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大塚HD ジンアーク特許切れで25年度決算は純利益20%減の見通し 井上社長「重要な局面迎える」

公開日時 2025/02/17 04:52
大塚ホールディングスの井上眞代表取締役社長兼CEOは2月14日、決算説明会に臨み、主力品の相次ぐ特許切れが見込まれる中で、「25年は持続的成長を支える開発パイプラインにおいて重要な局面を迎える」と述べ、再成長に向けて重要な年に位置付けた。2024年12月期(24年度)決算は増収増益で過去最高を更新したが、25年は主力品であるジンアーク(日本製品名:サムスカ)が米国で特許切れを迎える。この影響もあり、25年12月期(25年度)決算は連結純利益が19.9%減の2750億円と減益を見込む。井上社長は、ジンアークの特許切れを最小限に食い止める姿勢を強調。「成長ドライバーを中心として売上のトレンドを維持しつつ、成長投資も継続しながら早期に再成長の軌道に乗せるべく取組みを進める」とパテントクリフ克服に意欲をみせた。

「大塚グループはこれまでと同様にトータルヘルスケア企業としてWell-beingの提供を続けていくため、持続的成長につながるイノベーションを生み出し、時代の変化に先んじた製品・サービスを提供できるよう、これまで以上にスピード感のある経営を推進していく。そして、その成長を実現するための基盤を強化することで、第4次中計を着実に遂行するとともに、さらにその先の成長を見据えた投資を確実に進める」-。25年1月にCEOに就任後、初めての決算に臨んだ井上社長はこう決意を表明。パテントクリフを克服し、長期的に成長する必要との考えを示した。

◎ジンアーク特許切れで粗利益770億円減も成長ドライバーで影響吸収の見通し

25年は、連結売上高は2.2%増の2兆380億円と増収を計画するが、連結事業利益は12.9%減の3750億円、連結純利益は19.9%減の2750億円と減益の見通し。

主力品のジンアークが米国で独占販売期間を満了することで、粗利益で770億円減を見込む。医療/ニュートラシューティカルズの成長ドライバーの貢献で、粗利益は最終的に196億円、為替影響を除けば約360億円の増加で着地する見通し。特許切れの影響を吸収するとして、「事業は順調に進捗している」と強調し、特許切れの影響を最小限に食い止める考えを示した。

主力品の特許切れが見込まれる中で、パテントクリフ克服に向けて次期成長ドライバーとして期待するパイプラインへの投資を加速させる。研究開発費は12.0%増の3520億円。フェニルケトン尿症治療薬候補・repinatrabitについては25年上半期中にフェーズ3を開始させる方針。「第4次中計期間中の上市を目指し、そして、将来の成長ドライバーへと確実に育成していく」と強調。抗がん剤候補・zipalertinibの新たな臨床試験を開始させる計画だ。

◎「26年以降の主力品の特許切れ影響を最小限かつ短期的に」

井上社長は、第4期中期経営計画で掲げた売上高2兆5000億円の達成に向け、「26年以降の主力製品の特許切れによる業績の調整局面を最小限かつ短期的にとどめ、早期に再成長を成し遂げる」考えを強調。そのうえで、「25年は持続的成長を支える開発パイプラインにおいて重要な局面を迎える。様々なシナリオを想定しながら迅速かつ柔軟に対応し、多くの患者さんやご家族の期待に応えるために覚悟を持って取り組む」と決意をにじませた。

実際、抗がん剤・zipalertinibは25年下半期の迅速承認申請を目指して、各国の規制当局と協議を進めていく予定という。レキサルティについては製品価値最大化に向け、米国で成人の心的外傷後ストレス障害(PTSD)についてセルトラリンとの併用療法で、効能追加申請(sNDA)を行っており、精神薬理学諮問委員会(PDAC)が開催される予定となっている。井上社長は、「アンメットニーズの高い疾患に対するレキサルティの有用性に関して専門家と議論できる絶好の機会と考えている。ADアジテーションに加え、PTSDの社会課題解決にも貢献できるポテンシャルがあると自信を持って取り組む」と自信をみせた。このほか、IgA腎症治療薬候補のシベプレンリマブを25年第一四半期に在宅での自己投与が可能な製剤であるプレフィルドシリンジとして、迅速承認で申請する考えも明らかにした。

◎24年12月期決算 連結売上15.4%増の2兆3299億円 事業利益は37.7%増

24年12月期決算は、連結売上が15.4%増の2兆3298億6100万円、事業利益は37.7%増の4304億6300万円となるなど、過去最高を更新した。医療関連事業の売上高は17.1%増の1兆6290億円。国内売上高は5.6%増の4349億円だった。レキサルティが25.8%増の2674億円、ロンサーフが30.3%増の1044億円を売り上げるなど好調だった。

【24年連結業績(前期比) 25年予想(前期比)】
売上収益 2兆3298億6100万円(15.4%増) 2兆3800億円(2.2%増)
事業利益 4304億6300万円(37.7%増) 3750億円(12.9%減)
営業利益 3235億6400万円(131.8%増) 3750億円(15.9%増)
親会社所有者帰属当期利益 3434億2000万円(182.1%増) 2750億円(19.9%減)

【グローバル製品売上(前年同期実績) 25年予想、億円】
レキサルティ 2674(2125)3270
ロンサーフ 1044(801)1020
エビリファイメンテナ 2190(1976)2120
エビリファイアシムトファイ 189(49)315
サムスカ 402(482)315
ジンアーク 2412(1835)1640
*サムスカに日本のADPKD適応の売上含む。

【主要製品の国内売上(前年同期実績) 24年予想、億円】
レキサルティ 216(154)255
ロンサーフ 79(75)85
エビリファイメンテナ 131(121)130
サムスカ 242(327)165
ニューデクスタ 303(294)250
ニュープロ・パッチ 73(86)50
エビリファイ 44(62)45
アジョビ 60(42)70
アブラキサン 347(319)375
アイクルシグ 79(70)85
ティーエスワン 72(79)90
リトゴビ/LYTGOBI 82(31)90
トルバプタン「オーツカ」(サムスカAG) 98(97)105 
プレタール 9(16)2
ムコスタ 31(29)30
レバミピド「オーツカ」(ムコスタAG) 92(89)90
ビラノア 149(138)160
ミケルナ 74(69)80
モイゼルト 142(49)180
診断試薬計 202(228)180
臨床栄養 1127(1001)1200
ロイヤリティ収入 864(581)1196
契約一時金・マイルストン等 283(363)137
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