10月号『自ら学び「自立したプロフェッショナル」となれ!』から思うこと
こちらのコーナーでは、ミクス本誌の記事から人事担当者の目線で気になった記事を主にキャリア開発の視点から読み解いていきます。
製薬業界に関するニュースが日々飛び交うなかで皆さまのキャリア構築の一つの視点として読んでいただけますと幸いです。
今回は、10月号に掲載されているMR認定センター専務理事へのインタビュー記事、『
自ら学び「自立したプロフェッショナル」となれ!』にフォーカスを当てたいと思います。
「自立」の大切さと難しさ
「医薬品の適正使用に資する自立したプロフェッショナルにならなくてはならない。そのためには自ら学ぶ姿勢をベースにしなくてはならない」。MR認定センターは、2026年度に控えるMR認定制度改定の狙いをこのように説明しています。MRの置かれている環境や求められる役割が大きく変化する中で、従来の会社主導型の教育から脱却し、「自ら学んで知識を習得・維持する意識」を醸成しながら自立型人材の輩出につなげたいという同センターの想いを強く感じます。
この「自立的に考え行動する」というスタンスはキャリア開発においてもとても重要であり、「キャリアのオーナーシップ(自らのキャリアを自分自身でかじ取りする)」という言葉で語られます。既に多くの企業で浸透してきている概念ですが、一方で、「そのために何をどのように行うべきか」ということについては、抽象的な説明や学術的な理論がシェアされることが多く、具体性に欠けているという指摘があります。
たとえば、キャリア面談シートを記入する際、「自分の目標やめざすポジション」は比較的書きやすいものの、「そのためにどのような努力をするのか」というアクションプランの項目を埋めることは難しいと感じた経験はないでしょうか。語学力を高めるために英会話レッスンを受けるといったことであれば想像しやすいのですが、たとえば、これから必須と言われているDXやAIの活用、データ分析といった課題に対するアクションプランを考えることは容易ではないと思います。
機会は無数に転がっている
自身が立てた目標の難易度や抽象度が高い場合、アクションプランをうまく設定できないことがよくあります。何をやればよいのか分からなかったり、アイデアはあってもその妥当性に確信が持てないということは多くの方が経験されてきたのではないでしょうか。このとき、上司や先輩が適切なアドバイスを与えてくれるとよいのですが、残念ながらそれが難しいことも想定されます。
こういうケースの解決策の一つとして、「難しく考えずに、できることからいろいろ試してみる」というアプローチがあります。たとえば、「AIを効果的に活用して自社ビジネスの付加価値を高める」という目標を立てた場合、書店でAIに関する書籍を買い漁るということや、ネットでAI活用事例を検索してみるといったことはすぐに思いつくのではないでしょうか。ただ、これだけでは不充分なので、たとえば、AIに関する講座に参加してみるといったアクションも併せて取るとよいと思います。
実はいま、AIやDX、データサイエンスなどの注目度が高いエリアに限らず、さまざまなテーマの講座がアレンジされています。たとえば、国や地方自治体、企業などの参画団体で構成される「日本リスキリングコンソーシアム」では、1,400以上の講座が用意されていて、その中には無料のものも多くあります。また、経済産業省では、「マナビDX」というデジタルスキルの育成コースを紹介しているサイトや、キャリア相談、リスキリング支援金制度などを展開しています。その他、文部科学省にも、「マナパス」という講座案内サイトなどがあり、気軽に利用することが可能です。
「やってみなはれ」の精神が次を拓く
「やってみなはれ」というのは、サントリーの創業者・鳥井信治郎の言葉で、失敗を恐れずに行動し、学びながら改善していけばいいという考え方を表したものですが、アクションプランもまさにこの精神が当てはまります。もちろん、ゴールから緻密に逆算してそこに求められる行動を愚直に積み重ねるスタイルで築くキャリアパスもありますが、ゴールへの道筋が見えない場合は、まずは試してみて、そこから得られるヒントを次のアクションプランに活かすという方法がとても有効です。
先ほど紹介した国の各種サービスの中には無料のものもあるので、まずは気楽に登録・受講してみることをお薦めします。大きな目標を掲げていたとしても、最初の一歩は小さく始めた方がうまくいくこともあります。また、もし一つのコースで何も得られなければまた他のコースを試せばよいだけなので、とにかく自分の中のハードルを下げてフラットな姿勢でトライしてみてはいかがでしょうか。
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