米医薬サプライチェーン 新型コロナワクチンで共通基本理念 全米対象の流通戦略立案の必要性も
公開日時 2020/10/28 04:49
米国の医薬品に関わる製造、流通、販売関係者が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の効率的な開発、国民全員のワクチンへのアクセス、および安定的供給を確保するために共同で基本理念をまとめた。PhRMA(米国研究製薬工業協会)が10月22日発表した。
基本理念は、現在のCOVID-19パンデミックを抑制する目的で十分なワクチン供給を行うための基本的な考えをまとめたもの。行政に対する要望も含まれている。
理念は以下の通り。
▽新型コロナワクチンの開発、承認および市販後調査は、ワクチンへの国民の信頼を脅かすことなく、透明性を確保し、科学的に厳格なプロセスを経て行われなければならない。
▽新型コロナワクチンの国民への公平な割り当てが重要で、その優先度は公衆衛生上の影響を重んじて決めるべき。
▽ACIP(ワクチン接種諮問委員会)による接種推奨についての最初の、およびそれ以降の決定についての一貫した国民の関与(ACIPには消費者代表が参加)と明確なコミュニケーションが必要とされる。
▽現在接種中のワクチンについての既存の流通戦略に合致し、よく調整された、全米を対象とした新型コロナワクチンの流通戦略を立てる必要がある。
▽ワクチン接種計画および配備政策は、地域のワクチン接種インフラ状況やワクチン接種実行者(医師、看護師、薬剤師など)における感染の防護確保の観点から考慮されなければならない。
▽新型コロナを含む感染症予防および管理を目的としたワクチンは、優先すべき、かつ促進すべきヘルスサービスの中核である。そのため、患者へのワクチン教育について啓蒙の必要性がある。
▽消費者の財政的障害の除去を含めワクチンへのアクセスの確保が新型コロナへの対応が成功するか否かの分岐点である。製造業者、保険支払者、医師、薬剤師など関係者はACIPによる接種推奨の勧告が出たら、幅広く、かつ接種しやすい環境を作るために努力しなければならない。
今回の基本理念に賛同した団体は、以下を含む17団体。マネージドケア薬局学会(AMCP)、米国医療保険計画(AHIP)、米国薬剤師会(APhA)、バイオテクノロジー協会(BIO)、ブルークロス・ブルーシールド協会(BCBSA)、米国商工会議所(USCC)、米国医薬品卸業連合会(HDA)、全米チェーンドラッグストア協会(NACDS)、全米地域薬剤師会(NCPA)、PhRMAなど。