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日医・中川会長 22年度改定は「全ての医療機関が質の高い医療を維持できる改定に」 補助金の活用も

公開日時 2021/06/24 04:52
日本医師会の中川俊男会長は6月23日、定例会見に臨み、議論が本格的にスタートした2022年度診療報酬改定について、「新型コロナウイルス感染症で疲弊した全ての医療機関がしっかりと質の高い医療を維持できる、そういう診療報酬改定であってほしい」と述べた。小児科や耳鼻科など、特定の診療科で減収傾向が続いていることも指摘し、「診療報酬面だけではなく、補助金など色々なものを使いながら改定の議論に臨んでいきたい」と意欲を見せた。

この日の会見で中川会長は、政府が6月18日に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針2021(骨太方針2021)について、日本医師会としての見解を述べた。

骨太方針2021では、2025年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を明記。22年度から3年間の歳出改革努力は継続するとし、社会保障費については「実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びに収めることを目指す」と言及している。これらの歳出改革に関する記載は、従来から変更はないが、新型コロナの感染拡大が医療現場への影響が大きかった昨年度には記載が見送られた経緯がある。今年は改めて歳出改革の必要性が明記されたことになり、22年度診療報酬改定も、こうした方向性のもとで実施されることになる。

◎新型コロナによる受診抑制で医療費減少など考慮を

中川会長は、「新型コロナ対策の有事の医療提供体制と、新型コロナ以外の平時の医療提供体制は車の両輪となって国民の健康と命を守らなければならない」と強調した。改定率や財源の配分などは、新型コロナによる受診抑制などで20年度の医療費が減少していることを指摘し、こうしたことも踏まえ、「中医協でしっかりと議論して決めていくんだろうと思っている。そのスタンスは従来と変わらない」と説明した。そのうえで、新型コロナの影響を勘案する必要性を指摘。「診療科による違いが非常に大きい。小児科、耳鼻科のマイナスが大きい。その違いをどのように補填、対策をうつのか。診療報酬面だけではなく、補助金など色々なものを使いながら改定の議論に臨んでいきたい」と述べた。

◎支援対象は幅広く 「面として支える医療機関への支援も不可欠」

新型コロナ患者を受け入れている医療機関の支援について骨太方針に明記されていることを中川会長は説明。「病院の減収分を速やかに補てんすることは、ぜひやっていただかなくてはならない。診療報酬のみならず、補助金も含めて活用し、柔軟に対応していただきたい」と述べた。

一方で、「全ての医療機関が地域を一体となって支えており、新型コロナウイルス感染症に対応している。一般の患者の受け皿があってこそ、新型コロナウイルス感染症の重点医療機関等を拡充できる。そのためにも、後方支援医療機関も含めて、地域一体となり面として支えている医療機関への支援も不可欠だが、これらの医療機関も経営が逼迫している。支援対象はできるだけ広く捉えていただきたい」と訴えた。

◎病院機能の集約で地域医療連携推進法人「株式会社参入につながる恐れもある」

骨太方針に、「病院機能の集約化や医療専門職人材の集約化」が明記されていることにも触れた。中川会長は、「医療資源を多く必要とする専門的な医療は、広域的に拠点となる基幹病院で集約することが有効である一方、日常的で頻度の高い医療ニーズに対応する診療は地域の身近な医療機関で確保するなど、地域の実情を踏まえたきめ細かい対応が必要だ。地域医療における機能分化と連携のバランスを配慮して進めていくべきだ」と述べた。

病院機能の連携強化・集約化に向け、地域医療連携推進法人制度を活用することも提案されているが、「国や都道府県主導のM&Aの推進、さらには病院経営への株式会社参入につながる恐れもあるのではないか、との懸念があり、今後日本医師会からもあるべき姿を発信しつつ、動向を注視していく」と述べた。

このほか、かかりつけ医の在り方については、“制度化”に反対の姿勢を改めて示した。中川会長は、「制度化ではなく、国民に社会保障や健康に関する教育・啓発などを行って意識改革を促し、上手な医療のかかり方を広め、かかりつけ医を普及していくことが重要だ」との考えを示した。

◎オンライン服薬指導の初回解禁「きちんと議論を」 日医・今村副会長

政府が骨太方針と同日に閣議決定した規制改革実施計画では、「オンライン診療・服薬指導の恒久化」が盛り込まれている。またオンライン服薬指導は、薬剤師の判断で初回から実施は可能ということも盛り込まれた。

今村聡副会長は、「対面の服薬指導と、オンラインの服薬指導の質の違いがあるのか。しっかりとした検証もされていない」と指摘。全面的なオンライン服薬指導の解禁で、「薬剤師の業務のあり方自体が大きく変わってくる可能性もある。きちんと議論をしていただいたうえで、どういう形で進めていくのか。オンライン診療を行ったものはすべてオンライン服薬指導という議論もあるが、在宅医療等でもあるが、これも慎重な議論が必要ではないかと思っている」と述べた。
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