英NICEガイダンス案 高薬価でもC型肝炎治療薬ソホスブビルを推奨
公開日時 2014/08/29 03:50
英国立医療技術評価機構(NICE)が、欧米でその高薬価が論議の的となっている米Gilead Sciences社のC型肝炎治療薬Sovaldi(ソホスブビル)について、英国民保健サービス(NHS)での使用を推奨するガイダンス案をまとめた。NICEが8月15日発表した。
同ガイダンス案は、成人における慢性C型肝炎の遺伝子型1型および3型に対するペグインターフェロンアルファ(Peg-IFN-α)およびリバビリンとの3剤併用、また、遺伝子2型および3型に対するリバビリンとの2剤併用についてNHSでの使用を推奨した。
NICEは、2014年6月にSovaldiについての1次ガイダンス案を発表、そのなかで、Gilead社に対して、同剤について推奨の可否を決めるためのHTA(医療技術評価)にはエビデンスが不足しているとして、追加エビデンスの提出を求めていた。
NICE医療技術評価センターのCarole Longson教授は、IFN治療が長期にわたることや副作用の可能性から多数の患者が治療コースを完了できなかったり、最初から治療を断念するなどの短所を持つことを指摘したうえで、「ソホスブビルのような新規治療法はIFNをベースとした治療期間の短縮が可能で、ケースによりIFNを全く不要とする」とIFNフリーの可能性のある同剤の長所を説明した。
さらに同教授は、1次ガイダンスで推奨できなかった経緯を説明、追加エビデンスの詳細な検討により、慢性C型肝炎の一定の患者については、「我々は、ソホスブビルを一定の慢性C型肝炎患者に臨床的に有効かつ費用対効果を持つ治療法として推奨できることに喜んでいる」と話した。
ソホスブビルは、ヌクレオチドアナログNS5Bポリメラーゼ阻害剤である。用法用量は、1日1回1錠で、12週投与および24週投与となっている。
ソホスブビルのNHSにおける収載薬価は、2014年5月英国ナショナルフォーミュラリーによると400mg錠28錠パックが11660.98ポンド(付加価値税除く。約200万円:1ポンド=172円換算)である。従って、12週投与の薬剤費は34982.94ポンド(約601万円)、24週では、69965.88ポンド(約1203万円)となる。
欧米で、同剤の薬価は高すぎて保険財政を圧迫するとの批判が高まるのも納得できる薬価である。NICEのガイダンスは、最近、抗がん剤をはじめとして高薬価の薬剤を非推奨とするケースが多いが、これを推奨するのだから、エビデンスにおける効果の確実性とIFNフリーへの期待および医療現場での効果への期待の高さが浮き彫りにされる。
NICEは、同ガイダンス案のパブリックコメントを募集中で9月5日に締め切る。