。国内医療用医薬品の売上高は188.8%増(630億円増)の964億円を記録した。ゾコーバ+インフルエンザファミリーが好調だったほか、ADHD治療薬(インチュニブ、ビバンセ)の共同開発・商業化に関するライセンスの武田薬品への移管に伴う一時金の受領が大幅増収の要因となった。

海外子会社/輸出の売上高は、欧米での多剤耐性グラム陰性菌感染症治療薬セフィデロコルの拡大により15.1%増(30億円増)の229億円となった。また、HIVフランチャイズのロイヤリティー収入は、ViiV社による製品販売が好調に推移するとともに、円安の影響もあり17.6%増(141億円増)の945億円となった。
 
通期の連結売上予想、各利益予想に変更はないが、各売上項目は大きく変更されている。国内医療用医薬品の売上高を1670億円へ329億円増額したほか、HIVフランチャイズのロイヤリティー収入は1965億円へ115億円増額した。一方、平安塩野義/C&Oの売上高を121億円へ460億円減額した。これは、韓国と中国でのゾコーバ承認が不透明のため、いったん売上から除外したためで、手代木社長は「全く諦めているわけではない。この1月、3月ぐらいに売り上げが入ってくる可能性はある」と述べた。引き続き各国当局との協議を継続中としている。

【連結業績 (前期比)23年度予想(前期比)】
売上高 2305億4200万円(52.9%増)4500億円(5.5%増)
営業利益 981億600万円(247.6%増)1500億円(0.7%増)
税引前利益 1156億300万円(70.1%増)1925億円(12.6%減)
親会社所有者帰属純利益 905億9300万円(58.2%増)1550億円(16.2%減)

【国内主要製品売上高(前年同期実績)23年度予想、億円】
感染症薬 490(-6)975←修正前657 –注1
COVID-19関連製品+インフルエンザファミリー 444(-50)886←修正前573
サインバルタ 21(30)42
オキシコンチン類 22(23)43←修正前41
スインプロイク 21(16)49
アシテア 3(3)10
ムルプレタ 0(1)1
ピレスパ 10(14)19
その他 396(253)531←修正前521 –注2

海外子会社/輸出 229(199)425←修正前966
Shionogi Inc.(米国)81(74)170←修正前136
Shionogi B.V.(欧州)43(61)130←修正前115
平安塩野義/C&O 56(52)121←修正前580

ロイヤリティー収入 956(833)2012←修正前1895
HIVフランチャイズ 945(804)1965←修正前1850

注1)感染症薬の構成製品:ゾコーバ、COVID-19ワクチン、ゾフルーザ、ラピアクタ、ブライトポックFlu・Neo、フィニバックス、フルマリン、フロモックス、シオマリン、バクタ、フラジール、イソジン。

注2)国内医療用医薬品の「その他」にはADHD治療薬のライセンス移管に伴う一時金が含まれている。

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