【World Topics】サンフランシスコに 100%有給の育児休業法
公開日時 2016/05/23 03:50
サンフランシスコが米国で初めて100%有給の育児休業法を採択、全米の注目を集めている 。4月5日に成立した 育児休業法は、6週間の完全有給の育児休業を両親のいずれにも認めるというもの。同性婚のカップル にも、また出産の場合にも、養子縁組の場合にも適用される。
世界の先進国に比して育児休業制度が遅れているとの批判を受けてきた米国は、実際、 ILO(国際労働機関)に加盟する185ヶ国中でわずか2ヶ国だけの国家法としての育児休業法をもたない国である(米国以外はプエルト・リコのみ)。
そのような米国にあって、カリフォルニア州は先進州の1つで、すでに6週間の育児休業(給与の55%を公的資金から保証)が法律で認められており、規模の大小を問わずカリフォルニア州内にある企業はすべての従業員に育児休業を認めなければならないことになっている。今回サンフランシスコはこの保証をさらに拡大したものだ。
実態は、サンフランシスコ基盤の企業には先進例も多く、たとえばツイッター社ではすでにフルタイムの従業員には20週間の100%有給の育児休業を認めている。
しかし米国全体でみると、全企業に有給の育児休業の導入を義務づけているのは、 カリフォルニア州以外では、わずかにニュージャージー州とロードアイランド州だけである。
だが、 サンフランシスコでの育児休業法の成立の前日、4月4日には、ニューヨーク市が12週間の給与一部保証つき育児休業法を採択するなど、先進地域での育児休業法成立の動きが、全米を牽引していることは確実で、各地で同様の法案が市議会や州議会に提出され審議中だ。遅ればせながら米国にも両親の育児休業を社会的に支援する動きが広がろうとしている。(医療ジャーナリスト 西村由美子)