自民党・田村社保制度調査会長 「財政的制約の中で限界にきている」 創薬力・安定供給めぐり認識表明
公開日時 2025/03/25 04:52

自民党・社会保障制度調査会の田村憲久会長は3月24日の「創薬力の強化育成に関するプロジェクトチーム(PT)」で挨拶し、創薬力強化や安定供給など一連の問題について、「財政的制約の中で非常に厳しい状況が続いており、その限界が来ている」と表明した。その上で、「海外の製薬企業からは日本で開発申請するのも辛くなってきたとの声を聞く」と述べ、続けて、「安定供給に必要な薬の価格を非常に心配する声がある」と披露し、製薬産業を取り巻く環境に問題提起した。一方で、「医療界でも病院経営が赤字に陥っている」とも指摘し、「そのような意味で薬価も含めてエコシステムのような観点から議論していかなければならない」との考えを強調した。
◎日薬連、製薬協、GE薬協、PhRMA、EFPIAの代表からヒアリング
この日のPTは、「創薬力強化および医薬品の安定供給」をテーマに、日薬連、製薬協、GE薬協、PhRMA、EFPIAの代表からヒアリングを行った。日薬連は、8年連続の薬価改定がドラッグ・ラグ/ロスや医薬品の供給不安を招き、国民の不利益をもたらしていると主張。製薬協は、イノベーションの適切な評価に向けた今後の制度改革の方向性として、「2026年度は現行制度をベースにイノベーション促進に向けた見直しを行いつつ、28年度の抜本的な制度改革をめざし、議論を開始すべき」と主張した。
GE薬協は、ジェネリック医薬品をめぐる主な課題と協会内での対応状況を説明。GE薬協による産業構造のあり方研究会の2回目の会合が3月12日に開催され、研究会報告書をとりまとめるための議論を引き続き継続すると説明した。
PhRMAは、26年度薬価制度改革の優先課題として、「ライフサイエンス分野における日本のリーダーシップを取り戻すためには、サポーティブな政策的枠組みと民間セクターとの連携による薬価制度改革が必要」と訴えた。EFPIAは、日本の医薬品市場を魅力ある市場にするために、持続可能なヘルスケアエコシステムの構築と、革新的医薬品の価値を適切に評価する制度により、創薬力の強化を目指すと主張。特に、医療財政フレームについて抜本的な改革の検討を求めた。
◎大野PT座長「創薬エコシステムが回るためには、ある種決断をしなくてはいけない」
大野敬太郎座長は会議冒頭の挨拶で、「創薬エコシステムが回るためには、ある種決断をしなくてはいけない。そのためにはガバナンスをしっかり立てていかなくてはならず、ここが本質だ。しっかりと構築できる体制をつくっていきたい」と強調した。その後の製薬団体のヒアリングを踏まえた議論では、外資系製薬企業やベンチャーキャピタル(VC)などをメンバーに含む官民協議会の開催が予定されていることに対し、「適切な情報が提供され、継続的に立ってほしい」「産業構造や薬価のあり方も議論できる場になってほしい」などの声が出席議員から上がったという。