【World Topics】オバマケアでプロバイダー・ネットワーク強化
公開日時 2015/08/10 03:50
最近、高額医療費についてのメディアの報道が変化した。問題の焦点はたいてい「自分が持っている保険のネットワーク外の医療機関を受診した場合」である。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
オバマケアが保険会社に対する規制を強化したことはよく知られている。いわく、既往症での肝油拒否の禁止、高額医療費に対する支払い制限の撤廃、患者の自己負担に上限を設ける、保有する医療保険のネットワーク外の医療機関のERにかかった場合の請求に上限を設ける等々。
マネージドケア・システムをとる米国では、保険会社と病院などの医療サービス・プロバイダーが契約によってネットワークを組んでおり、 ネットワーク内ではサービスのボリュームや価格について事前合意がなされている。保険会社も医療機関も大きな損失を出さないように考えられているわけで、これにともない、保険加入者(消費者)は原則としてネットワーク内で行動するようもとめられる。
オバマケアによる規制強化は、保険会社にとっても医療機関にとっても従来の利益幅を狭める可能性があるものであるから、ネットワーク内全体でのコスト管理はいっそう重視されるようになっており、ともなって保険加入者(消費者)の行動もきびしく管理されるようになった。
保険会社に対するオバマケアの規制は、その加入者が持っている医療保険にかかわるものであるから、保険加入者が保険のネットワークの外で(いわば勝手に)受診する場合には規制外になる(救命救急受診の場合は例外:上述)。
これが最近、医療機関がネットワーク外からの受診者に対して以前よりもはるかに高額の請求書を送るようになったと言われる背景である。