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【FOCUS】2025年始動 生成AI時代のMRスキルを考える 社員が“手挙げ”でキャリアを掴み取る時代に

公開日時 2025/01/07 04:52
2025年が始動した。団塊世代800万人が75歳以上の後期高齢者を迎える市場環境に従事するMRにとって、どのような形で自身のプレゼンスを最大化できるかが問われそうだ。ビジネスマインドの視点からは、生成AIをビジネスパートナーと位置づけ、自身の働き方にどう組み込み、仕事の仕方をどう変革できるかが重要となる。製薬各社もAIやデジタルを活用してMRの生産性向上を追求するDXモデルへの転換を急ピッチで進めており、社員側も“自発的な手挙げ”で自身のキャリアをつかみ取る時代になってきた。ジョブ型雇用やポスティング制度など、会社組織や人事評価が大いに議論される1年となりそうだ。
(ミクス編集長 沼田佳之)

“AIの民主化”――。製薬業界を取材して、よく耳にする言葉だ。対話型AI「Chat GPT」を米オープンAI社が公開したのは2022年11月末。それからわずか数年でGPT4やMicrosoft Copilotが世界中に浸透し、ビジネスマンにとって生成AIに触れず一日の仕事を終えることがなくなった。まさに生成AIの普及はスマホの浸透をはるかに凌ぐスピードだ。当然のようにAIのビジネス活用は様々な業種で検討されている。

製薬業界においても、AI創薬に代表される研究開発部門、生産部門、そしてセールス・マーケティング部門へと活用の場に広がりを見せている。ミクス編集部が24年秋に製薬企業30社に行った調査でも、8割の経営者がAIを含むDX投資を継続する姿勢を示した。ただ、具体的な成果は?と問うと、AI創薬で新薬候補物質の抽出や、生産部門の品質管理などで事例報告があるものの、コスト・ベネフィットのエビデンスを得る時期は、まだ先のようだ。

とは言え、経営者がAIに期待を寄せる背景には理由がある。デジタル時代が台頭する中で、様々なデータを統合し、顧客のニーズや課題を解析することで、顧客体験(CX:カスタマーエクスペリエンス)に突き刺さるソリューションを届けることが可能となる。“カンと度胸”に頼っていたアナログ時代のMRとは異なり、“より深く、より満足度”を高める顧客アプローチが可能になるという訳だ。

特に、医療の世界では、革新的新薬を使う患者の満足度をデータを用いて解析し、患者が病を克服して、社会貢献できる姿を医療者にフィードバックすることで、革新的新薬の更なる価値(Value)の高まりを次のアプローチに利用する循環型マーケティングの発想だ。

◎AI・デジタルとの親和性をMRは考えるべきだ

一方で、こうしたテクノロジーを活用した顧客アプローチを成功させるカギとして、デジタル人財の育成が急務となる。コロナ禍以降、オムニチャネル・マーケティングが話題となっているが、ここにきてMRによるデータ活用の面での課題も浮かび上がってきた。これまでのMR活動は自己完結型の情報提供活動を行ってきたが、近年は医療機関の訪問規制や医師の働き方改革などで、MRとの面談機会がコロナ禍を境に、特に勤務医を中心に減少し、Web情報(自社サイト、Web講演会、医師向け会員サイト等)とのコンビネーション活動が求められている。加えて、Web面談システムを活用した双方向型のコミュニケ―ションも増えていることから、過去のようなMRによる自己完結型のアプローチでなく、医師側の疑念や疑問をWebを通じてリアルタイムに回答する。東京本社から地方の病院の医師とWeb面談し、必要な情報を迅速に届けることが可能になった。ここにAI技術が加わることで、情報の“量”と“深さ”で医師をサポートできる。MRは、こうしたデジタル環境を駆使して、医師と本社・営業拠点をつなぐコーディネータとしての役割が求められるという訳だ。その際に求められるスキルが“目利き力”だ。

医師が求める情報をAIで先読みして、その解をタイミングよく届ける。一例だが、Web講演会を視聴した医師に、“いかがでしたか”、”面白かったですか?”という質問はしない。

逆にMRは、“先生だけに追加情報をお届けします”と答える。ここでいう“追加情報”こそMRが目利きした医師のニーズとなり、これをAIで抽出できれば、MRの面談成功確率は各段に上昇するという訳だ。加えて、MRだけで手に負えない案件は、Webのグループ面談機能を使って、MRも参加した状態で東京本社から医師に伝えることができる。もちろん生成AIがWeb面談に参加して、音声対話を駆使して医師と話す未来も夢ではない。

AI時代のMR活動において、こうした取り組みが日常一般化される。ただし、これを実行できるMRは現時点では皆無とも言える。

これらを実現するためには、「MR×AI」活動を支援する社内組織や人事評価の再構築が必要になるのではないか。MR自身がAIをパートナーとして認め、そのための能力やスキルを習得することはもちろんだが、本社の営業支援部門のスタッフやマーケティング担当者との人的交流を日常的に遂行できる社内環境も用意しなくてはならない。その意味で営業本部のタテ型組織は早晩見直す必要があると考える。2025年の始まりにあたり、AI時代に求められる営業本部の組織再構築について熟考してみては如何だろうか。

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