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英NICE 新規アルツハイマー病治療薬 費用対効果評価で新規評価法の検討開始

公開日時 2023/12/05 04:49
英国立医療技術評価機構(NICE)は、英国で来年登場が予定されるアルツハイマー型認知症(AD)に対する新規疾患修飾薬について費用対効果の新たな評価法の検討に入った。NICEが11月20日明らかにした。

ADについての最近の科学的知見の進歩は著しく、同疾患の複雑な病態やメカニズムの解明に光を投げかけており、DMDTs(疾患修飾AD薬)を含む新規治療法が出現し始めてきている。これら治療法は、疾患進展経過を変え、患者の負担を軽減することが期待されている。英国では、まだ、DMDTsは承認されておらず、開発中にあるが、なかでもエーザイ社/バイジェン社のレカネマブおよびイーライリリー社のドナネマブの2剤が2024年にNICEの評価を受ける予定である。両剤とも、ADによる中等度の認知障害および中等度の認知症を適応としている。

このため、NICEはNHS(国民保健制度)および患者とともに当該企業による同剤のエビデンスの提出に応じ、評価の準備を始めた。具体的には、NICE内の医療技術評価イノベーション研究所(HTA Lab)が現在の評価法、公開されているエビデンスや研究者・患者グループ・NHS内部との徹底した議論をベースに計画中あるいは将来の評価で起こりうる問題を検討する。

NICEは、評価プロセスについての検討の一環として考慮される以下の課題を上げている。▽どの程度(人数)の患者が中等度の認知障害を持っているか不明確、新規治療法への適格患者を確認する検査が現在では侵襲的な点、▽現段階では、DMDTsの長期的治療効果の公開されたデータがないこと、および寿命・QOLの観点からDMDTsの生涯のベネフィットを推測するには臨床試験の結果から大幅に推定する必要がある、▽経済的モデリングにおける課題-。DMDTsは病院内の静注なので、その追加経費と注射部位および他の副作用における追加経費も考慮する必要がある。また、副作用モニタリングの必要もある。

NICEでは、これらの課題があるにもかかわらず、NICEの技術評価の方法およびプロセスは、これら画期的新規治療法の評価に適正であり続けるとしている。ADの既存治療選択肢に比べて臨床的観点および費用対効果の観点からこれら治療法の価値は適切に評価しうること、つまり、ADが効果的に治療でき、予防さえできるという未来に向けての基本的歩みであることが重要であると説明している。

ADは英国では約85万人が罹患、これは65歳以上の高齢者の14人に1人が罹患していることを意味する。
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