第一三共 エンブレル・バイオシミラーの国内開発中止 安定供給のめど立たず
公開日時 2017/07/06 03:51
第一三共は7月5日、米コヒーラス・バイオサイエンシス社と共同開発していた自己免疫疾患治療薬エンブレルのバイオシミラー(バイオ後続品)について、日本などでの開発中止を決定したと発表した。開発中止理由は、「日本での供給を可能とする商用製剤製造方法を確立できなかった」ためとしており、日本での安定供給のめどが立たなかったことが理由としている。
開発中止したエンブレル・バイオシミラーは国際共同フェーズ3試験で、関節リウマチの疾患活動性評価に関わる主要評価項目を達成していた。日本では申請準備中の段階にあった。
■コヒーラス社のリツキサン・バイオシミラー 国内開発を既に中止
第一三共は12年5月に、コヒーラス社との間で、エンブレルなどのバイオシミラー事業で提携することに合意した。今回の開発中止を受け、第一三共は、保有するエンブレル・バイオシミラーの日本、韓国、台湾での開発・販売権をコヒーラス社に返還した。開発中止や返還に伴う経済条件は開示していない。
また、12年の合意では、第一三共は抗がん剤リツキサンのバイオシミラーの日本などでの開発・販売権も取得していた。この点について第一三共は本誌取材に、リツキサン・バイオシミラーの開発は既に中止しており、権利をコヒーラス社に返還したことを明らかにした。開発中止の時期や理由は非開示。
第一三共はバイオ医薬品の取り組みを強化しており、バイオシミラーでのラインナップ拡充もその一環となる。16年7月には米アムジェン社が持つ9種類のバイオシミラーの日本での商業化に関する契約を締結している。第一三共によると、アムジェン社との契約にある9種類のバイオシミラーに、エンブレル・バイオシミラーは含まれておらず、リツキサン・バイオシミラーは含まれているかどうか非開示という。