英NICEガイダンス案 前立腺がん治療薬ラジウム‐223を推奨
公開日時 2015/06/11 03:50
英国立医療技術評価機構(NICE)は6月5日、独Bayer Healthcare社の去勢抵抗性前立腺がん治療薬のXofigo(塩化ラジウム-223)について、英国民保健サービス(NHS)における使用を推奨する内容のガイダンス案を発表、意見募集を開始した。
NICEは、同剤について、ホルモン療法が無効となり、骨転移をした患者に対する適応を推奨するとしている。ガイダンス案は、特に化学療法剤ドセタキセルの治療歴のある患者で効果が高いとし、当該製薬企業が割引価格に同意した場合に医師は同剤を処方できるとしている。
NICE医療技術評価センター(HTEC)のCarole Longsonセンター長は、塩化ラジウム-223のエビデンスが、暫定的推奨を行うためには非常に確実なものだったことを喜んでいるとしたうえで、「Bayerが提出した情報は、同剤は、前立腺がんの進行を遅らせ、生存期間の延長に有効であることを示唆した。また、そのエビデンスは、同剤が、アビラテロンと同様の有効性を持っていることを示唆した」と同剤を評価した。塩化ラジウム-223のガイダンス案についての意見募集は2015年6月25日まで行う。
一方、NICEは、同日、スイスFerring Pharmaceuticals社の前立腺がん治療薬Firmagon(Degarelix depo)については、NHSにおける使用を推奨しないとするガイダンス案を発表した。
Degarelixは、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)受容体拮抗薬である。NICEのCarole Longsonセンター長は、「(NICEの)独立評価委員会は、Degarelixについては、当初、前立腺がんの脊椎への転移や脊髄圧迫の兆候のある患者における使用を暫定的に推奨していたが、専門家らは、この進行段階での使用は適切でないと結論付けた」と述べ、同委員会がそれを受け、検討の結果、現在のエビデンスや専門家らの意見から、脊椎転移などについての有効性の検証ができなかったために推奨しないことに決定したと説明している。
Longson教授は、「一般的にNICEがある薬剤を推奨できないことは常に残念なことだが、現在、当該薬剤を服用している患者は、医師がそれを休薬することが適切と考えるまで使用を継続できる」と話した。