12月号『ヘルスケア業界の女性活躍で「HBA Tokyo」設立』から思うこと
こちらのコーナーでは、ミクス本誌の記事から人事担当者の目線で気になった記事を主にキャリア開発の視点から読み解いていきます。
製薬業界に関するニュースが日々飛び交うなかで皆さまのキャリア構築の一つの視点として読んでいただけますと幸いです。
今回は、12月号に掲載されている
「HBA Tokyo」の設立に関する記事にフォーカスを当てたいと思います。
女性リーダーの育成/抜擢が機能する会社・しない会社
政府が女性の活躍というスローガンを掲げてから既に10年近くが経過する中で、残念ながらヘルスケア業界においては女性リーダーが充分に増えたとは言い難い状況が続いています。ただ、トップリーダーの約半数が女性という会社も出てきている現状を併せ考えると、全体的に停滞しているというよりは、会社による差が顕著になってきているという見方が正確ではないかと考えています。
どこの会社も人事制度や人材育成の面から女性のキャリア開発を積極的に支援する中、会社間の差が出じている原因としてよく挙げられることに「経営トップの本気度の違い」があります。これは、女性の活用やキャリア開発はトップダウンで進めるテーマであり、トップの強いリーダーシップが不可欠だという認識に基づいた見解ですが、女性管理職の数値目標まで掲げられている昨今、トップが本気でない企業はほとんどないと思われます。その一方で、各社の人事担当者や社員の方々と話をしていると、その重要性の理解度には大きな差があると感じます。
ところで、皆さんの会社では、女性リーダーの育成を経営課題に掲げる理由について具体的に説明されていますでしょうか?リーダーが多様化することで、社員の意欲向上やビジネス成果の改善などのポジティブな効果が生まれることまで詳しく説明している会社がある一方で、「今はダイバシティの時代だからさまざまな人材を登用する必要がある」といった表面的な話にとどまっている会社も多いと聞きます。言うまでもなく両者の社員には女性活用に関する理解の差が生じますが、その差が女性社員のキャリア開発に対するモチベーションの差に発展し、ひいては女性リーダーの数にも帰結すると私は考えています。
ちなみに、後者の企業は女性のキャリア開発支援を❝時流❞と捉え、女性リーダーを増やすことだけを目的に置きがちなため、今までの男性中心の価値観や働き方を変えるというムーブメントにまでには至りません。その結果、せっかく抜擢した女性リーダーにも旧来の男性的な役割や働き方を求めることになるため、会社と女性リーダーとの想いに齟齬が出やすくなります。一方で、前者の企業では、リーダーの多様化による社員のエンゲージメントの向上までをそのスコープに入れているので、それぞれの社員が自分らしく働くことを目指しやすくなり、女性リーダーが誕生・定着しやすくなります。
自らのキャリア開発のために
このように、女性のキャリア開発に関する意識や取り組みの姿勢に会社間の違いが出てくると、どの会社で働くかということは(特に女性にとっては)とても重要度の高いテーマになります。ただ、どのような状況の会社にいたとしても、ご自身のキャリアを有効にディベロップさせるための着眼点や手段は共通しているので、そのヒントを今回の記事を参考にしながらお伝えできればと思います。
<ビジネストレンドの理解とリスキリング>
・業界や自身の仕事がこの先どのように変化していくのかを理解し、そこに求められる知識や能力を養う
- 業界誌や専門書、経営戦略に関する書籍やサイトなどを可能な限り読み漁る
- 顧客をはじめとするステークホルダーが求めている「現在満たされていない価値」を幅広く考える
- 未来予測に基づく知識・スキルマップを作成し、実務や研修を通して自身の強みの強化と不足点の補完を行う
⇒ 新たに取得した能力を活かせる環境(社内/社外)を模索する
<成果につながりやすい働き方の検討・実施>
・自身の働き方について、今までとは異なる視点を取り入れながら大胆に変えていく
- 社内の他部門や同業他社の先輩の成功事例を取り入れてみる
- 異業種交流などに参加してヘルスケア業界にはない視点をinputする
- IT/AI業界の先端事例の取り入れを図る(例:VRを使った未経験ゾーンの学習、アバター会議など)
⇒ より効率的な働き方を模索しながら高い成果を生み、異動・転職のチャンスを増やす
<社内外ネットワークの構築>
・常に多方面にアンテナを張り巡らせて、チャンスの芽を多く見つけ出す
- 直属の上司だけでなく、その上司や関係部門の意志決定者とコミュニケーションする機会をつくる
- 社内の課題を理解し、その解決のための方策やプロジェクトなどを上司や関係者に提案する
- 他社人材との交流を通して、自身の強みやスキルをアピールしておく
⇒ いくつかのオプションから自身の将来にとって最適なものを選択する
いかがでしょうか。今すぐできるものから難易度の高いものまでご紹介しましたが、これらを足掛かりに個々人に合ったキャリア開発のアプローチを生み出していっていただけると嬉しく思います。
なお、こうした作業は時間がかかるもので、うまく進まずに心が折れそうになる時もあると思います。そのような時に、その思いを気軽に吐露したり共有できる同志を見つけておくこともとても大切です
<ご案内>
ミクスキャリアコミュニケーションでは、女性のキャリア開発を積極的に支援しています。
・今後のキャリア開発に自信が持てない/キャリア開発の方向性に迷いがある
・今のキャリアに閉塞感を感じている
・自社の女性リーダー育成に違和感を覚えている
など、不安やお困りをお持ちの方がおられましたら、ぜひ気軽にご連絡いただければと思います。メールでのコミュニケーションや個別相談などを通してサポートさせていただきます。
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