ミクス・キャリア・コミュニケーション事業部がセミナー開催
製薬企業各社が早期退職制度を相次いで導入するなか、各社が直面する構造変化の背景や求める人材について考えるセミナーが開催されました。登壇したミクス・キャリア・コミュニケーション事業部長の岡田光紀は、「これから先に自分がどのように人生を楽しむかを考えた時、何を学び、それをどう生かしていくかを考えることが必要ではないか」と呼びかけ、自身の経験や強みを見つめ直し、学び続けるという自律的なキャリアを構築する重要性を指摘しました。
セミナーは、「製薬メーカーの構造変化から考える新たなキャリア像」をテーマに、環境変化が激しい時代を生きぬくためのキャリア形成について考えようとミクス社が開催しました。
セミナーでは、Monthlyミクス編集長の沼田佳之が、「製薬メーカーのリアル」と題し、各社で相次ぐ早期退職制度の背景について解説。「製薬企業が提供する新薬が、低分子医薬から抗体医薬、核酸医薬、遺伝子治療と多様化し、最近では治療アプリのようなデジタル機器にも広がるなかで、企業の立ち位置も変化している。患者の治療満足度をいかに高めていくかというCX(カスタマーエクスペリエンス)の概念が近年重要視されている」と説明しました。このため各社が早期退職制度を導入する背景には、「今ある製品や将来出てくる製品群を照らし合わせ、MRの適正数を洗い出して、生産性をキープしていきたいという各社の思惑がある」と指摘しました。
一方各社は早期退職制度の導入と同時に、デジタル人材を育成する教育プログラムや、社内起業家として活動するための副業・兼業制度の導入など、社員に対し、キャリアの自律を求める取り組みも行っていることも説明。「各社はやみくもに早期退職を行うのではなく、求める人材を前面に打ち出している」と強調しました。そのうえでMRは、かつて医師や薬剤師に一生懸命情報提供をしていた役割から大きく変化し、「患者の満足度を高めるため、必要なツールを提案したり、地域や社内のなかでクロスファンクションチームの扇の要のような“目利き”的な存在になるべきだ」と話しました。
また、急速に普及する生成AIについても触れ、会場に対し、「医師が個人的に生成AIを使って作成した医薬品の比較表を見せて感想を求めてきたら、あなたはどうしますか」と投げかけました。デジタル化が急速に進み、VRや治療アプリなどの技術が溢れるなかで、「製薬企業の対応を予見し、こうしたツールの使い手になることも重要だ」と訴えました。
次の10年のキャリア形成に必要なことは!?
パネルディスカッションでは、「次の10年のキャリア形成のために必要なこと」をテーマに、沼田や岡田に加え、ヘルスケア業界を中心に人材の発掘やマッチングをサポートするブライトゲート社を設立した桐田博史代表が意見を交わしました。
このうち岡田は、前職で勤めた内資系企業で、自身が早期退職優遇制度の対象となった経験を明かし、「退職届を提出するまでの1カ月半、辞めるかどうか1分ごとに答えが変わり、寝ることができずに不安だった」と振り返りました。一方でこの時期にこれまでの経験や自身の強みを見つめ直したことで、自分のやりたいことや経験を活かせる再就職ができたと強調。転職やキャリア形成を考える際には、「これから先に自分がどのように人生を楽しむかを考えた時、何を学び、それをどう生かしていくかを考えることが必要ではないか」と語りかけました。
沼田は、これまでに製薬企業を退職し、ベンチャー企業に勤めている人や起業した人を取材したところ、デジタルなど新しいITツールに対するアンテナが高いと感じることを紹介。次のキャリアを形成するには、「経験を積むために自分で行動していくことに億劫ではないということや、自分のポリシーや信念を形や言葉で表現できることが重要ではないか」と指摘しました。
これに対し会場からは、▽お勧めの企業や、▽コントラクトMRに対する考え方、▽シニアのキャリア選択の可能性-などの質問が次々に寄せられました。
リスクの種類は異なる 重要なのは“それぞれが大事にしたいこと”
「リスク管理の観点から企業選びをした場合、外資や内資、スペシャリティなどどのような企業を選ぶのがお勧めか」という質問に対しては、企業それぞれのリスクと強みを一人ひとりがどう見極めるかが重要だとの意見が相次ぎました。沼田と岡田が、外資系であればプロダクトが充実し高給である一方で、成果主義の色が強いという例をあげると、桐田代表は、「それぞれの社によってリスクの種類が異なる。パイプラインがリスクなのか、もしくはその会社で合わないことがリスクなのかは人によって違うため、それぞれが何を大事にするかが重要だ」と呼びかけました。
コントラクトMRについては、岡田が「完全に売り手市場であり、製薬企業でMR経験がある方であれば活躍できる」と回答。CSOではポジションをオープンにしている社が多く、研修を修了すれば希望するポジションにチャレンジする権限が与えられるケースもあるため、「MRの経験を活かして社内の別のポジションに異動したいと考えている人も向いているのではないか」と話しました。またシニアの転職については、「中小企業を中心に50歳以上を獲得している企業はあると聞いている」と紹介したうえで、「選べるかどうかというと難しいという現実はあるかもしれないが、実際に転職した人は、今の会社に残るにしても転職するにしても、『このままでは終わりたくない』という気持ちをもって仕事に向き合っていた」と話しました。
チャレンジすればチャンスが!
桐田代表は、「定年をなくそうという話がどんどん出始めている。人事制度がジョブ型に変化していくなかで、年齢という枠は取り払われ、『この仕事をいくらでやってくれますか』という形になってきている」と強調。ミクス・キャリア・コミュニケーション事業部では、外資系の消化器領域のブランドマネージャーや内資系大手のマーケットインサイト担当をはじめ、コンサルティング企業やIT企業などの求人を保有していることを紹介し、「チャレンジすればいろんなチャンスやオポチュニティは出てくると考えている。ぜひそのお手伝いがしたい」と呼びかけました。
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