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MR8割超が抱く「キャリアへの不安」

エディタV2
MRが描くキャリアと生き残りの要件とは!?

「製薬各社に早期退職優遇制度が導入され、MR総数が減少しています。自身のキャリアに不安を感じますか?」――。皆さん、この質問に「感じる」と回答したMRの割合は何割だったと思いますか?答えは全体の約8割でした。うち外資系企業勤務者では9割近くと高くなりました。MR総数の加速度的な減少が多くのMRの心に圧迫感を感じさせている様子が浮かび上がってきました。ただ一方で、「MRのままでいたい」と願う回答も全体の3割弱と少なくありません。今回は、MRが描く希望のキャリアと生き残りの要件について考えていきましょう。

編集部の調査の結果、「自分のキャリアに不安を感じる」と回答したMRの割合は全体の83.7%でした。内訳をみると、内資系企業勤務者の80.0%に対し、外資系勤務者は89.7%。年代別では、30代の回答が89.3%と最も高率で、40代86.8%、20代85.7%と続きました。営業組織の中核層である30代、40代が自身の将来のキャリアに不安を感じるということは、少なからず製薬産業そのものの将来にも暗い影を投げかけているといえます。

編集部では、昨今のMR総数の減少はもとより、▽コロナ禍でMRと医師の面談機会が減る一方で、デジタルを活用した情報提供の流れが強まっていること、さらに▽支店や営業所の再編・統合など営業組織そのものの見直しも相まって、営業生産性の向上やROIの改善などに対する本社側のグリップが強まり、その余波が現場MRにも及んでいることが背景にあるのではないかと分析しました。

ではMRは将来のキャリアについて、どのような希望があるのでしょうか――。その他を含む19の選択肢のなかから1つ選ぶ形で回答を募りました。その結果、全体のトップは「MRのまま(現状維持)」で27.9%でした。前回調査でトップだった「営業職としてポジションアップを図る」は、全体の24.0%が選択して今回は2位で、前回調査から13.6ポイント低くなりました。

このほかの選択肢では、「社内公募制を活用したキャリアアップ」が7.7%、医師や薬剤師など「医療従事者への転職」が5.8%、「医療関係・MR以外の他職種への転職」・「他社MRへの転職」が3.8%となったほか、同一企業内での部署や職務の異動を希望する選択肢「マーケティング職への移籍」(4.8%)、「MSLへの移籍」(2.9%)、「PMS、学術部門への移籍」(1.9%)、「グローバル部門に異動して海外事業に挑戦」(1.9%)にも一定数の票が集まりました。

一方、DXの必要性が叫ばれるなか、「デジタルリードなどMR職のままでのデジタル担当者」は1.0%、「データサイエンティストを目指し、DXの世界に挑戦」は0.0%――となりました。新しい職業としてとっつきにくさや、一歩を踏み出すことに障壁を感じている姿があるようです。「ヘルステック企業への転職」(0.0%)、「スタートアップ企業やベンチャー企業への転職」(1.9%)――についても同様の傾向が見えました。


「来たるべき時に備える」 リスキリングに前向きな声も
こうしたなかで、ある40代の外資系企業に勤めるMRは、「今のキャリア路線のまま働くが、来たるべき時のために水面下でリスキリングも並行しておく」と回答しました。では、そんな自身の身を守るための“生き残り策”とは何なのでしょうか。編集部では、「MR活動を取り巻く環境が変化する中で、生き残るための具体的な要件」についても質問しました。(複数回答可)

その結果、最多は「エリア・マーケティングを学ぶ」(51.9%)でした。次いで「ロジカルシンキングを学ぶ」(40.4%)が続き、トップ2の顔触れは前回同様となりました。3位は「医療経営、病院経営を学ぶ」(29.8%)。前回3位の「多職種連携、地域包括ケアシステムに参画する」(26.9%)と僅差でした。


 “リスキリング” 成功の秘訣は!?
デジタルに関連する選択肢「ビッグデータの活用法を学ぶ」(11.5%)、「人工知能(AI)の活用術を学ぶ」(6.7%)、「国家試験「ITパスポート(iパス)」を取得する」(6.7%)――を選択した人の割合は、前回とほぼ同様で大きな変化は見られませんでした。今回初めて選択肢に登場した「メタバースやVR(バーチャルリアリティ)を活用する」も13.5%にとどまりました。こうした選択肢への挑戦こそが最近話題となっている“リスキリング”といえそうですが、浸透しているとは言い難い状況です。


 
それもそのはず、日本のリスキリング啓蒙活動の第一人者であるジャパン・リスキリング・イニシアチブの後藤宗明代表理事は、欧米に比べて国内企業では、リスキリングがなかなか進んでいないと話しています。本来リスキリングとは、企業などの組織が実施責任を持って行う業務であるものの、現状は個人の自主性や自発的な学びに依存している実態が背景にあるためです。後藤氏は、「リスキリングする方向性をちゃんと会社が明確に打ち出すことと、経営側と従業員側がリスキングの方向性を1ON1ミーティング等で一致をさせていくというのが非常に重要だ」と説明しています。

そのうえで、「外部環境の変化に合わせて、自分のスキルをアップデートしていくことができるかどうかが、これからの残りの人生において、選択肢が増えていくキャリアになるかどうかの命運がかかってると思う。リスキリングはもうやるしかないものなのだ」と強調しました。企業側には、経営側がリーダーシップをとり、新しい方向性について明確にメッセージを示すこと、従業員側には、社会変革に順応する能力と、直面する問題への解決力が求められているのです。



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