住友ファーマ・山崎営業本部長 国内スリム化にMR活動の原点回帰で対応 MR減でもeプロモにこだわらず
公開日時 2025/02/05 04:52
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住友ファーマの山崎浩二・営業本部長は2月4日に大阪市で開いた会見・記者懇談会で、国内営業のスリム化に伴う活動量や売上への影響を最小化するため、エリア担当MRの1回あたりのディテールインパクトを向上させる、いわばMR活動の原点回帰に注力する考えを示した。業界内では“MR減をデジタルでカバー”する手法がとられる向きがある。山崎本部長は今後も必要に応じてデジタルを活用していく姿勢をみせながらも、「MRが減ったからeプロモーションでカバーするという方法を取るつもりはない」と明言した。国内MR数4割減に併せて導入した「エリア担当MR制」にも触れ、「エリア内でどれだけ存在感を出せるかに当面シフトし、地に足をつけた営業スタイルを極めたい」と意欲を示した。
住友ファーマは、必達目標の24年度のコア営業利益の黒字化や、日本セグメントとして黒字を継続できるようにするための事業構造改革の一環として、日本で24年9月に約700人の早期退職者を募集した。応募者は11月末で退社。結果、国内MR数は770人体制が450人体制(24年12月)となった。また、MR減少後も全国カバーを実現するため、12月以降、一般MR(主に糖尿病薬を担当)とCNS専任MRに分けていた疾患領域制から、1人のMRが担当エリアで糖尿病薬もCNS関連製品も扱うエリア制に変更した。
◎「再建に向かって一緒に取り組もうという大変熱意ある社員が残ってくれた」
山崎本部長は、MRが4割減少した24年12月を境に「パフォーマンスも少なくなったのは事実」だとしたが、「当社に残ってくれたMRはかなり前向きに、再建に向かって一緒に取り組もうという大変熱意ある社員が残ってくれた」と述べ、12月以降の新体制ではモチベーション高く営業活動が行えているとの認識を示した。ただ、例えば市場競争が激しくSOVが必要となる2型糖尿病薬・ツイミーグの24年度売上計画は下方修正(期初計画113億円→25年1月修正79億円)しており、競合新薬の影響とともにMR数の減少影響も出ている。
◎「エリア制の中で、どれだけ存在感を出せるか」 主体的に学び、活動するスタイルを確立
MRの活動量や売上影響を最小化するための方策を問われた山崎本部長は、業界内では“MRが減るとデジタルでカバーする”との手法がとられる向きがあると指摘した。住友ファーマとして業界内でも早い段階からデジタル活用を推進しノウハウを蓄積できているとしたものの、「(MRが減ったから)eプロモーションに頼っていくというよりは、しばらくはMRを鍛えて、エリア制の中で当社MRがどれだけ存在感を出せるかということに当面シフトしたい」と述べ、安易にデジタルでカバーする手法は取らないと明言した。MR教育に関しては、MRが主体的にしっかり学び、活動できる自律型のスタイルを確立していくことに意欲をみせた。
同社MRは現在、これまで糖尿病薬を扱っていたMRは統合失調症薬などCNS関連製品の勉強を、CNS関連製品を扱っていたMRは糖尿病薬の勉強をしている。山崎本部長は、「MRのビタミン剤は、新しい薬を扱うこと」だと改めて実感したと言い、エリア制を敷いて新しい医薬品を取り扱うことになったことが結果としてMRのモチベーション向上に寄与しているとの見方を示した。さらに2月頃からヤンセンファーマが製造販売する持効性抗精神病薬・ゼプリオン水懸筋注とゼプリオンTRI水懸筋注をコ・プロモーションすることになっており、これも旧CNS専任MRのやる気を一層かき立てているとも話してくれた。
◎木村社長 25年度の日本事業の赤字、回避できる見通し示す
24年度に日本で約700人の人員削減や組織変更を行った背景には、24年6月にトレリーフ、12月にエクア、25年6月にエクメットに後発品が参入するといった非常に厳しい国内事業環境でも、日本セグメントとして赤字にならず、継続的に収益確保できる体制に見直すとのねらいもある。
木村徹代表取締役社長はこの日の会見で、国内スリム化とゼプリオンのコ・プロ開始により、日本セグメントの25年度の赤字が回避できるとの見通しを示した。「薬価の問題もあり日本事業を大きな利益セグメントにするということは難しい」としたが、「我々にとってマザーマーケットであり、日本市場でしっかり利益が出る形にもっていきたいと考えており、(コ・プロ契約した)ゼプリオンが非常に大きかった」と述べた。